『池田邦吉氏のノストラダムス解釈に注目が集まっている』にツッコミ! ・・・ 船井幸雄様

 船井様によると、今、経営者の間で、池田邦吉氏が解釈するノストラダムスの預言に非常に注目が集まっているらしい。

 なお、ここで言う「今」とは、
2007年のことで、船井様の著書『可能性60%以上!! もうすぐ次元上昇か』(徳間書店・2007.9)にそのことは記載されている。

 2007年と言えば、1999年のノストラダムス騒動が終わった7年後で、世間では一部のオカルトマニアを除き、誰もノストラダムスに関心を向けていなかった頃であるが、船井様や経営者たちは懲りずにノストラダムスに注目していたそうだ。


 順に、該当書籍の内容を見て行こう。
<P.81-82>
 ノストラダムスの預言集が
 経営者の注目を集めている



 私の友人に、ノストラダムス(1503〜1566年)の研究で知られる池田邦吉さんがいます。
 彼のノストラダムスに関する著作はさまざまありますが、最新のものとして『21 ノストラダムス〈NO4〉』(2006年12月、明窓出版刊)を紹介しておきましょう。

 〜(中略)〜

 池田さんは、東京工業大学の建築学科を卒業した元建築家でツーバイフォー工法の権威として知られていましたが、1993年からノストラダムスの研究にのめり込み、ノストラダムスに関する数々の著作を上梓してきました。
 
池田さんの研究の成果をみていると、ノストラダムスの預言の大部分が的を射ていると思われます。しかし、500年近く前の預言ですから、若干その実現の時期のズレがあることは否めないようです

(管理人注)文字に色を付けたのは管理人(以下同様)。
 船井様によると、池田邦吉氏の研究の成果を見ると、ノストラダムスの預言は、若干の時期のズレがある程度で、「大部分が的を射ている」らしい。

 そして、
<P.82> (※上記からの続き)
 しかし、『21 ノストラダムス〈NO2〉』(2003年9月、明窓出版刊)には、イギリスのチャールズ皇太子とカミラ・ボウルズさんが結婚すると書かれていました。これは2005年4月に実現しています。
 池田邦吉氏の解釈によると、ノストラダムスはチャールズ皇太子とカミラ・ボウルズの結婚を預言していて、見事的中させたらしい。

 チャールズ皇太子は1995年にダイアナと結婚したが、それ以前から続いていたカミラとの関係は解消されず、結局、それが原因で1996年に離婚となった。一方、ダイアナは1997年にパリで交通事故死した。

 そして、池田邦吉氏の該当の書籍が発売されたのは2003年のことであるから、ダイアナの死から6年後のこととなる。

 チャールズ皇太子とカミラの結婚は誰にでも容易に予想できることであり、それで時期まで外していれば、どうしようもない。こんな程度のものを予言的中の例として挙げていること自体が逆に怪しいと言えよう。もっと、マシな的中事例は無かったのだろうか。


 さらに続きである。
<P.82> (※上記からの続き)
 私もノストラダムスには関心があって、池田さんとノストラダムスに関する二冊の共著『あしたの世界』(2004年3月、明窓出版刊)、『あしたの世界パート2』(2004年7月、明窓出版刊)があるくらいですが、いま経営者のあいだで池田さんが読み解くノストラダムスの預言に非常に注目が集まっています
 経営者は経済の実態を肌で感じていますから、いまの世の中が常識外の方向に向かいつつあることを感じているのでしょう。また、頭がやわらかくないと、できない職業です。私は、学者とマスメディアの対極に経営者がいると考えているくらいです。
 彼らが、時代の方向性を探る一つの指針として、池田さんの著作や言動に目を向けているのです。
 船井様も、池田邦吉氏と共著があるくらいノストラダムスに関心があり、また、経営者たちは、「いま経営者のあいだで池田さんが読み解くノストラダムスの預言に非常に注目が集まってい」るらしい。


 このように、船井様は、池田邦吉氏の解釈によって、「ノストラダムスの預言の大部分が的を射ている」と思い、また、自著で紹介したり、共著まで出したりしているのであるが、ここで、池田邦吉氏がどのような解釈をしているのか見て行こう。

 まず、Wikipediaの池田邦吉氏の説明を見てみると、次のように記載されている
<Wkipedia「池田邦吉」>
1999年には結局なにもおこらず、ノストラダムス肯定派のほとんどが解釈本の出版から撤退した中で、彼は2000年以降も新しいノストラダムス解釈本を刊行している。いずれの解釈も単なる牽強付会と妄想の産物で、現在まで彼の解釈が的中したためしはない
 「いずれの解釈も単なる牽強付会妄想の産物で、現在まで彼の解釈が的中したためしはない」と言い切られてしまっている(笑)

 次に、池田邦吉氏の解釈が、具体的にどのように、「単なる牽強付会」「妄想の産物」なのかを見てみよう。

 なお、池田邦吉氏の解釈については、『トンデモ ノストラダムス本の世界』(山本弘・洋泉社・1998.7)という書籍の中で分かり易くツッコミが入れられているので、そちらを参照して行きたい。
『トンデモ ノストラダムス本の世界』 P.112-114
 だいたいこの人、自分でも書いているが、「外国語はからっきし苦手」「大学時代にドイツ語を第二外国語として選択したことはあったが、卒業とともに、それも忘却の彼方に消えていた」という。つまり、フランス語はまったく学んだことがないのだ。それなのにどうしてフランス語の詩が解読できるというのか
 それは、
ノストラダムスの霊に教えてもらっているからだそうだ。


 
ストンと“日本”が浮かび上がる。

 たとえば、第10巻32番の詩に出てくる
「大帝国」という言葉を、池田氏は「大日本帝国」と訳す。その根拠はこうだ。
 (前略)大帝国などというものは歴史上に数多く存在する。はたしてここではどの国のことを指しているのかと考えながら、私はじっと文字を見つめる。すると単語と単語の間が開き始め、そこにストンと“日本”の文字が浮かび上がる。このように、私は分からなくなるとノストラダムスに直接聞いてみる。ノストラダムスの肉体は滅びたけれど、その魂は健在である。
 また、第9巻64番に出てくるAematienという単語の解釈はこうだ。
 (前略)判読できずに弱っていると、そのとき、ブラジルのアマゾン川の茶褐色の流れが、緑の樹海を大きく蛇行して行く大パノラマの映像となって目の前に浮かんだのである。「アマゾン川のことなのですね」と私はノスに話しかけていた。解読を始めてまだ間もない1994年のことである。
 ノストラダムスを「ノス」なんて気安く呼んじゃうのは、この人ぐらいのもんだろう。
 ノストラダムスの霊はしょっちゅう池田氏を手助けしてくれる。
onaeという単語の意味が分からず悩んでいたときには、「aの上部が突然細かく振動しはじめ」、aの頭の部分が垂直に伸びてdに変わり、onde(波動)という意味だと分かったそうだ。実に便利である。
 
このように池田氏の翻訳は霊感に導かれているので、フランス語の本来の意味や文法など無視している。だから、なぜそう訳せるのか、常人には理解できないものが多い。
 たとえば、第3巻85番の詩は地下鉄サリン事件の予言だという。二行目に「美しい若者」という箇所があるのだが、池田氏はこの「美しい」という言葉には「醜い」という意味があると言い、「醜い未熟な者ども(ちなみに原文のjenueは単数形)と訳して、オウム信者のことだと解釈するのだ
 また、第8巻66番に出てくる
「D・M」という言葉はDAME(婦人)と読み、エリザベス女王のことだと解釈する。
 (前略)しかし、なぜ突然にDAMEであることが解けたのか。それは私にも分からない。科学的根拠も論理的根拠も何もない。(後略)
 うーむ、これは最強の言い訳かもしれない。池田氏自身が「科学的根拠も論理的根拠も何もない」と認めてしまっているのだから、どんな論理的批判も無意味である。
 以上、お分かりの通り、かなりのトンデモ。しかも、世に数多あるトンデモの中でも、猛者中の猛者であると言えよう。
 
 Wikipediaで「単なる牽強付会」「妄想の産物」と称されていた理由がよく分かることであろう。当然、こんなデタラメな解釈など当たるはずもなく、「現在まで彼の解釈が的中したためしはない」とまで言われてしまっているのである。

 なお、ここで引用したのは、一部のみであるので、池田邦吉氏のトンデモ解釈をもっと知りたい方は、『トンデモ ノストラダムス本の世界』(山本弘・洋泉社・1998.7)を参照いただきたい。


 しかし、このような解釈を読んで、「池田さんの研究の成果をみていると、ノストラダムスの預言の大部分が的を射ていると思われます」と言い、自著等で紹介してしまう船井様って、いったいどんなセンスをしているんでしょうねぇ。。。

 まともな判断力を持っていれば、ノーヒントで、
どうしようもないトンデモだと分かるだろうに。

 これも、「100%のプラス発想」とやらの成果であろうか。(※「100%のプラス発想」については、記事「『エヴァへの道』にツッコミ!(その3)」を参照)


 ちなみに船井様は、池田邦吉氏のことを「第2章 なぜか、よい面での“びっくり現象”が続出している」という章の一番最初に紹介している。

 船井様、どう考えても、「よい面」じゃなくて「わるい面」での“びっくり現象”ですよ!

 こんなデタラメな解釈を真剣に主張できる人物がいて、かつ、それを本にする出版社がある。さらに、その内容を真に受けて、世に広めようとする船井様のような人物がいる。

 まさに、“びっくり現象”である。



2011.11.29 新規

経営者が注目しているって、アンタが紹介することによって、アンタの信者の経営者が注目しているダケだよナ?