悟りと魔境(その6)
(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)からの続き


3.自称霊能者たちの神秘体験

(3).オーム真理教のケース

A.アングリマーラ大師こと佐伯一明氏

 佐伯一明氏が独房修行を行ったのは、1987年5月28日〜7月17日までである。

 なお、(その5)の石井久子氏では解脱に至るまでの経緯を詳細に見たが、佐伯一明氏以降は主に解脱体験に絞って見るに留めたい。
『マハーヤーナ・スートラ 大乗ヨーガ経典』 (麻原彰晃/オウム/1998.2) <P.212-213>
●解脱――見えた三つのエネルギー
 三グナを見たのがちょうど解脱三日前くらいからですね。三グナじゃなくて、二グナしか見えなかったんですが・・・・・・。サットヴァとラジャスだけですね。善性と動性ですけど。
 サットヴァというのは白いんです、白の発光体、白銀の光球みたいな感じでした。ラジャスは黄金でしょうね、黄色の発光体でしたから、それが絡み合っているんです。ラジャスが回っているんです。
 その次には、円形の中に星がぱーっとちらばっているのが見えました。はじめは天の川みたいに見えたんですけど、実際は丸かったんですね。
その円形の中心に三つの点があってそれぞれ白い発光体、黄金の発光体と青緑みたいな発光体がぽあーんと小さい円でみえたんです
 そして
次の朝に三つが大きく見えたんです。それは朝だったんですね。朝、ああ見えるな、また三グナだと思ってました。私は最終解脱を意識していたから、三グナから離れて、それを超えて自分の本当の真我を手にとって見つめることをしたかったわけです。だから自分としては、途中の段階だと思っていたんです。
 実はそれが
ラージャ・ヨーガの成就だったわけです。先生から電話があって、
「成就してるじゃないか。」
って言われて、
「ああそうですか。」
といった感じだった
んです。自分ではわからなかったんです。


(注)文字に色を付けたのは管理人(以下同様)
 「三グナ」・・・本書によると、「真我とともに始原より存在していた、ラジャス(動性)、タマス(暗性)、サットヴァ(善性)という根本的な三つのエネルギー、この三グナが真我に干渉して、コーザル世界以下の三つの世界ができた。それはまた、私の迷妄の苦しみの始まりでもあった。」(P.279)
 「三グナ」と言われる三つの光が見えて、解脱成就。
 そして、本人に解脱の認識はなく、麻原彰晃氏から「成就してるじゃないか」と言われて、「ああそうですか」と認識。

 (その5)で見た、石井久子氏の解脱体験と比べると、あまりにショボい体験であるが、石井久子氏が6「クンダリニー・ヨーガ」を成就したのに対して、佐伯一明氏がその一つ下のステージである5「ラージャ・ヨーガ」であったのが理由だろうか。


 そして、この佐伯一明氏については、この解脱体験でどのような境地になったか言及されているので、そちらも見てみよう。
『マハーヤーナ・スートラ 大乗ヨーガ経典』 (麻原彰晃/オウム/1998.2) <P.213-214>
●苦の滅尽のプロセス
 たぶん個性は、ある程度残っていると思うんですよ。真我の個性というか今生の記憶がまだ残ってますから。解脱者はみんなそうだと思うんですけど、
透明な心といったらいいのか、純粋といったらいいのか、心がもうない状態ですね。
 なくなった状態だから
相手から何を言われても別に何とも思いませんし、ただ純粋になった本当の心というものがあるだけで、自分のエゴとか自分はこう思うからという判断はなくなってきます。その物に対して、鏡で写されたような形で答えが返ってくるみたいなものでしょうね。
 
右と左どっちにした方がいいですかと言われた場合は、
(ああ、この場合には右のほうが当たり前じゃないか。)
という判断ができるようになります。後から結果をみても、ああ本当に正しかったなということがよくわかります

 また
苦を感じなくなります。例えば、たたかれたとしますね、痛みは感じるんですよ。この現象世界に肉体はありますから。でも苦を感じなくするためにはどうしたらいいかという悟りのプロセスを得ているから。自分がここに存在することすら苦なんだよと。
 例えば、普通女の子と会えばいろいろと心が揺れますよね。そして、それは結果的に苦の原因になります。しかし、解脱した後女の子に会っても苦じゃなくなりますね。もう、何が苦だということはすべてわかっているから。
苦の原因を潜在意識に残さない論理プロセスがわかっているから、潜在意識に残ることは何もない。苦は生じない
 今一瞬の、これはいけないという時点の判断ができるということですね、すべて。

●鋭くなった超能力と瞑想
 シッディもついてきたようです。私は成就して一週間、ずーっと
新しく入る信徒の方の接待をしていました。それをやっていて、私も直感智が鋭くなったということがわかったんです。
 
大阪から姉弟の方々が来られたんです。私達はどのように今からしたらいいか、ちょっと教えて下さいと言われたので私は、ならお姉さんの方から言いましょう。あなたはこういう生活でこうなっている。だからたぶん今はこういう所で悩んでいるんでしょう。直さなきゃいけないところはこういうところじゃないですか。姉弟三人だったら、三人の関係というのはこういう関係でしょうね、と言ったんです。すべて当たっている
 今度は弟さんのほうはどうか、
弟さんのほうは、ちょっと変わった性格なんですけど、その生活の現状までもすべて言ってしまったんですね。そして、それがその通り当たっている
 ほとんど話してはなかったんですよ。だから、
他心通とか直感智というのは、鋭くなりましたね
まとめると、次のような境地になり、超能力も身についたらしい。
○心がもうない状態
○相手から何を言われても何とも思わない
○苦を感じなくなる
○正しい判断ができるようになる
○他心通、直感智がつき、相手の生活の現状や、性格で直さなければいけない所などが分かるようになる
 これが本当なら、「解脱した」と主張して良いレベルだと思うが、佐伯一明氏がその後、どうなったかと言うと以下の通り。
Wikipedia「岡崎一明」、「オウム真理教男性信者殺害事件」より
1989年2月、他の4人と共に、オウムのやり方に疑問を持った男性信者を殺害を実行。

1989年11月、他の5人と共に、
坂本堤弁護士一家の殺害を実行。

1990年2月、選挙運動中に
3億円の現金を持ち出して教団を脱走。3億円は宅配便で友人宅に預けようとするが、早川らにより取り戻される。
その後、弁護士長男の遺体遺棄現場を示す手紙を匿名で神奈川県警に送付し、一方で、
麻原に電話をかけて現金1000万円を要求

裁判では、自首による刑の軽減が認められるかが主な争点となったが、自首する機会があったにも係らずなかなか自首しなかったこと、また、
自首の動機が罪の意識からではなく、脱走した教団から自分の身を守るためであったこと、そして、遺族が極刑を望んだことから、自首による刑の軽減は適用されずに、2005年4月、死刑確定。
 もはや説明は不要であろう。

 上述のような境地、能力など、ただの幻想である。(※多少、集中力が上がって、観察力がついたかも知れないが)




 続いて(その7)では、シャンティー大師こと大内早苗氏の解脱体験を見て行きたい。



2014.09.02新規

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