カルト関連ニュース

“借金してでも責任を果たせ”統一教会が信者に課す過酷な献金強要の実態 作成日
2013.07.16

 以下の「やや日刊カルト新聞」のニュース記事には、統一教会が信者に献金を督促するメールが掲載されており、「悪質なカルトにひっかかると、こんな風に金の催促がなされることになる」という事例として紹介しておきたい。
“借金してでも責任を果たせ”統一教会が信者に課す過酷な献金強要の実態 (やや日刊カルト新聞/2013.6.28)
 該当ニュース記事には、全部で5つの督促メールが掲載されているが、その内の一つを引用すると下記の通りである。
From:
To:
Sent: Wednesday, June 19, 2013 5:14 PM
Subjest: Fw:今日からTD3日路程



>……………

>1、今日から
TD3日路程:
>本部からの指示で今日から3日路程が始まりました。総会長が22日
TMにお会いされ、日本の実情を報告されることになりました。その為の3日路程です。長崎としては今日から3日間で、500をやらなければなりません。500に対して、区域は25、基台は100で取り組んで下さい。その為全食□21数(6月8日からのカウント)を捧げられるように精誠を捧げましょう。今私達がやるべきことは、基元節入籍祝福の感謝TD140数を一日
>も早く勝利することです。
そうしなければ負債を残してしまうことになります。これを勝利すれば天からの恩恵として、新しい天聖経と平和経が伝授されます。TMがおっしゃるように、これこそが天一国の経典であり、天一国の種であり、柱になります。
>2、伝道:
>今日は新規セミナーを予定していましたが、残念ながら参加者はありませんでした。今度の日曜日、23日はオープン礼拝を行いますにので、全食□新規や再復帰を必ず動員して下さい。
今伝道いなければ氏族的メシアの使命を果たせず、天の摂理に同参、貢献できません、動員が決まったら総務まで報告をお願いします。
>3、基台長報告:
>16:00伝道とTDの報告をお願いします。

※(管理人注)「礼拝をおこないますにので」、「今伝道いなければ」は原文のママ。また、文字に色を付けたのは管理人(以下同様)。
 標題その他に出て来る「TD」とは、該当ニュース記事によると「感謝献金」を表すそうで、おそらくは、「Thank you Donation」の頭文字をとったものではないかと思われる。

 また、「TM」とは、同じく該当ニュース記事によると
「TRUE MOTHERの略で、現在の統一教会の実質的支配者である韓鶴子のこと」らしい。韓鶴子は、2012年9月3日に死去した教祖・文鮮明の3番目の妻である。

 そして、このメールでは献金を「500」集めることになっているようだが、これは500万円のことだろうか。

 さらに、上記メールで2013年6月19日から3日間で500を集めるよう指示された後、該当ニュース記事に掲載されている次のメールでは、「緊急」と銘打って、2013年6月25日から4日間で700を集めるよう指示が出されている。

 一つの献金目標が終了したと思ったら、すぐに別の献金目標が提示されており、見ているだけでも憂鬱になりそうなノルマである。

 また、別のメールでは次のような文章もある。
※メールの3/5より一部抜粋
全食□の皆さん、今回は先月に引き続き、絶対信仰で目標を勝利しなければなりません。その為先月に引き続き○○してでも責任を果たしてくださるようにお願いします。○○の場合、返○は6ヶ月でお願いします。今取り組んでいる伝道〜TDの流れがありますので返○は教区長が責任を持って行います
 該当ニュース記事によると伏せられている「○○」「借金」のことで、「返○」とは「返済」のことらしい。つまりは、「借金してでも献金しろ」と言っているのである。

 そして、「返○は教区長が責任を持って行います」と頼もしい言葉があるが、もし、教区長にそんな金銭的余裕があるのなら、わざわざ信者に借金させる必要もない。

 また、その文の前には、「今取り組んでいる伝道〜TDの流れがありますので」と書かれているところから推察すると、
「新たな信者を獲得して献金させることによって、その借金を返す」ということだろうか。

 もし、そうであるなら、借金は将来の献金の先食い。当然、いずれ破たんすることになって、最後に泣きを見るのは会員である。(もう、とっくの昔に破綻しているかも知れないが)


 以上、悪質なカルトにひっかかると、自分では天の御国や世の為に貢献しているつもりで、いいように金を吸い取られることになるという良い事例であろう。


 さて、最初に引用したメールでは以下の記事で説明した「誤った二分法」が使用されているので、こちらも解説しておきたい。
○「もっともらしい根拠(その9) 誤った二分法(1)
 「誤った二分法」とは、二つの答えの内どちらかなのかと問うことによって、あるいは二つの可能性だけを挙げてその一方を否定することによって、第三第四の可能性から相手の目をそらしてしまうことであり、非論理的誤謬の一種である(※「誤った二分法」の詳細については上記記事を参照)。

 そして、先のメールでは次の記載がある。
今私達がやるべきことは、基元節入籍祝福の感謝TD140数を一日も早く勝利することです。そうしなければ負債を残してしまうことになります。これを勝利すれば天からの恩恵として、新しい天聖経と平和経が伝授されます。

全食□新規や再復帰を必ず動員して下さい。今伝道いなければ氏族的メシアの使命を果たせず、天の摂理に同参、貢献できません。
 このそれぞれを分かり易く二択形式にすると、以下の通り。
○勝利しない(献金目標達成しない)・・・負債を残し、天からの恩恵として新しい天聖経と平和経が伝授されない。
○勝利する(献金目標達成)・・・負債を残さず、天からの恩恵として新しい天聖経と平和経が伝授される。

○伝道しない・・・氏族的メシアの使命を果たせず、天の摂理に同参、貢献できない。
○伝道する・・・氏族的メシアの使命を果たせ、天の摂理に同参、貢献できる。
 そして、メールで主張されていることが正しく、本当にこれらの選択しかないのであれば、結局、それぞれ後者を選択するしかない。

 実質は選択肢が存在しないのと同じことで、献金目標を達成して勝利し、伝道して信者を増やすしか道はないことになるのである。

 しかし、実際は、例えば、次のような選択肢が隠されている。
○勝利しなくても、負債を残すことにはならない。
○勝利しても、負債を残すことになり、天からの恩恵として新しい天聖経と平和経も伝授されない。

○伝道しなくても、氏族的メシアの使命を果たせ、天の摂理に同参、貢献できる。
○伝道しても、氏族的メシアの使命を果たせず、天の摂理に同参、貢献できない。
 このように、自分達に都合の悪い選択肢が隠された上で、上記のような二択のみが提示され、相手を自分達に都合の良い答えを出すよう誘導するので、「誤った二分法」なのである。



 ※「誤った二分法」の詳細については下記記事を参照願いたい。
○「もっともらしい根拠(その9) 誤った二分法(1)」〜(その14)