『宇宙が応援する生き方』にツッコミ!(その2)
 ※当記事は(その1)からの続き

<P.138-139>
 あるとき、ある場所で、ある人を介して、私はある神様とお話をしました。ある人が仲介役になって、話をすることができたのです。
 私は最初に「あなたの名前はなんて言うのですか」と、トニー谷みたいな質問をしてみました。
 そうしたら、その神様は仲介の人を通して面白い答えをしました。
 「私の名前に関心を持つな」と。
 そこで私は聞きました。
 「
私はいろいろ超常現象や超能力、あの世のことや神仏の世界のことを勉強している人間ですけれども、人類の歴史の中で『私の名前に関心を持つな』と言った神様が一人だけいます。その神様はモーゼが父と呼び、キリストが父と呼んだ人ですが、あなたはその人なんですか」と
 そうしたら、この仲介の人は私をじーっと見て言いました。
 
「(その神さまは)何も答えないけれど、笑った」と。
 はあ、そうですか。
どうも、キリストが父と呼び、モーゼが父と呼んだ人が私の前に出てきてくださったらしい。

(注)青字にしたのは管理人(以下同様)
 仲介役を介して、教祖様の前に「キリストが父と呼び、モーゼが父と呼んだ人」、つまり、ヤハウェが出てきたらしい。

 これだけのやり取りで、相手をヤハウェだと思ってしまうところが、如何にも、短絡的な発想の教祖様らしい。

 そもそも、教祖様は、「人類の歴史の中で『私の名前に関心を持つな』と言った神様が一人だけいます。その神様はモーゼが父と呼び、キリストが父と呼んだ人です」などと言っているが、
ヤハウェはそんなことは言っていない

 まず、有名なモーゼの十戒では、神の名について次のように規定されている。
『出エジプト記 20章9節』
 あなたは、あなたの神ヤハウェの名を、空しいことの為に唱えてはならない (※一般には、「みだりに唱えてはならない」と訳されることが多い)

※『旧約聖書T 律法』(旧約聖書翻訳委員会訳・岩波書店)より。以下、旧約聖書の引用は同様。
 「空しいことの為に唱えてはならない」とされているだけで、「関心を持つな」などとは言っていない。

 なお、旧約聖書で神の名を尋ねる場面がいくつかあるので、それらも見てみよう。
 まずは、イスラエル人の父祖の一人、ヤコブが尋ねる場面である。
『創世記 32章28-30節』
 彼に言った、「お前の名前は何というか」。彼は言った、「ヤコブ」と。彼は言った、「お前の名はもはやヤコブでなく、イスラエルと呼ばれよう。お前は神と人々と闘って、打ち勝った」
 
ヤコブは尋ねて、言った、「ぜひ、あなたの名前を知らせてほしい」。彼は言った、「なぜ、わが名を尋ねるのか」。彼は、しかし、ヤコブをその場で祝福した。

 これは、ヤコブが一晩、神と格闘した後の場面である。ヤコブは神の名を尋ねているが、神は、「なぜ、わが名を尋ねるのか」と聞き返しただけ。「関心を持つな」などとは言っていない。

 次に、モーゼが尋ねる場面である。
『出エジプト記 3章13-15節』
 モーセは神に言った、「ご覧下さい。私がイスラエルの子らのもとに行き、そして言います、『あなたたちの先祖の神が、私をあなたたちに遣わした』と。彼らは私に言うでしょう、『その先祖の神の名は何か』と。何と私は彼らに言いましょう」。神はモーセに言った、「わたしはなる、わたしがなるものに」。彼は言った、「あなたはイスラエルの子らにこう言いなさい、『「わたしはなる」が私をあなたたちに遣わした』と」。
 
神はモーセにさらに言った、「こう、あなたはイスラエルの子らに言うのだ、『あなたたちの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神であるヤハウェが、私をあなたたちに遣わした』。これが永遠にわたしの名、これが代々にわたり、わたしの呼び名である。

 モーゼの問いに、神は普通に自分の名を答えている。

 以上、ヤハウェが「私の名前に関心を持つな」などと言ったというのは、全くのデタラメである。
教祖様は、いったい、何を勉強してきたのやら。。。 (ちなみに、教祖様は、「モーゼが父と呼び」などとも言っているが、私の記憶が正しければ、モーゼは神のことを「父」と呼んでいないはず)

 そして、そのデタラメな知識に基づいて、降りて来た相手をヤハウェだと考えてしまった教祖様。

 教祖様が相手の霊に「その神様はモーゼが父と呼び、キリストが父と呼んだ人ですが、あなたはその人なんですか」と問うと、相手の霊は何も答えないで笑ったそうだが、馬鹿にしていたか、呆れていたかのどちらかであろう。


 さらに、教祖様による、この偽ヤハウェの話は続く。
<P.141-142>
 でも、私が聞いた中にはすごく面白い情報があるので、一つだけ教えておきます。
 この神様は、シナイ山で石版にレーザー光線のようなものでビビッと文字を焼き付けて十個の教えを書いたのですが、そのとき、
自分の名前は子音の部分だけを残して、母音は消してしまいました。これを後世のユダヤの人たちが何百年もかけて解読して、遂にこの神様の名前を言い当てたのです。 
 彼らが突き止めたのが、ヤハウェという名前でした。
みだりに神の名を呼んではならないので、あまりヤハウェヤハウェと呼ばないように。ヤハウェさんに対して失礼なので、ヤハウェヤハウェと呼ばないようにお願いしますって大連呼してしまいました。
 教祖様によると、神が十戒の石版を授ける時に、「自分の名前は子音の部分だけを残して、母音は消してしま」ったらしく、「これを後世のユダヤの人たちが何百年もかけて解読し」「突き止めたのが、ヤハウェという名前」らしい。

 これも全くのデタラメ。

 まず、イスラエル人達が使う
ヘブライ語には元々、母音を表す文字は無い。よって、上記のように「母音を消してしまった」などと言う話はありえない。(※あくまで、「創世記や出エジプト記等のいわゆるモーセ五書は、モーセが記述した」と言う古くからの伝承を前提にしておく。ちなみに、エジプトのヒエログリフやヘブライ語の元になったとされる原カナン文字でも母音は表記されない(※参考:Wikipedia「ヒエログリフ」、「原カナン文字」))

 次に、
「ヤハウェ」と言う読み方が分からなくなったのは、むしろ、後世になってからのことである。

 十戒の「あなたは、あなたの神ヤハウェの名を、空しいことの為に唱えてはならない」という規定の為に、人々は「ヤハウェ」という言葉の代わりに「アドナイ(主)」という言葉を使用していたため、子音しかないヘブライ語では読み方が分からなくなってしまったのである。


 さらに、教祖様のデタラメ話はまだ続く。
<P.142-134>
 このヤハウェさんが私に面白いことを言うのです。
 
ヤハウェという呼び名はユダヤの人たちがつけた名前であって、もし、カタカナで日本語表記をするとしたら、一番近いのはヤバエットという音になるのだそうです。そして、その音を何千人何万人の人が聞いて耳から耳へ伝えていった結果、いつの間にはヤバエットがヤバトという音になった。そこから、わたしたちの国は大和(ヤマト)と呼ばれるようになったらしい。
 
その神が言うには、大和は自分の名前をつけた唯一の国だそうです。なぜ日本に大和という自分の名前をつけたかと言えば、この方は争いごとや戦いごとが嫌いだから。そう言いました。
 教祖様によると、「ヤハウェ」の本来の音は「ヤバエット」で、それが変遷して「ヤマト」と呼ばれるようになり、また、「大和は自分の名前をつけた唯一の国」らしい。

 これも、すぐにウソと分かる話である。

 教祖様の話を前提にすると、十戒の石版に「自分の名前は子音の部分だけを残して、母音は消してしま」い、かつ、本来の名前の音が「ヤバエット」なら、最後の文字は英語のアルファベットで言えば「T」になったはずである。

 そして、子音部分の文字は旧約聖書で伝承されているのだから、その「T」の文字が抜け落ちた形で名前が伝わることなどありえない。


 以上、大部分は仲介者に降りたという霊の話であるが、
どうしようもない程のデタラメ話である

 一応、教祖様は、該当の話を「以上、かなり怪しい話でした」(P.146)と締めくくっているのであるが、「怪しい」どころか
「明らかで、かつ、分かりやすいウソ」である。

 いくら、「怪しい話」と断っていようと、このような明らかなデタラメ話を書籍に掲載する時点で、教祖様の知識や真贋を見抜く眼力のレベルが知れると言うものである。


 おそらく、仲介者に降りた低級霊が、自分がヤハウェと勘違いされたことに調子に乗って、デタラメを吹聴したのであろう。(もしくは、仲介者が霊を媒介できると言うのが、そもそものデタラメ)



2011.12.13新規

こんな程度の低級霊も見抜けないで、「宇宙が応援する生き方」など、分かるハズがないダロ。