『龍蛇族直系の日本人よ!』にツッコミ!(その1) ・・・ 浅川嘉富さま

書 名  シリウス・プレアデス・ムーの流れ
 龍蛇族直系の日本人よ!
 その超潜在パワーのすべてを解き放て
著 者  浅川嘉富
出版社  ヒカルランド
価 格  1,800円(税別)
 出版年月  2011年4月

●本書概要

本書カバーより
日本の神話に隠された日本人のルーツは、
龍蛇族系の宇宙人であることを突き止めてしまった著者浅川嘉富の下に、
マオリ族よりはるかに古いルーツをもつワイタハ族から招待状が届いた。
ワイタハ族長老と共にニュージーランドのパワースポットを巡り、
封印された龍神数千体を解き放ったとき、
ワイタハ族の長老から聞かされた言葉、それはまさに驚愕であった。
「われわれ世界に散らばる龍蛇族のトップは日本の天皇家である。
われわれは時をめぐり来て龍神の封印をとく日本人が来るのを待っていたのだ」と。
―――世界の最先端をいく龍蛇族系宇宙人の歴史的研究! 日本人必見の一冊!!
 「世界の最先端をいく龍蛇族系宇宙人の歴史的研究」って(笑)

●ツッコミ

 上記に引用した内容をご覧頂いても分かる通り、どうやら、浅川様は、日本人のルーツが龍蛇族系の宇宙人であることを突き止めてしまったらしく、また、ワイタハ族長老は、「龍神の封印をとく日本人(つまりは、浅川様)を待っていた」らしい。

 SFチックで、かつ、世界規模の壮大な展開。これが小説ではないというのだから、のっけから香ばしい雰囲気を漂わせている書籍であると言えよう。


 さて、本書の巻頭に、浅川様のもとに寄せられたというUFO写真が掲載されているので、まずは、そちらから見て行こう。
<巻頭>


和宏少年は必要とあらば、UFOを呼び寄せることを難なくやってのけることができるようだ。この写真は浅川おじさんに見てもらうために宇宙船の写真を撮るのだと言って、夜半、
家の外に出て撮影したものの1枚である。
オーブ状にたくさんの小型円盤が飛び交っているなかで、やや大きめな1機が目にとまる

(※管理人注)文字に色を付けたのは管理人(以下、同様)。
 まず、「やや大きめな1機」というのは、右側の中程よりやや上のものであろう。

 これ、私には、
窓ガラスに映った室内灯のようにしか見えないのだが、UFOらしい。

 このように、窓ガラスに映った室内灯がUFOのように見える写真はいくらでもあるので、興味のある方は、「窓ガラス UFO 室内灯」で画像検索して見て欲しい。似たような写真を見つけることが出来るだろう。


 次に、「オーブ状」「たくさんの小型円盤」である。

 このような小さな光の粒を
「オーブ」(※TVの心霊番組やオカルト本では、霊体や霊魂などとされる)と主張するならともかく、あくまで、「オーブ状」「たくさんの小型円盤らしい。

 背景と比べれば、かなり小さいことが分かるが、極小の宇宙人でも乗っているのであろうか(笑)

 実際のところ、このような小さな光の粒(オーブ)が写真に写り込むことは別に珍しくも何ともないことで、原因もはっきりと分かっている。そのことについて、『謎解き 超常現象』(ASIOS)にて説明があるので以下に引用する。
『謎解き 超常現象』 (ASIOS・彩図社) (P.109-110)
 だが、オカルト信奉者にとっては残念なことに、オーブは心霊現象でも何でもない。写真によく起きる、ありふれた現象なのだ。
 
オーブが写る原因にはいくつかあるが、最も多いものは「点のような微小な光源のピンボケ」である。
 背景にはきちんとピントがあっているので「ピンボケ」と言われても意味がわからないかもしれないが、背景にピントがあっているからこそ、手前(それこそレンズの直前)にある光源にはピントがあっていないのである。
 では手前の「微小の光源」とは何か。
 
多くの場合、空気中を漂うホコリである。
 
これに強い光が当たると微小な光源になり、それを奥にピントがあっているカメラで撮影すると当然手前のホコリはピンボケになってにじみ、いわゆるオーブ状に写るのである。
 つまり、オーブは、空気中のホコリに光が当たって、それがピンボケして写り込んだものである(その他の原因もあるようだが)。

 上記の「オーブ状」「たくさんの小型円盤」も、まさにこれであろう。

 浅川様は上記写真を「家の外に出て撮影したもの」として受け取ったようだが、先述した窓ガラスに映った室内灯のようにしか見えないUFOといい、光ったホコリが写りこんだ小型円盤といい、この写真は、室内から撮ったものであろう。


 次に、2枚目のUFO写真を見てみよう。
<巻頭>


小型UFOから光が投射されているのが分かる。

 浅川様には、この写真が「小型UFOから光が投射されている」ように見えるらしい。

 私には、下のような球形の街灯が写った写真にしか見えないのだが。。。

         

 それとも、光自体は、これも窓ガラスに映った室内灯で、棒状のものは、たまたま、外のその場所にあったものだろうか。(写り込んだ角度的には、おそらく前者であろう)

 まあ、どちらにしても、UFOでないことは確かであろう。


 続いて、3枚目のUFO写真である。
<巻頭>


一際輝きを放つ
半透明体の宇宙船。マオリッツオ・カヴァーロ氏の撮影したUFOを思い出す。
 このUFO写真を少し眺めていると、すぐにおかしいことに気づくと思う。

 写真の下部を見てみると、屋根の影よりも手前に光の粒があるのである。

 この写真はおそらく、窓ガラスについた水滴が反射して光り、このように写り込んだのではないかと思われる。(右上の宇宙船は大きな水滴、他の光の点は小さな水滴)

 しかし、浅川様によるとこれは、「半透明体の宇宙船」らしい(笑)

 半透明なら、双眼鏡で見れば中の人が見えるのだろうか。それとも、今、話題の光学迷彩だろうか。

 光を発したりしたら目立ち過ぎて、半透明にした意味がないと思うのだが。


 そして、次に、2枚のUFO写真。
<巻頭>


光輝く巨大UFO】太陽と共に写っているUFO写真は、2月13日の朝8時ごろに東京に住むある女性が自宅のマンションの4階から撮影したものである。巨大の宇宙船の周りには虹色に輝く光が放たれ、後方に向かって長く伸びているのが分かる。この女性は、福島原発でメルトダウンが起きたときに光のUFOが、上昇して行くヴィジョンを見せられ、致命的な事態にならないことを感じ、ありがたく感謝しました、と伝えてきた。ぜひそうあってほしいものである。



【埼玉のUFO】埼玉県の北鴻巣の知り合いのマンションの4階ベランダから、東日本大震災が近づいた3月4日の17時ごろに撮影した連続写真のうち1枚。発光物体は彼女が気づくまでほとんど動かずにいたが、気づくと同時に動きを早め、数十秒で太陽に向かって移動しながら消えていったという。彼女はUFOを見たというより、見せられたと考え方がよさそうだ。2枚の写真どちらも、発光体の大きさや形、飛行の仕方などがそっくりで、同じ宇宙船であることが分かる
 浅川様によると、どちらも巨大な宇宙船で、同じものが写ったものらしい。

 私には、どちらも、
「太陽の光が変わった見え方をしただけ」にしか見えないのだが。

 おそらく、この2枚の写真の原因は、次のどちらかであると思われる。
@.大気光学現象

 太陽の光は、大気中の雲や霧の状態によって、反射、屈折等し、太陽光が上下に伸びたり、太陽の周りに光の輪が見えたりすることがあり、場合によっては、2つの太陽があるように見えることさえある。このような現象を「大気光学現象」と言う。(※参考:Wikipedia「大気光学現象」)

A.レンズに反射した光

 写真を撮った時には気づかなかったものが、いざ、出来あがってみると、「不思議な光が写り込んでいた」ということは良くあることである。この原因の大部分は、太陽光などがレンズに反射して写り込んだものである。
 どちらにしろ、巨大な宇宙船などではないことは確かであろう。


 さらにオマケに、巻頭のカラー写真ではないが、本書の中ほどに、白黒のUFO写真も掲載されているので、そちらも見てみよう。
<P.164>


2009年12月に八ヶ岳山麓の上空に出現した
巨大母船ペトル・ホボット氏はプレアデスから来た宇宙船であると語っていた。母船がこれだけの姿で撮影されたのは世界的にも珍しいことである。
 そして、この写真のより詳しい説明は以下の通り。
<P.165>
 それらのことを考えると、札幌に住む女性が2009年12月初旬に撮影した、私の住む北杜市上空に出現した巨大母船の写真(前ページ)を見たペトル・ホボット氏が、この母船はプレアデスから来たものだと指摘したのも、頷けるところである。
 撮影された女性に話を聞くと、その時、
点滅しながら乱舞する十数個の光体を複数の人間で目撃したが、この巨大母船自体を見た者はいなかったようである。ところが、出現した光体を撮影した写真の一つに、いつの間にかそれが写っていたのである。
 どうやら、この写真は、「プレアデスから来た」「巨大母船」が写ったものらしい。


 この写真のポンイトは、「巨大母船自体を見た者はいなかった」が、写真に「いつの間にか」写っていたという点である。

 その点を勘案すれば、この写真は、「点滅しながら乱舞する十数個の光体」が移動するのを、一瞬ではなく、一定時間捉えたものであろう。
 それは、被写体が暗い為に、より多くの光を取り込もうと、カメラが自動的にシャッターを開いている時間を長くした結果である。

 少し分かり難いかも知れないが、
「真っ暗闇で懐中電灯を持って、光源を輪になるようにくるくる回すシーン」を思い浮かべて欲しい。それをシャッター速度を遅くしたカメラで撮影すれば、「光の輪」が写り込むことになる。

 しかし、当然ながら、そこに「光の輪」が存在していたわけではない。一つの光が連続して写り込むことによって、「光の輪」になって写っただけである。

 それと全く同じ原理で、点滅している複数の光が連続して写り込んだものが、上記の「巨大母船」の正体であろう。

 だいたい、カメラを向けて思いっきり視線を注いでいて、かつ、見ている人も複数。
こんな「巨大母船」が飛んでいるのに気付かないワケがないだろうに


 そして、このUFO写真を見て、「この母船はプレアデスから来たものだ」と語るペトル・ホボット氏(笑)

 ペトル・ホボット氏は、浅川様によると、チェコ出身の超能力者(知覚者)でシャーマンでもあるらしいが(P.5)、大抵の自称超能力者・霊能者はこんな程度で、視えてるつもりになっているダケ。自分が想像・連想したに過ぎないものを「霊視した」などと称して語っているダケである。


 ちなみに、肝心の「点滅しながら乱舞する十数個の光体」であるが、上記写真を見る限りでは、乱舞はしておらず直線に進んでいるだけである。おそらく、飛行機か何かの光であろう(複数の自衛隊機による夜間飛行訓練?)。





 以上、本書に掲載されているUFO写真は、どれもUFOと言うには、かなりお粗末なもの。

 
どうやら、光っているものが宙に浮いて見えれば、浅川様の中では全てUFOになってしまうようだ

 そして、オカルト本では通常「オーブ」と言われ、霊魂等とされるものすら、
「オーブ状の小型円盤」にしてしまうところに、浅川様のすごさを感じる。

 もはや、UFOであるか否かを検証したり、他の可能性を探ってみたりする気など、これっぽっちも無さそうである(浅川様は、自称霊能者・超能力者等に確認して、一応、検証したつもりになっているかも知れないが)。



 続いて、(その2)では、本書の記載内容にツッコミを入れていきたい。



2012.11.20 新規

    精神世界
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巻頭にこんなUFO写真を掲載して、すぐにトンデモ本だと分かる仕様。親切設計だナ。