『みんなが幸せになる ホ・オポノポノ』にツッコミ!(その2) |
書 名 |
みんなが幸せになる ホ・オポノポノ |
著 者 |
イハレアカラ・ヒューレン / インタビュー櫻庭雅文 |
出版社 |
徳間書店 |
価 格 |
1500円(税別) |
出版年月 |
2008年9月 |
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●ツッコミ |
(注)当記事は「『みんなが幸せになる ホ・オポノポノ』にツッコミ!(その1)」の続きである。
(その1)では、主に、本書が如何に「開運グッズの広告」臭いかを記載したが、当記事では、ヒューレン様の主張の矛盾点等にツッコミを入れていきたい。
(その1)で記載したように、ホ・オポノポノにおいて「潜在意識」という言葉は、キーワードと言えるほど重要なものである。
よって、まずは、この「潜在意識」について、本書でどのように記載されているかを見ていきたい。
私たちを動かしている潜在意識の記憶は100万あります。1秒のうちに100万の記憶が立ちあがっているのです。
さらに、潜在意識の記憶はこの世の創世からの記憶にアクセスしています。
それだけ多くの記憶に動かされているのに、私たちはそれに気づくことができません。〜(中略)〜
記憶の中には、素晴らしい出来事もまがまがしい出来事も、すべて含まれています。その記憶によって、私たちは行動してしまうのです。
私たちをコントロールしているのは100万のデータなのに、その100万分の1しか認識できません。(P.64-65)
(注)文字に色をつけたのは管理人(以下、同様)
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私たちの潜在意識には、100万の「この世の創世からの記憶」が毎秒立ちあがっているらしい。
1秒に100万なら、10秒だと1000万になると思うのだが、「私たちをコントロールしているのは100万」らしい。つまり、毎秒、同じ100万の記憶が「アップロード→アップロード(上書き)」、もしくは、「アップロード→記憶の消去→アップロード」を繰り返していると言うことか。
どうせなら、1回アップロードしたら、後は追加分のみをアップロードすれば良いのに、非効率なシステムである。
また、本書では、潜在意識のことを「インナーチャイルド」とも呼んでいるが、その説明を見てみよう。
ホ・オポノポノのインナーチャイルドというのは、自分の子供の頃の記憶のことではありません。この世が創られてから今日にいたるまで、海陸空、すべての動植物が経験した記憶をもっている潜在意識そのものです。子供のような振る舞いをするので、子供、インナーチャイルドと呼んでいます。
インナーチャイルドは、もともと天使のような存在なのですが、放ったらかしにしてクリーニングしてあげないと、記憶をそのまま投影してしまいます。人間関係の苦悩や傷跡、痛手など、ネガティブな記憶を増幅し、マイナスの投影をすることがあるのです。〜(中略)〜
もともとインナーチャイルドは、愛されるためにこの世に現れている存在なのです。
私たちが認識している顕在意識は母親です。〜(中略)〜
母親が自分の子供に対して、「愛しています」と言うと、子供の痛みは浄化されます。すなわち、クリーニングするのです。(P.122)
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インナーチャイルド(潜在意識)は子供のような存在で、「愛しています」と言ってあげないといけないらしい。
1秒毎に100万の創世から記憶が立ちあがり、かつ、愛を欲しがる子供のような存在。よく分からない潜在意識像である。
さらに、インナーチャイルドについて、次のように書かれている。
両肩を抱きしめて、しっかり感情を込めて惜しみない愛で満たしてあげます。親が手を抜いてかたちだけのことをしていたら、子供はそれを敏感に感じとります。インナーチャイルドも、まさに同じようにウハネ、すなわち母である顕在意識の愛情に敏感なのです。(P.125)
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心からの愛情をもって接しなければ、インナーチャイルドの協力は得られません。インナーチャイルドが「ずっと強力してあげる」とうなずけば、潜在意識は顕在意識の願いを無条件に聞き入れてくれるようになります。(P.125)
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インナーチャイルド(潜在意識)には、「心からの愛情をもって接しなければ」ならなく、また、手を抜いて形だけのことをしたらダメらしい。
しかし、一方で、ヒューレン様は次のようにも言っている。
「愛しています」と潜在意識の記憶、すなわちインナーチャイルドに語りかけるだけで、潜在意識の記憶が変換に導かれるのです。(P.115)
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コンピュータで、デリート(削除)のボタンを押すときに、感情をこめてボタンを押すような人は誰もいません。ですから、デリートボタンを押すように、ただボタンを押すだけのことです。ただ、機械的に言葉を心の中でつぶやけばいいだけです。(P.195)
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「心からの愛情」が必要だと言ったり、「ただ、機械的に言葉を心の中でつぶやけばいい」と言ったり。ここまで正反対のことを言っておいて、自分でおかしいと思わないのだろうか。
また、(その1)で説明したように、ヒューレン様は、持っているだけで常に浄化され、仏陀の悟りを実現できると言う、「Ceeport」グッズを紹介している。
こんなグッズなど、もはや、愛情がないどころか、言葉すらもない。形だけの極致だと言ってもいいだろう。
一方で、心からの愛情が必要だと言っておきながら、他方では、グッズを持っているだけで仏陀の悟りが実現できるとまで言ってしまう。
大丈夫ですか?ヒューレン様。
根本的な概念に関することで、こんな矛盾したことを平気で言っているようじゃ、お話になりませんヨ!
以下は個別のツッコミである。
ここが大切なポイントなのですが、ホ・オポノポノで何かをしようというとき、自分のための利益を考えてはいけません。(P.82)
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私には、「Ceeport」グッズの販売など、自分のための利益を考えての行為だとしか思えないのだが。「Ceeport」という言葉に力があるのなら、「持ち物に『Ceeport』と書いて持っていなさい」で事足りるであろう。
ハワイ州政府の文部省から、校長先生たちだけが集まる会議で講演してくれという依頼があったことがあります。
私はいつもどおり、講演の前にクリーニングを始めました。しかし、クリーニングしているうちに、私がどんなことを言おうとも、二度と校長先生たちの講演会には呼ばれないだろうということがわかってしまいました。
どんなにクリーニングしても、校長先生たちは私の話に耳を傾けなくなるだろうということがはっきり見えてしまったのです。〜(中略)〜
世の中をよくしようと思ったら、自分自身が変わるしかありません。校長先生たちは、自分たちを変えなければならなかったのです。(P.82-83)
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以下の通り、オ・ポノポノでは「誰にどんなことが起きようと、100パーセント自分の責任」のはずなのに、ヒューレン様は、「校長先生たちは、自分たちを変えなければならなかったのです」と、校長先生たちが二度と耳を傾けなくなった原因を校長先生のせいにしてしまった。
どうやら、ヒューレン様も、「すべての原因が自分にあるということは理解」できていないらしい。
このように、ホ・オポノポノで大切なのは、誰にどんなことが起きようと、100パーセント自分の責任だということなのです。(P.41)
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私の目に映った部長の姿は、私自身の中にある記憶の反映にすぎないということ飲み込めていなかったのです。
自分の思いに対して100パーセント責任をとろうとしないかぎり、すべての原因が自分にあるということは理解できません。(P.45) (管理人注:この文章は、体験談の中のもの) |
このように、女性の尊厳を認めず、欲望の対象や所有物として見ない考え方が、男性も女性も幸せになれない世の中にしてしまっているのです。
日本は地震の多い国ですが、日本の女性は記憶として抱えている怒りがとくに大きいので、それが大地の揺れとなって表れているのです。女性を敬い、愛をもって接し、もっと尊厳を認めたら、地震は減少することになります。(P.185)
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ヒューレン様によると、日本に地震が多いのは、女性の尊厳を認めないかららしい。
もし、これが本当なら、日本で今までに大きな地震が起きたところは全て、特に女性の尊厳が認められていない地域であるということになるし、また、イスラム教の国々は日本などよりもはるかに地震が多くなくてはならないだろう。
すぐにウソだと分かる発言である。
ヒューレン様は、日本人女性について前時代的な「男性の言うことには逆らわない。男性の3歩後ろを歩く」などと言ったイメージを未だ持ち続けていて、安易に地震に結びつけたのではないだろうか。
以上、本書は、理論構成が未整理・未成熟で、根本的な箇所に矛盾をはらんだものである。とても、体験談に記載されているような効果があるとは思えない。
なお、私が、こんな風にヒューレン様の唱えるホ・オポノポノを否定する記事を書いてしまったのは、きっと潜在意識の記憶がクリーニングされていないからであろう。
しかし、この記事に関して、私を責めるのはお門違いである。
なぜなら、ヒューレン博士によると、「誰にどんなことが起きようと、100パーセント自分の責任」なのだから、全てはヒューレン博士の責任である。
また、もし、信者の方がこの記事を見て腹が立ったとしたなら、それは、ご自分の潜在意識の記憶がそうさせているのである。
ヒューレン様の教えに従い、私のせいにしないで、ご自分の潜在意識の記憶をクリーニングすべきであろう。
そして、もし、きちんとクリーニングができたのなら、そのクリーニングが私にも及んで、私はこの記事を削除するに違いない。
2010.11.27 新規
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