『竹内文書』は、古代より竹内家に代々伝わってきた古文献とされるものなのだが、超古代に天皇が地球を統治していたとしていたり、イエスやモーゼが日本に来て死んだとしたりする荒唐無稽な内容もさることながら、かなり分かり易い偽書っぷりを披露している。
例えば、太古の昔に天皇がその子息達に世界各地の統治を任せ、その子息達の名前がそのまま地名になったとされているのだが、その一部をあげれば以下の通りである。
○インダウ天竺万山黒人民王 → インド
○ヨイロバアダムイブヒ赤人女祖氏 → ヨーロッパ
○アジアシャムバンコクムス白人祖民王 → タイ・バンコク
○アシアアンナムノハノイ青人民王 → ベトナム・ハノイ
○ヨハネスブルク青人民王 → 南アフリカ・ヨハネスブルグ
○ヒウケエビロスボストン赤人民王 → アメリカ・ボストン |
『竹内文書』が公開されたのは昭和3年のことだが、当時知りえた地名をもとに皇太子たちの名前を作成したのがチョンバレである。
また、『竹内文書』の中には、「イスキリス・クリスマスの遺言」というイエス・キリストが残したとされる文書があるのだが、何故か、ファーストネームが「イスキリス」と、「イエス・キリスト」を短縮したようなものであるのに加え、それに「クリスマス」が追加されるというワケの分からなさである。(※『竹内文書』の中では、十字架で死んだのは弟のイスキリであって、イエス本人は日本に来て死んだとされる)
ちなみに、クリスマスの語源は、「キリストのミサ」を意味する英語の「Christ's
Mass」である。
さらに、『謎解き古代文明』(ASIOS・彩図社・2011年)には、『竹内文書』が偽書である根拠として以下の項目があげられている。項目だけ列挙しておくので、興味のある方は該当書籍を参照願いたい。
『謎解き古代文明』 (ASIOS・彩図社・2011年) P.252-253
・当時は使われていなかった文法や仮名遣いの誤りが多々見られる
・名前を少し変えただけの人物が多数出てくる
・地位を表す位階の記述に誤りがある
・史実と合わない
・違う人物による文書が同じ筆跡になっている |
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