「ルシフェルは1億2千万年前に地上に生まれた」にツッコミ!・・・大川隆法さま

 教祖様によると、ルシフェルは1億2千万年前に地上にサタンという名前で生まれたらしい。


●詳細&ツッコミ

 堕天使として有名なルシフェルについて、教祖様の著書『太陽の法』には、次のように記載されている。 
『太陽の法』角川文庫(P.45)
 八次元如来界に最初に住みはじめたのは、エル・ランティが一緒に連れて来た七大天使、すなわち、ミカ、ガブリ、ラファ、サリ、ラグ、ルシたちでした。彼ら七大天使たちは、エデンの園を地上につくった功績から、「神の光」という意味の称号をもらい、それ以後、ミカエル、ガブリエル、ラファエル、サリエル、ウリエル、ラグエル、ルシフェルと名のります。
 しかし、いまから、
一億二千万年ぐらい前に、七大天使のなかのルシフェルが、地上にサタンという名で生まれたときに、地位、名誉、物質欲、肉欲におぼれて、堕落。再び八次元に還ってくることができず、低位霊界に、地獄界をつくって反乱を起こしたのです。このとき、ルシフェルを、四次元幽界の一部に押し込め、熱と光の供給を断ったのが、大天使長のミカエルでした。ルシフェルは、そののち、ルシファーと名のり、一億年以上も地獄の帝位をつづけます。


(注) 青字にしたのは管理人
 ルシフェルは、一億二千万年ぐらい前に、地上にサタンという名前で生まれ、その時、堕落して地獄界を創ったらしい。


 それでは、まず、一つ目のツッコミ。

 現在、一億二千万年前と言えば、中生代(2億5000万前〜6500万年前)に当たり、恐竜が全盛期だったころで、少し前に哺乳類が登場したとされている。よって、当時、人間など存在しておらず、地上に生まれているはずがない。
 まあ、教祖様の脳内超古代史によると、人類には四億年の歴史があるらしいが。


 次に、二つ目のツッコミ。

 教祖様の話では、ルシフェルという天使が、一億二千万年以上前から存在していたことになっているが、ありえない。

 そのことを理解するために、先に、ルシフェルが何故、堕天使や悪魔とされるようになったかを見て行こう。

 ルシフェルは、元々、ラテン語で、つづりは「Lucifer」。
 これは、
「光を帯びたもの」「光を掲げるもの」(lux 光 + -fer 帯びている、生ずる)、「光をもたらす者」(lux 光 + fero 運ぶ)を意味する語であり、当初は悪魔や堕天使を指す固有名詞ではなかった。

 それが、5世紀頃の旧約聖書のラテン語訳の際に、ヘブライ語の「明けの明星」に 「Lucifer」 が当てられ、イザヤ書の以下の記述と結びついて、悪魔や堕天使の名前とされるようになったのである。
『イザヤ書』 14章12-15節
 暁の子、明けの明星よ、どうしてお前は天から落ちたのか。
 もろもろの国を倒した者よ、どうしてお前は地へと切り倒されたのか。
 お前は心の中で言った、
 「私は天に上ろう。神の星々のはるか上に、私は私の玉座を上げよう。
 私は、北の果ての、例祭の山に座そう。
 雲の濃い高みに上り、いと高き方に自らを擬そう」、と。
 しかし、お前は黄泉へと、穴の底へと落とされる。
 この記述は、本来、バビロニア王かアッシリア王について述べられたものであるとされている。

 しかし、この記述の「明けの明星」を「ルシフェル」に読みかえれば、ルシフェルと言う存在が、神のようになろうとして、天から落とされたと読めることになる。

 このようにして、キリスト教世界では、イザヤ書の上記記述が、「ルシフェル」と言う存在に対して述べられたものであるとされ、「ルシフェル」が堕天使や悪魔の固有名詞であるとされるようになったのである。

 つまり、「ルシフェル」が堕天使や悪魔だという話は、翻訳で生じた誤解・曲解に過ぎず、「ルシフェルと言う名前の存在がはるか昔から天上界に実際にいた」という話はあり得ないのである。


 そして、最後のツッコミ。

 「ルシフェルは、そののち、ルシファーと名のり」とあるが、これもありえない。

 これの元ネタは、通俗書でたまに見かける、「堕天使ルシフェルは神に逆らって地獄に堕とされ、その際、名前から、神を表わす『エル』の称号が取られて、『ルシファー』と呼ばれるようになった」という話であると思われる。

 先述の通り、ルシフェルというのは、本来、ラテン語であり、つづりは「Lucifer」である。
 このつづりは、英語やフランス語などでもそのままで、読みが以下の通りとなる。


   ○英語   ・・・ ルシファー
   ○フランス語 ・・・ ルシフェル
   ○スペイン語 ・・・ ルシフェル
   ○ラテン語  ・・・ ルキフェル

 つまり、ルシファーと呼ぶか、ルシフェルと呼ぶかは、「どの言語から音訳したものか」という違いでしかないのであり、「ルシフェルは、そののち、ルシファーと名のり」などと言う話はありえないのである。

 (※参考:Wikipedia「ルシファー」




 以上、教祖様のルシフェルに関する話が、ありえないことは明白であろう。

 この話は、教祖様が過去を霊視したものでは決してない。
 単に、一般に流布している堕天使ルシフェル像から想像を膨らませて、創作しただけに過ぎないものである。(※もしかすると、教祖様自身は本当に、霊視したつもりになっているかも知れないが)

 そして、あくまで、自分の知識に基づいて創作しているだけあるから、実際には、かなり近い時代に誤解・曲解によって、生み出された存在であっても、そのことを知らなければ、見抜くことなどできないのである。



2011.2.9 新規

今回のルシフェルの話と言い、超古代史と言い、教祖様の霊能力は認めナイが、想像力が豊かなことダケは認めるゾ。