『龍蛇族直系の日本人よ!』にツッコミ!(その3) ・・・ 浅川嘉富さま
※当記事は、(その1)(その2)からの続き



 (その2)で見たように、ムー大陸を本当にあったと思っている浅川様。

 本書には、そのようなトンデモ話を真に受けての話が多いのだが、どうやら、浅川様は、
9.11同時多発テロの自作自演説も本当だと思っているようである。当記事では、本書に記載されたこの陰謀論についてツッコミを入れて行きたい。
<P.299>
 ただ、世の中で起きているさまざまな出来事には、新聞やテレビが決して伝えることのない裏があるということだけは頭に入れておいてほしい。2001年9月11日に起きた「9・11同時多発テロ」はその典型的な事例といえよう。
 このテロは、その後のアメリカによるイラク侵攻を正当化し、その戦争の背景にあった石油利権や武器販売、世界支配戦略といった真の目的から世界の目を逸らさせることになったことは言うまでもない。またその奥には次項で
和宏少年が言うように、深い意味が隠されているようである。

(※管理人注)文字に色を付けたのは管理人(以下、同様)。
 「世の中で起きているさまざまな出来事には、新聞やテレビが決して伝えることのない裏があ」り、「2001年9月11日に起きた『9・11同時多発テロ』はその典型的な事例」らしい。

 そして、またまた和宏少年登場。本書には、ちょくちょく和宏少年が登場するのだが、浅川様はかなり、和宏少年の言うことを信用しているようである。

 
妄想と現実の区別が付いていない小学生の言うことを信用するなよ。。。


 そして、上記からの続き。
<P.299> (※上記からの続き)
 そうした考えを「くだらない陰謀論」として一笑に付す人々の参考になればと思い、世界貿易センタービルやペンタゴンへの航空機の突入と、その後の惨事にかんして指摘されている疑問点の中から代表的なものをまとめてみた
 私も、「そうした考えを『くだらない陰謀論』として一笑に付す人々」の一人であるが、浅川様は、そのような人々の「参考」になるように、「指摘されている疑問点の中から代表的なものをまとめて」くれたらしい。


 この、浅川様がまとめてくれた疑問点は全部で12項目になるのだが、その内容のレベルを知る上で、分かりやすいものをまず見てみよう。

 次のものは浅川様が疑問点の8番目にあげているものである。
<P.301-302>
Gツインタワーに通常勤務する人間の数は5万人近いはずなのに、なぜかその日に限って、その半分程度の人間しか出勤しておらず被害者の数が2749人で済んだのか? この中には民間機2機の乗客や消防士たちも含まれているというのに。
 なかでも、
ユダヤ系社員4000人近くが出社していなかった、というワシントンポスト紙(2001年9月26日付)の報道は何を意味しているのか? 「闇の勢力」がユダヤ系の国際金融資本と深くかかわっているとされることを考えるなら、ユダヤ系会社の社員には、それとなく出社をやめるよう口伝されていたとは考えられないか。
 疑問点として、被害者の数が少なすぎること、及び、「ユダヤ系社員4000人近くが出社していなかった」という事実を上げる浅川様。

 まず、被害者の数であるが、Wikipedia「アメリカ同時多発テロ」によると、世界貿易センタービルで死亡したのは
2,602人。内、消防士343人、警察官23人、港湾管理委員会の職員37人である(※WTC第七ビルでの死亡者はいない)。

 浅川様の方は2,749人と150人近く多いが、これは、浅川様の方の数字に民間機2機の乗客が含まれている為だと思われる。

 また、Skeptic's Wiki「WTC1,2の倒壊」によると、9月11日当日、午前9時以前にWTC1(ツインタワーの北棟)には約8,900人、WTC2(南棟)には約8,600人、計
17,500人がいたとされる。

 そして、浅川様の方は、ツインタワーに通常勤務するのは「5万人近」くで、当日出勤していたのは「半分程度」らしいので、
25,000人程度となるが、この数字は先の17,500人と大きく食い違っている。

 そもそも、浅川様の主張の前提となっている「5万人近い」という数字がどこから出てきたのか不明であるが、調べてみるとそれっぽい数字が出て来た。

 以下は、Wikipedia「ワールドトレードセンター(ニューヨーク)」の文章である。
かつてワールドトレードセンターは、「ワールドトレードセンター・コンプレックス」という5万人の勤務者と1日20万人の来館者のあるニューヨーク最大のオフィス/商業センターであった。

コンプレックスは
1WTCから7WTCまでの7つのビルによって構成されたが、特にその中心であったツインタワー(1WTCおよび2WTC)は完成時に世界一の高さを誇り、2棟の巨大な直方体が並び立つ姿はニューヨーク市やマンハッタンのシンボルとなっていた。日本で単にワールドトレードセンタービルといえばこのツインタワーのことを指した。
 ここでも、ワールドトレードセンターについて、「5万人の勤務者」という数字が出ている。
 しかし、この数字は、記載にある通り、
7つのビルの合計ツインタワーのみの数字ではない

 浅川様、どうやら前提の数字がおかしいみたいですヨ!


 次に、浅川様は「ユダヤ系社員4000人近くが出社していなかった」と主張しているが、これは
悪質なデマ

 そして、このデマのもとを探れば、そもそもの本端は、イスラエルで発行されている「エルサレム・ポスト」の2001年9月12日付の記事らしい。

 そこでは、「エルサレムの外務省は今のところ、攻撃の際に世界貿易センターとペンタゴンの地域にいたと考えられる
4000人のイスラエル人の名簿を受け取った」という内容の記事が掲載された。

 海外で事故等が発生した場合、自国民の安否を確認して必要な措置を取るのは国家の義務であるから、この記事は、その途中経過を報告したものに過ぎず、
何の問題もない

 しかし、その後、レバノンのヒズボラ(イスラム教シーア派武装組織)が運営する衛星テレビ局「Al-Manar」で、
4000人のイスラエル人が9月11日、仕事を休んだという話が報告された。ちなみに、「Al-Manar」は、ヒズボラのプロパガンダ放送を行うテレビ局である。

 さらに、この話は尾ひれがついてイスラム圏で広がり、
「4000人のイスラエル人」はいつの間にか「4000人のユダヤ人にされることになる。

 なお、「イスラエル人」であれば、「イスラエル国の国籍を持っている人」になり、そこには民族での区別は発生しない。しかし、「ユダヤ人」になってしまうと、イスラエル国の国籍を持っているか否かは関係なく、ユダヤ人という民族を意味することになるのである。

 また、このようなデマを受けて、2001年9月24日のエジプト週刊誌「アルオスボウア」では、「アラブ人とイスラム教徒が無実であることの証拠」というタイトルで、貿易センタービルに勤務する4000人のユダヤ人が9月11日に出勤しなかったとか、101人のユダヤ人がハイジャック機への搭乗をキャンセルしたなどと言う記事が掲載された。

  ※参考:「Skeptic's Wiki」 → 「911陰謀論」 → 「その他」)


 以上が、「ユダヤ系社員4000人近くが出社していなかった」などと言う、
悪質なデマが発生した経緯である。

 こんな、陰謀論者たちが喜びそうな
如何にもなデマに騙され、「『闇の勢力』がユダヤ系の国際金融資本と深くかかわっているとされることを考えるなら」などと言い出す浅川様。 どうしようもねぇな。。。

 ちなみに、このデマは、Wikipedia「アメリカ同時多発テロ」で
「都市伝説」の項目に記載されている。


 以上、この内容だけでも、浅川様が提示する疑問点が、如何に
あてにならないものであるかが分かるであろう。

 一応、以下に残りの11項目にもツッコミを入れておくが、非常に長いので別ページとした。興味ある方は参照願いたい。

  ※その他11項目も見る (※新ウィンドウ)




 以上、浅川様が、「『くだらない陰謀論』として一笑に付す人々の参考にな」るようにとまとめてくれた疑問点は、
むしろ、一笑に付したくなるレベルのものである。


 なお、本書が発売されたのは2011年なので、2001年に起きた9.11同時多発テロの陰謀論に対する反証・反論はとうの昔に出尽くしているはずである。

 にも関わらず、既に論破済の話を蒸し返し、あまつさえ、悪質なデマすら真に受けて、その拡散に加担する浅川様。

 トンデモ本を読むだけでなく、せめて、「ネットでちょっと調べてみよう」程度の姿勢があれば、鵜呑みに出来ない話であることぐらいには気づけるはずなんだけどねぇ。。。


 ※(その4)に続く


2012.12.04 新規


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悪質なデマの拡散に加担しておいて、自分では正義の側に立って、真実を知らせているつもりなんだから、困ったモンだヨナ。