インチキ占い師・霊能者の手口(その1)

 世の中には、インチキ占い師・霊能者たちが数多くいて、しかも、それなりの信者を集めている。

 ホンモノの特別な能力が無ければ、通常、信者を集めることなど出来ないと思うかも知れないが、実際は、人を信じさせ、集めるのには、ホンモノである必要はない。

 ニセモノであっても、ホンモノっぽければ、それだけで信者を集めるのには十分なのである。

 そして、むしろ、ニセモノの方が、例えば、「私が救世主です」、「私は正神界から転生してきた」などと積極的に自分がホンモノであることをアピールするので、その分、そのようなレッテルや記号を判断の大きな拠り所にしている人達が集まり易いと言えよう。


 さて、当記事では、このようなインチキ占い師・霊能者たちが、如何にして自分をホンモノっぽく見せ掛けるか、その手口を私の知る限り紹介して行きたい。

 なお、当記事の題名を「インチキ占い師・霊能者の手口」として、インチキ占い師とインチキ霊能者を同列扱いにしたが、その理由は、手口が基本的に同じだからである。

 一方、彼らが異なるのは、未来等を見通せる等といった自分の能力の根拠であり、それは、その力が占星術やタロットなどの占いに依るものとしているか、それとも、自分の霊視能力や守護霊のお告げ等に依るものとしているかの違いでしかない。

 結局のところ、彼らの境界は曖昧であり、もっともらしく自分の能力を説明する為に、占いを使用しているか、霊能力を使用しているかだけの違いなのである。(※ただし、両方を併用している場合もある)


 それでは、順に、彼らの手口を見て行こう。


1.バーナム効果

 「バーナム効果」は、Wikipediaでは次のように定義されている。
Wikipedia「バーナム効果
誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう心理学の現象。
 定義だけでは分かりづらいと思うので、同じくWikipediaに記載されている具体例を見てみよう。
@あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。

Aまた、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。

Bあなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。

C外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向があります。

D正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。

Eあなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。

Fそのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れることはありません。

Gしかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことにも気付いています。

Hあなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。

Iあなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。
 この文章を、「あなたの性格を分析した結果です」と言われて渡されたら、通常、「当たってる!」と思うはずである。
 何故なら、この内容は、誰にでも当てはまるものだからである。

 そう言われて、再度、上記文章を冷静に読み直したら、おそらく、「ま、そりゃそーだよね」と思うことであろう。

 しかし、「バーナム効果」というものを知らずに、上記内容を、例えば、占いや霊視の結果として示された場合、人は、先の定義でもあった通り、「自分だけに当てはまる正確なものだ」と捉えてしまい、「当たってる!」と思ってしまうのである。

 その理由の一つは、上記の性格・性質は、普段、自分が特別に意識したりしないものだからである。

 よって、示されても、即座に自分に当てはまるかは判断できない。それでまず、自分の過去の行為等を振り返り、該当の性格・性質がないかを検索することになる。そうすると、当然ながら、自分の中に該当の性格・性質を見い出すことになり、「見透かされた!」「当たってる!」と受け取ってしまうことになるのである。

 そして、普段、人は、上記のような自分の性格・性質について、あまり意識することはないので、その分、「自分でも意識していない性格・性質を見透かされた!」と感動は大きいものとなる。


 さらに、上記の内容を分析してみると、特定の性格・性質について、両方のことが書かれているものがあることが分かるはずである。

 それは、@の「好かれたい」と「自己を批判」、そして、Hの「外交的・社交的」と「内向的」である。

 人は、通常、ある性格・性質について、両方の面を持っているものである。

 例えば、明るいだけの人などいないし、積極的なだけの人なんかもいない。どんなに明るく見える人でも時に落ち込む時もあるし、また、どんなに積極的な人でも、尻ごみしてしまう場面もあるだろう。

 結局、「あなたは明るい時もあれば、暗い時もあるよね」という当たり前のことを、上記のように、もったいつけて、それっぽい文章に変えて示せば、相手には「バーナム効果」が生じることになるのである。


 以上、「バーナム効果」を説明して来たが、これを、例えば、占いの場で使用すると、より効果的に活用することも可能である。

 占いでは、相手と直接対面して行うことが多いので、相手の見た目やそれまでの会話から、相手の性格・性質に関する情報がある程度、分かっていることになる。

 よって、例えば、如何にも、快活で明るい性格の人に対しては、その逆である以下のことを言えば良い。
「あなたは、基本的に明るい性格だけど、一人でいる時は、時に落ち込んだり、後ろ向きの考えになっちゃうこともあるでしょ?」
 その相手は、「如何にも、快活で明るい性格」であるから、普段、他人からそう言われることも多いはずである。しかし、上記のように、普段言われ慣れていない逆のことを言われると、「この人には、普段、他人に見せていない部分を見透かされた!」と思ってしまうことになるのである。

 このように、相手の見た目の性格と逆のことを言っておけば、簡単に相手の信頼を得ることができると言えよう。


 なお、占い等の場では、相手の性格・性質について、先に見た具体例のように一気に羅列することはなく、話の流れの中で小出しにすることが多い。よって、その分、「結局、誰にでも当てはまるじゃん」と気づかれる可能性も低いと言えよう。




 ※(その2)へ続く



2013.02.26新規






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