『アガスティアの葉』にツッコミ!(その1) ・・・ 小宮光二様

書 名  アガスティアの葉
著 者  小宮光二
出版社  ピースオブライフ出版(発行) 星雲社(発売)
価 格  1,000円(税別)
 出版年月  2008年10月

●本書概要

 インドに何千年も伝わる予言書「アガスティアの葉」には、私たち一人一人の情報が記載されているらしい。

 本書は、その「アガスティアの葉」を説明・紹介するものであり、また、「アガスティアの葉」に書かれていた小宮様に関する予言が、小宮様の解説とともに掲載されている。



●ツッコミ

 本書によると、インドには、アガスティアという人物が残した「アガスティアの葉」なるものが存在し、そこには過去・未来を含めて私たち一人一人の情報が予言されているらしい。

 まずは、この「アガスティア」、及び、「アガスティアの葉」の本書における説明を順に見て行こう。
<P.10>
 これからあなたが読むものは、実際にアガスティアの葉の特別室の一つ、「プラシュナ・カンダム」を通してアガスティア自身が皆様に語る言葉です。おそらく現代の私たちには想像しがたいことも多いと思いますが、本人の語るところに則して忠実に伝えていこうと思います。

(※管理人注)文字に色を付けたのは管理人(以下、同様)。
 なんか、よく分からんが、「アガスティア様が現代の私たちに読まれることを見越して、あらかじめ言葉を残していた」ということだろうか。

 まあ、そういうことにしておこう。ちなみに「カンダム」は予言という意味のようだ。
<P.10> ※上記からの続き
◆なぜアガスティアの葉を残したのか

 わたしアガスティアは
今から1万7000年前、いや、永遠の命に入ったわたしには、もはや時間と空間といった区別はなく、どこにでも、そしていつでもみなさんと共に生活しているといえます。
 どうやら、アガスティア様は、1万7000年前に地上に生きていた人物らしい。

 ちなみに、小宮様のHP「アガスティアの葉」を見てみると、
「アガスティアの葉」→「アガスティアの葉代行取得」
http://www.agasthiya.com/agasthiya/index.html ※2012.7.30時点
わたしアガスティアは今から200万年前、いや永遠の命に入ったわたしにはもはや時間や空間といった区別はなく、どこにでも、そしていつでもみなさんとともに生活しているといえます。
 文章は基本的に同じなのに、何故か、「1万7000年前」「200万年前」に変更。

 えらく、上乗せしましたな(笑)

 あと、HPの方、「いや永遠の命に入った」の後に句点つけて、そこで文章切ったらアカンやろ。


 そして、アガスティア様がどこに住んでいたかと言うと、
<P.11>
 わたしは、まだこの地(インド)がリムリアと呼ばれていた時代のはじめ、みなさんと同じ3次元の地球に肉体を持ちました
 そのころの
南インドの沖にはリムリアと呼ばれる大きな大陸があり、現在のインドとは地続きで行き交いができました。
 
リムリア文明は現在のドラヴィタ人と呼ばれる黒人が主体の文明であり、この文明の特徴は政治や経済よりも神の価値の方が社会的に上だった点です。つまり、当時の王様や指導者たちは、常に聖者の教えに沿った生き方をし、聖典を学び、民を統治していました。
 リムリアと呼ばれていた頃のインドらしい。

 あ〜あ、出ちゃいましたね。リムリア文明

 これは、当ページで何度も指摘してきた
ムリア文明というもの。再度、レムリア文明について説明しておこう。
※既に十分知ってるよ、という方は読み飛ばして下さい。
 そもそも、レムリアは、学術的研究の仮説として登場したものである。

 アフリカ東部のマダガスカル島にはキツネザルが生息しているが、この仲間は世界中で存在していない。しかし、同種の化石がインドから発見され、また、近縁の種はインド洋を挟んでアフリカ中部と東南アジアのマレー半島、インドネシアにのみ生息している。

 このことから、イギリスの動物学者フィリップ・ラトリー・スクレーターが1874年に、
インド洋にかつて大陸が存在していたという説を唱え、その大陸は、キツネザル(レムール)にちなんでレムリア大陸と名付けられた。

 そして、この説では、レムリア大陸で誕生したキツネザルが陸橋を伝ってアフリカとアジアに移住したとし、また、約5千年前にレムリア大陸は沈没したが、西端のマダガスカルだけが海面に残ったとした。

 しかし、この説は、1968年にプレートテクトニクス理論が完成し、大陸移動説の裏付けが確実なものとなったために否定されている。上記のようなキツネザルの近縁種の分布は、インド洋の架空大陸を想定しなくても、大陸の分離・移動によって説明できるからである。

 以上にように、学説で登場した架空のレムリア大陸は、現在では完全に否定されたものである。

 しかし、一方で、レムリア大陸は説の登場以降、オカルティスト達の手によって一人歩きを始める。

 例えば、神智学のブラヴァッキー夫人(1831-1891)は、かつて
太平洋にレムリア大陸が存在していたと唱え、その大陸に暮らしていたのは雌雄同体で卵生のサルのような巨人で、ある者は四本の腕があり、ある者は頭の後ろに一つ目があったと主張した。
 また、有名な予言者エドガー・ケイシーも、霊視によってレムリアの実在を確認し、そこに暮らしていた人種について言及している。

(※参考)Wikipedia「レムリア」、『トンデモ超常現象99の真相』 と学会・洋泉社
 このようなレムリア大陸が実際に存在し、そこに文明が栄えていたなどありえるワケがないであろう。しかも、学説で付けられた名前のままで存在したなど、それこそ、ありえるワケがない(※「リ」と「レ」で異なっているが、発音や音韻変化で片付けられるレベル)。

 はっきり言って、この点だけでも、
「オカルティスト達の唱えるレムリアに関するデタラメ主張を真に受けた人物が、『アガスティアの葉』なるものを創作した」と分かってしまう情報である。

 ちなみに、このリムリア大陸は本書では、「約1万年前」に海中に水没した(P.33)と記載されているが、HPの方では「約5万年前」に変更されている(http://www.agasthiya.com/agasthiya/rekishi.html)。


 さらに、上記引用には、「リムリア文明は現在のドラヴィタ人と呼ばれる黒人が主体の文明」という説明があったが、この「ドラヴィタ人」についても確認しておこう。

 ドラヴィタ人は古代からインドに定住したと考えられている民族群のことで、インダス文明はドラヴィタ人によるものと考えられている。その後、アーリア人がインドへの移住を開始し、一部のドラヴィタ人を支配して、カースト制を作り出すことになった。

 そして、このドラヴィタ人がインドに移住してきたのは、
紀元前5万3千年頃とされている。(※参考:Wikipedia「ドラヴィタ人

 本書では、アガスティア様が永遠の命に入ったのは「1万7000年前」とされていたので、リムリア文明はともかく、その頃、ドラヴィタ人が存在していたことは間違いないのだが、上述の通り、HPでは「200万年前」に変更。

 ホモ・サピエンスの出現でさえ25万年前なのに、
どうあがいたって、「200万年前」にドラヴィタ人は、いないって。

(参考)
 アガスティア様がリムリア大陸に生きていた時代がいつなのかは、上記の本書引用には記載されていないが、HPには以下の記述があり、「約200万年前」のことであることが明記されている。
「アガスティアの葉」→「アガスティアの葉代行取得」→「いつ肉体を持っていたのか」
http://www.agasthiya.com/agasthiya/Prologue.html#nikutai ※2012.7.30時点
いつ肉体を持っていたのか

先ほども話したようにわたしは今から
約200万年前、まだこの地がリムリアと呼ばれる時代のはじめ、みなさんと同じ3次元の地球にひととき肉体を持って生活をしました。





 さて、肝心の「アガスティアの葉」の説明が出て来る前に、既にグダグダな内容なのだが、続きは(その2)にて。



2012.07.31 新規

どういう理由で年代をはるか昔に変更したのか分からんが、さらに矛盾を増やしてどうするつもりダ?