『宇宙が応援する生き方』にツッコミ!(その1) |
書 名 |
宇宙が応援する生き方 |
著 者 |
小林正観 |
出版社 |
到知出版社 |
価 格 |
1429円(税別) |
出版年月 |
2008年6月 |
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●本書概要 |
本書の題名の通り『宇宙が応援する生き方』が書かれた本で、各章の題は以下の通り。
第一章 言葉の力で病気を予防
第二章 祝福神でうつに克つ
第三章 能力を開花させる脱力のススメ
第四章 「なしあわせ」の仲間づくり
第五章 最高の幸せは心穏やかに生きること
第六章 なぜ私たちは日本に生まれたのか
第七章 幸せの源にある「ありがとう」
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●ツッコミ |
おそらく、講演会の内容をまとめたものだと思われるが、おそろしくデタラメばかりが書かれた本である。
具体的には以下の通り。
<P.17-19>
そして、こうした人間の体の反応をプラシーボ効果と言います。
このプラシーボ効果は常に医者にとって大きな武器になるものです。お医者さんが白衣を着て現れて、小麦粉を薬だと偽って患者に出すと、七割方は効くのだそうです。太平洋戦争の頃は薬がなくなったため、ほとんど小麦粉を薬と偽って出していたそうですが、それでも七割効いたというのです。
皆さんも同じことで、頭痛のときに、白衣を着たお医者さんから「この頭痛薬はよく効きますよ」と言われると、頭痛が治ってしまう。腹痛でも同じ。
もちろん薬自体の効き目もあるでしょうけれど、それに加えて、権威のある落ち着いて自信に満ちた態度のお医者さんから「これで治りますから大丈夫ですよ」と言われるから、安心して治ってしまうところもあるのです。暗示効果です。
このように、人間は認識によって体が反応するようにできているらしいということをお伝えしておきます。
私の体は超合金、私の体はサイボーグ
そういう体の仕組みと、今の「愛してる、大好き、ありがとう」という声をかけた部分が痛みを感じにくかったという事実を前提に考えると、自分の体に“ある認識”をさせると、体の状態がちょっと違うものになるかもしれない、ということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
だから、風邪をひかなくなるようにするには、「自分は風邪をひかない体なんだ」と言い聞かせればいいわけですね。
たとえば、こんな合言葉を唱えてみる。
「私の体は超合金、風邪はひかない、病気はしない、私の体はサイボーグ(細胞グー)」
と言って、右手を上に向かって突き上げるんです。
これを皆さん、十回繰り返して、自分の体に言い聞かせてください。
(注)青字にしたのは管理人(以下同様) |
プラシーボ効果等を例にあげて、「私の体は超合金、風邪はひかない、病気はしない、私の体はサイボーグ」と自分の体に言い聞かせる健康法を勧める教祖様。ちなみに、この文章は「言葉の力で病気を予防」という章の中の一節である。
まあ、「病は気から」とも言われるので、多少の効果もあるかも知れないが、こんなことで病気が予防できたり、健康な体が作り上げられれば世話がない。
なお、本書の発売は2008年のことだが、次の文言は、2011.6.20時点で教祖様のHPのトップに記載されていたものである。
「小林正観さんのホームページ」 http://www.skp358.com/ ※2011.6.20時点
だいぶ元気になったので月に数回の講演会活動を復活しました。
みなさん、元気な姿を見せに来てください。 − 小林正観 − |
どうやら、教祖様は体調不良で講演会を休止していたらしい。
ただし、完全に復調したわけではないようで、同HPの「小林正観さん活動日程のご案内」の講演会の予定表には、「正観さんの体調により変更になる場合があります」との文言が記載されていた。
さらに、2011.10.18時点で確認すると、トップページには次の文言が記載されていた。
「小林正観さんのホームページ」 http://www.skp358.com/ ※2011.10.18時点
2011年10月12日小林正観さんが62歳で永眠いたしました。
葬儀は10月16日に滞りなく執り行われました。ここに生前のご厚誼に感謝いたしますとともに、謹んでご報告申し上げます。ありがとうございました。 |
え、永眠しとるやんけ・・・orz
どうやら、教祖様自身は、超合金にもサイボーグにもなれなかったようである。
<P.33>
二十代の日本人男女の死因で一番多いのは交通事故です。では第二位は何か知っていますか?これが白血病なんですね。つまり、病気で亡くなる二十代男女の病名のトップが白血病なのです。
二十代で白血病にかかって死んでいく人には共通項があります。見た目、性格、頭のよさという三拍子がそろっていることです。
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二十代の日本人男女の死因の第二位は白血病で、「見た目、性格、頭のよさという三拍子がそろっている」というのが、白血病で死ぬ人の共通項らしい。
まず、白血病は二十代の日本人男女の死因の第二位ではない。
厚生労働省の「平成19年 人口動態統計月報(年計)概数の概況」の「第8表 死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」によると、二十代の死因の第一位は自殺、第二位は交通事故、第三位は悪性新生物である。(※平成19年のものを使用したのは、本書の発売年月が平成20年6月である為)
何故か、第一位の自殺をすっとばす教祖様。
そして、第三位の悪性新生物に白血病が含まれることになるのだが、同じく厚生労働省の「平成19年 人口動態統計月報(年計)概数の概況」の「第10表 年齢階級別にみた選択死因分類・性別死亡率(人口10万対)」を見ると、20代の悪性新生物の8.4(3.5+4.9)の内、白血病は1.9(0.9+1.0)と悪性新生物の内で最も大きい数字となっており、かつ、これは病死の内で最も大きな値である。
よって、「病気で亡くなる二十代男女の病名のトップが白血病」というのは正しいようだ。(※心疾患と言う枠組みで見ると5.9(2.3+3.6)と白血病より大きいのだが、細分化すると白血病の1.9より小さい数字となる。また、死因の全体が91.6(43.4+48.2)である内の白血病1.9なので、死因の第三位とは言え、白血病で亡くなる割合は約2%に過ぎない)
次に、白血病で死ぬ人の共通項の「見た目、性格、頭のよさという三拍子がそろっている」であるが、当然、このようなことを示す統計や論文があるワケもない。
なお、20代で白血病で亡くなった有名人と言えば、女優の夏目雅子さん(享年27歳)が思い出されるが、若い芸能人が白血病で亡くなるとTV等でセンセーショナルに報道されるので人々に強い印象が残ることになる。
教祖様はそのような報道等を見て白血病に対する誤った印象を持ち、勘違いしているのではないだろうか。
<P.84-85>
幸せとは「なしあわせ」
〜(中略)〜
お互いにし合ってあげること、たとえば「あなたの体は超合金」とお互いに言い合うこと、これを「為しあわせ」と言います。この「為しあわせ」という言葉が「幸せ」という言葉の語源になりました。つまり、幸せとは、お互いに“してあげあう”ことを言うのです。幸せとは「為しあわせ」なのです。
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教祖様によると、「『為しあわせ』という言葉が『幸せ』という言葉の語源」らしく、「幸せとは、お互いに“してあげあう”ことを言う」らしい。
日本語源大辞典によると、「幸せ」の語源は以下の通り。
『日本語源大辞典』 前田富祺(監修)・小学館
そして、「しあはす(為合)」の意味は、
デジタル大辞典 「為合はす(シアワス)」
1 物事をうまくやりおおせる。つじつまを合わせる。
2 作って合わせる。
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教祖様の言うような、「お互いに“してあげあう”」などと言った意味などない。
どうやら、教祖様、「為合(しあ)はす」を「なしあはす」と誤った読んだ上で、「為(な)し合う」ことだと勘違いしたようである。
ちなみに、本書の帯には、次の文言が記載されている。
誤った知識をスタートに展開した話が、「究極の生き方」だそうだ(笑)。
教祖様へのツッコミは、(その2)へ続く。
2011.12.06新規 |