「金利は上がることはあっても、下がることはない!」にツッコミ! |
教祖様によると、今後、金利は、上がることはあっても、下がることはもう無いらしい。
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●詳細&ツッコミ |
以下のものは、東北地方太平洋沖地震が起きる前(2011年3月11日14時46分に発生)、当日午前中に教祖様がアップした記事の一部である。
《2011年3月11日ブログ本文》
今日の話で言いたかったのは、庶民に関係する金利のことです。
金利は、上がることは有っても、下がることはもう無いと感じます。
ゼロ金利政策の上での、今の色々な貸付金利が最低だと思います。こんな基本を誰も言ってくれないのが、私は不思議です。
もし、貸し出し金利が10%〜などになれば住宅ローンは大変です。家を維持できません。
変動金利(銀行にリスクは無く、個人に負担が行きます)ならば銀行は助かりますが、固定金利(もし金利が上昇しても銀行が代行します)では銀行が倒産するかも知れません。このあたりの事情が、説明不足の根底に在るような気がします。
ただし、これは私という経済素人の一意見ですよ。判断するのは、個人の縁でしてください。
(注)文字に色をつけたのは管理人(以下同様) |
教祖様は、今後、「金利は、上がることは有っても、下がることはもう無いと感じ」るらしく、また、「今の色々な貸付金利が最低」らしい。
これは、本当だろうか? 検証してみよう。
以下のものは、三井住友銀行の住宅ローン金利(超長期固定金利型(新規専用・10年超〜15年以内)の推移をグラフ化したものである。
(※こちらよりデータを取得 → 三井住友銀行 住宅ローン 金利水準推移)
4ヵ月毎にしか年月が記載されていないため、少し分かりにくいかも知れないが、データの最終年月は2011年2月で金利は2.9%、そして、グラフ上にはない現在(2011年3月)の金利は、2.91%である。
上記グラフを見れば明らかなように、教祖様の「今の色々な貸付金利が最低」という言葉はウソである。
現在の金利水準より低い時期などいくらでもある。
そして、教祖様は、この、「今の色々な貸付金利が最低」という勘違いに基づいて、今後、「金利は、上がることは有っても、下がることはもう無い」と記載したのであろう。
実際は、「下がることはもう無い」と言うことは無い。
教祖様は、「こんな基本を誰も言ってくれないのが、私は不思議です」などと言っているが、そりゃそうだろう。
基本でも何でもなく、単なるデタラメなのだから。
次に、教祖様は、「変動金利(銀行にリスクは無く、個人に負担が行きます)ならば銀行は助かりますが、固定金利(もし金利が上昇しても銀行が代行します)では銀行が倒産するかも知れません」とも言っているが、固定金利に関する話は全くのデタラメである。
銀行が固定金利で顧客に融資する場合、市場から、その分の固定金利を調達する。そして、調達した金利に、銀行の利益分(利鞘)を上乗せした金利で顧客に貸し出すことになる。(※あくまで、簡単に言えばの話)
よって、固定金利であろうが銀行には金利変動リスクなど全く無く、また、固定金利で貸し出した後、金利が上昇しても、そのせいで銀行が倒産することなどありえない。
教祖様は自分のことを「経済素人」と言っているが、素人以前のデタラメな話である。
そして、このブログ記事がアップされた3時間半後(*)、東北地方太平洋沖地震が発生した。ご存知の通りの大災害である。
(*)ブログ記事のアップは11時11分、地震の発生は14時46分。
このような大災害が起こった後、日銀は通常、復興を支援する為に、当面、政策金利を低くすることはあっても、高くすることはない。金利を低く誘導することによって、貸出金利を低くし、復興資金を賄い易くするのである。
例えば、2011年2月に大地震が発生したニュージーランドの中央銀行は、3月10日に政策金利を従来の3.0%から大幅に引き下げ、2.5%とすることを決定した。これは、地震被害に配慮したものである。
また、1995年1月の阪神大震災の後、日本の政策金利がどのように推移したかと言うと、以下の通りである。
1993年9月21日 |
1.75% |
1995年4月14日 |
1.00% |
1995年9月8日 |
0.50% |
2001年02月13日 |
0.35% |
震災発生の3か月後には、0.75%もの大幅利下げを行っている。
さらに、阪神大震災前後の住宅ローンの金利も見てみよう。
まずは変動金利である。
<変動金利>
1994年 |
4.1% |
1995年 |
3.2% |
1996年〜1998年 |
2.6% |
1999年 |
2.4% |
※数値は、「変動金利(住宅資金&住宅ローン ガイド)」より取得
※年平均として数値化しているので、若干の誤差があるらしい
ご覧の通り、1995年以降は下がっている。
次に固定金利(10年)である。
(※行政改革推進事務局HP 「特殊法人等改革推進本部参与会議 資料」(P.2)より)
ピンク色のものが住宅ローン金利であるが、1995年以降、しばらくは1994年よりも低い水準となっていることが分かる。
つまり、教祖様は、今後、「金利は、上がることは有っても、下がることはもう無い」と言っているが、むしろ、その逆で、「下がることは有っても、上がることは無い」可能性の方がはるかに高いのである。(※あくまで、これは過去の推移を参考にしたものであり、経済状況等も全く同じではないので、今後も同じように推移するとは限らない。ちなみに、阪神大震災が起こったのは、バブル崩壊後の景気低迷期であった。)
まあ、大地震さえ起きなければ、教祖様の予想が当たった可能性もないわけではない。
しかし、こんな金利予想を提示した教祖様が、3時間半後に起きる東北地方太平洋沖地震による甚大な経済的打撃を予想だにしていなかったことは明らかであろう。
なお、教祖様も、一応、「これは私という経済素人の一意見ですよ。判断するのは、個人の縁でしてください」と自分が責任を負わないための文言を記載している。
しかし、逃げの一手は打っているとは言え、「金利は、上がることは有っても、下がることはもう無い」という教祖様の言葉を真に受けた信者たちが、住宅ローンを固定金利で組んだりして実害を被る前に、教祖様は訂正してあげるべきであろう。
こんなふうに。
私は、「金利は、上がることは有っても、下がることはもう無いと感じます」と書きましたが、これは誤りでした。大地震の発生により、むしろ、金利は今後、下がる可能性の方が高いと思われます(あくまで可能性ですが)。
なお、結果として、このようなデタラメな予想をしてしまったのは、私が金利について素人どころか、ウソの知識を持っていたからであり、また、大地震が発生するなど、露ほども思っていなかったからです。
ローン等を組む際は、どうか、私の金利に関する意見など一切参考にすることなく、自己判断か、もしくは、ちゃんとした専門家に相談して決めて下さい。
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教祖様、よろしければ、この文章をそのまま使ってくれても構いませんヨ!
さて、以下に、教祖様の話を受けての、信者の方たちの金利関連のコメントを集めてみた。
《2011年3月11日ブログ コメント欄 2011-03-11 12:19:56》
そのお返事に私なりに確信することがあり、世の中の9割が住宅ローンの金利に変動金利を選んでいますという話を銀行の方に聞きましたが、どう言われようがうちはうち、と割り切り、長期固定の方向で借り換えをしようと考えています。
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だめぇ! 騙されちゃ、だめぇぇえええ!!
教祖様より、世の中の9割の人や銀行の方のことを信用してぇええええ!!!
《2011年3月11日ブログ コメント欄 2011-03-11 12:44:38》
何分、現在は主人の収入で返済をしているので、結局流されてしまっています。
私は手堅く固定金利返済をと思っていたのですが、後の祭りですね。以前からリーマン様のコメントで変動は×が書かれていましたが、今日は特に心に引っかかっております。
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長期的には分からないですけど、とりあえず、後の祭りなんかじゃありませんヨ!
その選択は、正解の可能性が高いです。ご主人さんを褒めてあげて下さい♪
何年か後に、金利が上昇するような気配を見せたら、その時は、固定金利への切り替えを検討してみましょう。
《2011年3月11日ブログ コメント欄 2011-03-11 13:47:10》
変動金利ならば、どこかで固定に切り替えないといけませんね。いつ切り替えるのか?今すぐした方がいいのか?「判断するのは、個人の縁で」ということですが、いつがその人にとっての縁なのか?金利の推移を見守っていなければいけませんね。こんな所にまで気を配ってくださる、リーマンさんにまるで母のような親心を感じました。
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その通りです。教祖様の言葉など一切参考にせず、金利の推移を見守ってご自分で判断して下さい。
しかし、教祖様に「母のような親心」を感じるのは、間違いだと思いますよ。そう感じるのは、せめて、このデタラメな金利予想や固定金利観を訂正するか否かを見極めてからにしましょう。
《2011年3月11日ブログ コメント欄 011-03-11 14:27:25 》
リーマンさんこんにちは、いつも有難うございます。 私はリーマンさんの経済情報はいつも真剣に受け止めていて すごく影響を受けます。 勿論、最終的には自分の判断・責任ですが 過去の投資信託や外資の年金保険など よくないとおっしゃっていたら すぐさま解約というパターンです。
〜(中略)〜
これから金利は上がる一方なら、今のゼロ金利の内に定額で住宅ローンを組んで家を購入すべしと考えるのか…迷います。 |
ダメです。真剣に受け止めちゃダメです。むしろ、お笑い芸人のボケとして受け止めましょう。
笑うしかない内容なんですから。
ウソだと思うのなら、上述の教祖様の話をプリントアウトして専門家の方に見せてみましょう。きっと、鼻で笑われますヨ!
住宅ローンを固定金利と変動金利のどちらにするかは、教祖様の話は一切無視した上で自己判断で決めましょう。必要ならば、銀行員やファイナンシャル・プランナーの方に相談してみて下さい。(「定額」と書かれていますが、「金利が一定額」という意味ですよね?)
以上。 ちなみに、以降、地震の発生により、コメント欄は地震一色になる。
2011.3.19 新規
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