『2012年目覚めよ地球人』にツッコミ!(その1)

書 名  2012年目覚めよ地球人
 いよいよ始まった人類大転換の時
著 者  坂本政道
出版社  ハート出版
価 格  1500円(税別)
 出版年月  2008年9月

●本書概要

 坂本様によると、2010年に巨大隕石の落下、そして、2012年には卒業と称する輪廻からの解脱があるらしい。

 なお、以下は、本書のソデ部分に記載されている文章である。
宇宙の高次の知的生命体から受けっ取った内容とは……
1 生命エネルギーとは何か
2 人はみな輪廻している
3 我々はどこから来たか
4 ITクラスター
5 意識の階梯
6 なぜ輪廻するのか
7 輪廻から卒業するには
8 生命エネルギーを取り込むエクササイズ
9 死後世界のフォーカス27にある卒業施設
10 天変地異の可能性
11 フォーカス34・35に集まる異星人
12 ポールシフトについての誤解


●ツッコミ

 本書は、坂本様が、宇宙の高次の知的生命体とコンタクトして教えてもらった事をまとめて記載したものである。

 また、2012年に世の終わりが来るとか、アセンションが起こる等と主張する書籍も多いが、この本も題名の通り、その種の本の1つである。

 よって、本書には、2012年に向けてどのような事が起こるか、また、それに対してどのような対処が必要なのかが記載されているので、以下では、その点を中心にツッコミを入れて行きたい。

 なお、本書は2008年に出版されたものであるので、そのことも念頭に置いて読んで欲しい。



 まずは、坂本様が2012年に向けて起きる、もしくは、起きたとしている出来事について見てみたい。
<P.13-14> (注)マス・・・坂本様。みーこ・・・話相手役として登場する坂本様が飼っているウサギ
マス 最近、無差別殺人事件や殺傷事件が急増していませんか

みーこ 
そう言えば、最近よく耳にしますよね。

マス 
今年(2008年)に入って何件も起こってます
7月28日にはJR平塚駅付近(神奈川県)で34歳の女性がナイフで通行人7人に次々と切りつけるという事件が起こりました。
その数日前には東京都八王子の書店で女性2名が殺傷される事件がありました。
6月8日には東京・秋葉原であの通り魔事件。レンタカーで人を数名はねた後、ナイフでとおりすがりの人を無差別に刺して、7名の命を奪うという事件でした。
その数ヵ月前には茨城県土浦市のJR荒川沖駅周辺で、8人の殺傷事件が起こっています。

 
〜(中略)〜

みーこ 
でも、
こういう事件と2012年が関係するんですか

マス 
はい。実は、
深い関係があると思います。
2012年に向けて生命エネルギーが地球へどんどん流れ込んできています。それが人の心を極端に不安定にする場合があるんです。それまで心の中に押さえ込んでいたものが出てくるためにアンバランスになる可能性があるのです。

(注)青字にしたのは管理人(以下同様)
 坂本様によると、2008年に発生した無差別殺人事件等が2012年と「深い関係があ」り、それは、「2012年に向けて生命エネルギーが地球へどんどん流れ込んできてい」て、「それが人の心を極端に不安定にする場合がある」かららしい。

 もし、これが本当なら、2012年に向けて無差別殺人事件は増え続けなればならないが、ご存知の通りそんなことはなかった。

 無差別殺人事件と言うのは、一件起きれば、それを模倣して連鎖的に発生するもの。それが2008年に起きただけの話である。

 ちなみに、2009年、2010年と2年連続して、殺人事件の件数は戦後最少を更新した(※参考:http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/murder/)。

 また、以下に
「殺人の認知件数・検挙人員と人口10万人あたりの比率の推移」のグラフが掲載されたページへのリンクを張っておくので、殺人件数がどのように推移したかを参照して欲しい。
 リンク先を見れば、2008年(平成20年)が前年比増加しているものの、全体として、2012年に向けて殺人件数が増加していないことなど一目瞭然である。

    「殺人の認知件数・検挙人員と人口10万人あたりの比率の推移

 
つまり、坂本様の主張は、実際の殺人件数の推移と全く矛盾するもの。

 たまたま発生した2008年の無差別殺人事件等を、自らが主張する
「2012年に向けた、生命エネルギーの地球への流入」にこじつけたに過ぎないのである。


<P.16>
みーこ そう言えば、原油価格が急騰しましたね。ガソリン代が一時リッター180円を越えました。その後、原油価格は少し落ち着いてきましたが。
それから
小麦とかの食料価格も高騰してます。それに伴って物価もじわじわと上昇し始めました。でも、これって2012年と関係するんですか?

マス 
あると思いますよ。非常に短期間に大幅な上昇をするというのは、異常だと思いませんか?
こういったことは10年ほど前から始まったような気がします。
ここ10年ほどの間にミニバブルやその崩壊が世界的規模で頻繁に起こっています。
 2008年には原油や食料の価格高騰が話題になった年であったが、坂本様によると、これも2012年と関係していて、「こういったことは10年ほど前から始まったような気が」するらしい。

 坂本様のこの「気」は、実際に正しい。

 「2008年の10年ほど前から」、中国やインドを中心とする新興国の経済成長により世界経済に構造変化が起き始めたからである。

 石油に関して言えば、1990年のイラクのクェート侵攻以外、比較的安定していた石油価格は1999年頃以降、乱高下しながら全体として高騰を続けることになる。
 そして、これは新興国、特に中国の経済発展の影響が大きく、中国は2003年に石油消費量が世界第二位になった。(※参考:資源エネルギー庁 「国際エネルギー市場の構造変化」)

 小麦などの食糧についても、新興国の経済成長が大きな要因である。新興国の国民の食糧事情が変化して供給が逼迫しているところに、世界的な不作が起これば価格が高騰するのは当たり前である。

 つまり、10年ほど前から始まった原油や食糧価格の急激な高騰等は、新興国の台頭によって食糧や資源等の確保・獲得競争が激化したことが原因でなのである。

 2012年に関連して石油等の急激な高騰が起こっているなど、全くの見当違いの話である。


<P.19-20>
みーこ そうですね。そう言えば、今年(2008年)に入ってから、5月始めにミャンマーで大型サイクロンによる大水害がありました。さらに5月12月には中国四川省でM7.9の大地震がありました。
被害の規模としては、2004年12月にインドネシア・スマトラ島で起こった大地震と大津波によるものにつぐ大きさです。
この2つも2012年と関連すると言うのですか?

マス はい。そうです。

みーこ え!
それって、すごく安易じゃないでしょうか?何でもかんでも2012年に結び付けてないですか?

マス 
ミャンマーの大水害と四川大地震は、2012年問題に我々の注意を向けるために起こったと考えられます
2012年を扱った本には近々起こる天変地異のことがよく書かれていますよね。だから、こういった大災害が起こると、みな、こういう本のことを思い出し、否が応でも2012年についての関心が高まっていくんです。そういう目的で、こういう大災害が起こったと言っていいと思います。被災された方々には申し訳ありあませんが。

 〜(中略)〜

マス 人という表現は正しくないですが、
確かにそういうことを意図的に行なう知的生命存在たちがいます。それについては後でお話しします。
それから、もうひとつ。
この2つの災害があった場所を見て、何か思い当たりませんか?政治体制とか、言論統制とか

 坂本様によると、2008年のミャンマーの大水害や中国四川省の大地震などは、知的生命存在たちが、「2012年問題に我々の注意を向けるために起こ」したらしい。

 さらに、ミャンマーと中国の政治体制などを示唆する坂本様。

 仮に、この本が、2011年3月以降に執筆されていたなら、間違いなく、東北地方太平洋沖地震が取り上げられ、一方で、政治体制の話など出て来なかったであろう。

 もし、坂本様の言うことが正しいのであれば、軍事政権などの独裁政権で言論の自由のない地域に集中して大地震などの大災害が起きなければならないが、当然、そんなことはない。

 何故、そんなことがなかったかと言えば、ウサギのみーこの言う通り、「すごく安易」「何でもかんでも2012年に結び付けて」いるだけだからである。


 さらに、坂本様は日本に起こる災害について、次のようなことも言っている。
<P.22>
みーこ それでは、これからも同じ目的で、大災害が起こるのですか?

マス そういうこともあると思います。日本もそれから逃れられないようです。ただ、
どうも日本には被害を最小限に抑えようとする力も働くようです

 〜(中略)〜

火山以外にも滝、川、海岸、海などがみな生命エネルギーの表出なので、日本はいたるところが生命エネルギーにあふれています。そのため
日本には高い意識の人が多く生まれていると言われています。そういうこともあるためか、被害は抑えられるようです。それも、今回はある程度の被害は避けられないようです。
 2011年3月に起きる東北地方太平洋沖地震のことを知っていたら、こんな記述は書けなかっただろうに。


 以上、坂本様が2012年関連で起きたとする殺人事件、経済危機、大災害などの主張であるが、きっと、本書が出版された2008年頃に読めば、それなりに、もっともらしく読めたことだろう。

 しかし、2011年現在になって読めば、私の解説などなくても、かなり色あせて説得力の無い内容になっていることが分かると思う。

 その理由は、坂本様が原稿を書いた時点での、マイナスの出来事をかき集めて、もっともらしく、こじつけて説明したに過ぎないからである。



 次に、坂本様が本書が発売された以降に起きると予言している出来事を見て行きたい。
<P.23-24>
マス 残念ですが、そこまでは教えてもらってません。
そういう災害とは別に、
2008年9月ごろから宇宙人やUFOとの遭遇が起こり出します。これまでよりもう少し直接的な遭遇で、それによって人々の意識が大きく変わることが期待されています

みーこ え!宇宙人やUFOですか?

マス はい。宇宙人というと何か怖い存在と思う人がほとんどですが、彼らは我々人類にとって親戚みたいなものです。だから怖がる必要は何もないんです。
宇宙には人類以外にも知的生命体がいるということがわかれば、我々の価値観は根本から変わりますよね。そこが狙いなんです。
ただし、メディアがそれをどう報道するかはわかりません。正しく報道されずに、興味本位での扱いに終わると、大きな影響は出ない可能性もあります。
それに、UFOというとすぐに地球を攻撃に来たと勘違いする人がほとんどですので、宇宙人側も慎重になることが考えられます。ですから、
実際の遭遇は夢の中で起きて、潜在意識に働きかけるという形をとるかもしれません

 「2008年9月ごろから宇宙人やUFOとの遭遇が起こり出します。これまでよりもう少し直接的な遭遇で、それによって人々の意識が大きく変わることが期待され」るらしい。

 もちろん、人々の意識が大きく変わるような、宇宙人やUFOとの遭遇など起きなかった。

 まあ、「実際の遭遇は夢の中で起きて、潜在意識に働きかけるという形」をとったとしたなら、検証しようがないが。


 さらに、宇宙人については、坂本様は次のようなことも言っている。
<P.30>
その一環として宇宙人、UFOとより直接的な遭遇が2008年9月から起こる可能性があります。人間になりすました宇宙人がオピニオンリーダーになって政治やメディアで活躍し出すでしょう
 人間になりすました宇宙人が政治で活躍・・・・・・も、もしや、鳩山元首相が!?(笑)


 また、宇宙人以外の予言では、
<P.204-205>
2008年からの2年間にあなたがピラミッドを使って卒業できる方法(生きたまま卒業する方法)を見出し、人が実行に移さないと、2010年から大災害が起こり、人類は皆死ぬことになる。このチャンスを逃したくないからだ。
隕石が2010年(6月?)に南太平洋のイースター島あたりに落下、数百メートルの津波が発生。人類は大打撃を受ける。もうひとつの隕石が太平洋の赤道上、フロリダの南方に落ちる
 2010年に2つの巨大隕石が落下して、人類は大打撃を受けるらしい。
 もちろん、そんなことは起きなかった。

 ただし、巨大隕石の落下は、「2008年からの2年間にあなたがピラミッドを使って卒業できる方法(生きたまま卒業する方法)を見出し、人が実行に移さないと」という条件つきである。

 つまり、坂本様が「生きたまま卒業する方法」を見出したから回避できたと言うことだろうか。

 まあ、仮に、その方法が開発済であったとしても、世のほとんどの人はその方法を実行に移していないことは確かであるから、どのみち回避できなかったはずであるが。




 以上、見て来たように、「宇宙の高次の知的生命体」とやらから坂本様が得た情報が、全く当てにならないことは明白であろう。

 次に(その2)では、「生命エネルギー」の説明、及び、2012年に具体的に何が起きるのかを見て行きたい。




2011.6.14新規

坂本様がコンタクトしているのは、「高次の知的生命体」じゃなくて、「低次の知的生命体」じゃないのカ?