『龍蛇族直系の日本人よ!』にツッコミ!(その2) ・・・ 浅川嘉富さま |
(その1)では、本書に記載されているお粗末なUFO写真の数々にツッコミを入れた。
あのような写真を平気で「UFO写真」としている時点で、十二分に予測がつくと思うが、本書はかなりのトンデモ本である。
そして、この手のトンデモ本には御決まりと言っていいほど、ムーやアトランティスなどと言った幻の大陸が登場するが、本書も例外ではない。
本書のムー、アトランティス関連の記載を見てみよう。
<P.215>
また和宏少年によると、神武天皇以降、十代崇神天皇までは半龍神であったことや、『古事記』に登場する那賀須泥毘古と邇芸速日命、そして記紀には記されていない大蛇健歯大神という神々はムー時代から日本にいた国津神であったそうで、その一柱である大蛇健歯大神はムー帝国がアトランティスに滅ぼされた際に、オリオン系の獣神によって神界に戻ることができないようにバリアを張られ、三輪山の山中に長い間閉じ込められていたそうである。
しかしつい最近、祈りの力によって封印(結界)が破られて飛び立つことができたようである。尊い大蛇健歯大神が1万2000年という長大な歳月を経てようやく復活することができたことは嬉しい限りである。
(※管理人注)文字に色を付けたのは管理人(以下、同様)。
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この霊視結果を示した和宏少年であるが、本書によると、「僕は神界から直接地球にやってきたんだよ!」と自称している小学生の坊やらしい(P.50,162)。
ちなみに、この少年は、(その1)でツッコミを入れたUFO写真を浅川様に送ってきた一人でもあり、胡散臭い限りであるが、とりあえずは、上記霊視結果にツッコミを入れてみよう。
まず、記紀には記されていない、和宏少年オリジナルの神として、「大蛇健歯大神」なるものが登場している。
これは、すぐにウソと分かる名前である。
何故なら、名前の「健歯」の部分が、「ケンシ」と漢字の音読みになっているからである。
ご存知の通り、漢字の音読みは、中国の読みが日本に入って来たものであり、比較的新しい日本語である。万葉仮名による当て字でもなく、漢字を音読みする名を持った神など(それも名前の一部に)、そんな大昔にいるワケがあるまい。(ちなみに、「蛇」は「ミ」という読みのようであるが、十二支の「巳(ミ)」からの連想ではないかと思われる)
まあ、名前を分析してみれば、「健康な歯の大蛇」と本書の題名にもある「龍蛇族」とやらを連想させるものであり、小学生らしい発想が垣間見れるようで微笑ましい限りである。
次に、和宏少年によると、ムー帝国はアトランティスに滅ぼされたらしい。
当HPでは何度もツッコんで来たが、ムーなど存在しない。
その理由は以下の通りであるが、既に知っている方も多いと思うので、そのような方は読み飛ばして欲しい。
ムーと言えば、それを世に広めたジェームズ・チャーチワードを思い浮かべる人も多いと思うが、そもそも、「ムー」なるものが登場した発端は、マヤ研究家のチャールズ・エティエンヌ・ブラッスール・ド・ブールブールのトンデモ誤訳である。
ブールブールは、マヤ文字と絵で構成された古写本『トロアノ絵文書』を解読しようと試みたのだが、勝手にそこにアトランティス滅亡の話が書いてあると思い込んで恣意的な解釈をした。
さらに、ブールブールは、『トロアノ絵文書』の中に彼が使用したマヤ文字とスペイン語のアルファベット対照表に記載されてあった「M」と「U」にどことなく似た一対の絵文字がたびたび登場することに気づき、これこそ大災害を被った国の名に違いないと決めつけた。
このようにして、「MU(ムー)」という太古の国名・大陸名が登場することになったのである。
なお、『トロアノ絵文書』は儀礼や暦について記されたものであり、ブールブールの解釈は誤訳もいいところ。全くのデタラメである。
さらに、このブールブールのデタラメ解釈に追随したのが、フランスの医者兼考古学者・写真家のアウグストゥス・ル・プロンジョンであり、彼は「ムー」を、失われた大陸そのものの名前ではなく、大陸にあった超古代マヤ王朝の女王の名前であるとした。
そして、この時点では、「ムー」は太平洋ではなく大西洋にあり、アトランティスと同一視されていたのだが、これを太平洋に持ってきたのがジェームズ・チャーチワードである。
彼の著書『失われた大陸ムー ―――人類の母国』(1926年)によれば、彼が本書を書くきっかけとなったのは、1868年から1880年にかけてインドで軍務に就いていた際、ヒンズー教の寺院で高僧から『ナーカル碑文』なるものを見せられ、解読の手ほどきを受けたことだとしている。
そして、その著書で、太古、太平洋にムー大陸なるものが存在し、そこでは優れた文化を持った人類がおり、ラ・ムーという王が支配していたとしている。
しかし、自称イギリスの陸軍大佐であるジェームズ・チャーチワードの真の経歴は分かっていて、彼が軍務でインドにいたとしている時期にはイギリスにおり、1872年頃からスリランカで紅茶農園を経営していた。その後、1880年代に渡米して鉄道関係のセールスマンや技術者をしていたのである。
著書の内容が如何にデタラメなものか、良く分かるであろう。
ちなみに、地殻には大陸地殻と海洋地殻があるが、地質学的な調査によれば、太平洋の海底にあるのは数千年前からある海洋地殻であり、太平洋中央部はずっと海であったことが分かっている。
(参考)『謎解き 古代文明』(ASIOS/彩図社)P.210-221
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上記説明を読めば、ムーなど存在しないことがお分かりいただけると思う。
そして、このようなムーのデタラメ話を真に受けたインチキ霊能者たちが、実際は、自分のインチキっぷりをアピールしていることになっているとも知らずに、ムーに関するインチキ霊視結果を得意げに発表していると言うのが現状。
先述の、「僕は神界から直接地球にやってきたんだよ!」と称している和宏少年も全く同様である。
ちなみに、アトランティス大陸も存在しないが、このムーの話と上述の「大蛇健歯大神」だけで、和宏少年の霊視能力がデタラメであることを証明するには十分であろうから、説明は割愛する。
また、本書には、他にも、和宏少年によるムー話が掲載されているので、そちらも見てみよう。
<P.186-187>
それについて、先に紹介した和宏君が大変興味深い話を聞かせてくれた。
少年によると、かつてムー大陸は空中に浮かんでいたのだという。それを聞くと、映画「天空の城ラピュタ」に出てくる空中都市を思い出す人もいるかもしれない。そこには龍蛇族系の人々が龍神たちに守られながら住んでいたが、その一方でアトランティスに住むオリオン星からやってきた龍蛇族系には属さない人たちは、3次元的な存在であったため、地上にある大陸に住んでいた。そのため、当時まだ数多く棲息していた恐竜たちの存在に悩まされていたのだという。
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和宏少年によると、「ムー大陸は空中に浮かんでいた」らしい(笑)
まさに、小学生らしい発想である。これが、大人のインチキ霊能者だと、もう少し、ありえそうな設定の霊視結果を提示するものなのだが。
おそらく、アニメや漫画の影響であろう。
以上、和宏少年の霊視結果に絞って見て来たが、小学生のこんなヨタ話を真に受ける浅川様って・・・
なお、当然ながら、浅川様もムー大陸が本当にあったと思っているらしく、本書では、ジェームズ・チャーチワードの著書『失われた大陸ムー』が引用されて紹介されているし、また、以下の通り、浅川様の脳内では、ムー大陸があったものとして超古代史が構築されているようだ。
<P.217>
Dかつて龍蛇族はムー文明を興しムー大陸を統治していたが、やがて、オリオン座からやってきた物欲と支配欲を持ったアトランティス人との間に戦いが起こり、最後は天変地異により滅びることになった。ただ、ムー大陸の一部は沈まずに残され、それが現在の日本列島となっている。また、ムー時代にも日本という国は存在しており、それを統治していたのが国津神と呼ばれる人々であったようである。
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ここに述べられているのは、和宏少年を始めとする霊能者たちの証言等を浅川様が総合的に判断した上でのまとめである(P.216)。
宇宙人、ムー、アトランティスを絡めてのトンデモ超古代史。どうやら、日本列島は、ムー大陸の一部だったらしい(笑)
ただの妄想以外の何モノでもない。
※(その3)へ続く
2012.11.27 新規
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子供がこんな妄想語り出したら、諌めるのが大人の役目だろうに、真に受けてどうするんダヨ。。。 |
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