『「聖書の暗号」の大事なポイント』にツッコミ!(その2) ・・・ 船井幸雄様

 (その1)で「聖書の暗号」なるものが存在しないことを押さえたところで、当記事から、船井様の著書『「聖書の暗号」の大事なポイント』へ本格的にツッコミを入れて行きたい。




 本書によると、船井様が「聖書の暗号」を研究するようになったのは、「聖書の暗号」に自分のことが予言されていると伝えられたのがきっかけらしい。
<P.38>
 自分のことが多く書かれているのですから、それらを読んで興味を持った私は、それからIさんと連絡をとり、二月中旬から私なりに「聖書の暗号」の研究を集中的に始めるようになりました。病気でちょうど時間的余裕があったのです。そして、4月20日頃には、私なりにほぼ結論を得ました。

(管理人注)文字に色を付けたのは管理人。以下同様。
本書によると、これは2009年頃のこと。
 そして、「聖書の暗号」について出した結論と言うのが、
<P.38> (※上記からの続き)
 まず結論から言いますと、「聖書の暗号のメッセージ」はここ十年くらいは少し外れることも出てきましたが、原則的には99.9%以上当たっていたと考えざるを得ない……と、私は判断したのです。
 「原則的には99.9%以上当たっていたと考えざるを得ない」と判断したらしい。

 続いて、船井様がどのような研究をしたのかが述べられる。
<P.38-39> (※上記からの続き)
 もちろんIさんから、彼の解読結果などを含めて手とり足とりでいろいろ教えてもらいました。それだけではなく、伊達さんや他の人の解読結果も調べました。
 コンピュータによる解読ソフトを90年代の初めに開発し、
「聖書の暗号」のことを大々的に世界中に知らせた人と言っていい、イスラエル人の数学者であるヘブライ大学のエリヤフ・リップスさんの解読結果や、名著『聖書の暗号』の著者で、暗号解読者のマイケル・ドロズニンさんの解読結果、さらにインターネット上での何人かの解読者の解読結果も調べました。
 なんか、研究っぽいことをしている船井様。

 さらに、
<P.39> (※上記からの続き)
 また、1994年8月発行のアメリカの有名な数学学術誌『STATISTICAL SCIENCE』(統計科学 vol9,No.3)の423〜438ページに掲載されましたリップス博士など三人の、イスラエルの学者の論文も読みました。
 その三人とは、ヘブライ大学の数学者の
エリヤフ・リップスさん、エルサレム工科大学のドロン・ウィツタムさん(物理学者)、エルサレム工科大学のヨアフ・ローゼンバーグさん(暗号学者)です。この3名の連名による論文の題名を日本語に訳すと、「創世記における等距離文字列」となります。
 
今のところ、この論文には、ただ一人の学者からの反論も出ていません。つまり、問題点が見当たらないのです。
 エリヤフ・リップス氏ら3人が連名で書いた論文も読んだらしく、船井様によると、「今のところ、この論文には、ただ一人の学者からの反論も出てい」ないらしい。

 はあ……船井様がこれらの文章を書いたのは2010年2月(P.47)らしいので、1994年8月以来、15年以上も学者から反論されていないことになりますねぇ。

 ちなみに、本城達也氏のHP(「超常現象の謎解き」 → 「聖書の暗号」)によると、該当論文については、オーストラリア国立大学の数学者ブレンダン・マッケイ氏と、ヘブライ大学の数学者ドロール・バー・ネータン氏が最初の批判を行い、また、
1999年5月には、同じ数学学術誌『STATISTICAL SCIENCE』に、ブレンダン・マッケイ氏がより本格的な批判論文を書いて、リップス氏らの間違いを指摘したそうだ。

 
船井様、何を根拠に、「今のところ、この論文には、ただ一人の学者からの反論も出ていません」なんて言ってるんですか??


 さらに、同HPによると、該当の論文を書いたエリヤフ・リップス氏本人が、「聖書の暗号」について次のような声明を出しているらしい。
私は、暗号、およびドロズニン氏が導き出した結論を支持しない。ユダヤ教の『トーラー』からメッセージを抜き出す全ての試みは、虚しくて全く価値がないのだ。これは私自身の意見だけではなく、重大な暗号研究に関わった全ての科学者の意見でもある
 なんか、研究を始めたスタート時点から、もうどうしようもない船井様。。。


 さて、船井様が「聖書の暗号」の研究を始めるきっかけになった
Iさんだが、この方はイオン・アルゲインと言う名前で「聖書の暗号」関連の書籍を出している。なお、イオン・アルゲイン氏の本名は稲生雅之で、日本人である。

 そして、イオン・アルゲイン氏の研究結果が『「聖書の暗号」の大事なポイント』でも一部紹介されているので、次にそれらを見てみよう。
<P.51>
 今のアカデミズムでは、ムー、レムリア、アトランティスというような前文明の存在は認められていません。今回Iさんは、これらの前文明の存在が聖書の暗号に隠されていたのを彼の研究によってつきとめ、それらは明らかな事実のようだと言っています。
 Iさんは、ムー、レムリア、アトランティスといった「前文明の存在が聖書の暗号に隠されていた」のを「つきとめ」たらしい。

 インチキ霊能者たちがよく、このような超古代文明の存在を示すデタラメ霊視をするので当HPでも何度も指摘してきたが、
このような超古代文明など存在しない

 分かり易い例で言えば、レムリアは、学術的研究からの仮説として登場したものである。

 アフリカのマダガスカル島にはキツネザルが生息しているが、この仲間は世界中で存在していない。しかし、同種の化石がインドから発見され、また、近縁の種はインド洋を挟んでアフリカ中部と東南アジアのマレー半島、インドネシアにのみ生息している。

 このことから、イギリスの動物学者フィリップ・ラトリー・スクレーターが1874年に、インド洋にかつて大陸が存在していたという説を唱え、その大陸は、キツネザル(レムール)にちなんでレムリア大陸と名付けられた

 そして、この説では、レムリア大陸で誕生したキツネザルが陸橋を伝ってアフリカとアジアに移住したとし、また、約5千年前にレムリア大陸は沈没したが、西端のマダガスカルだけが海面に残ったとした。

 しかし、この説は、1968年にプレートテクトニクス理論が完成し、大陸移動説の裏付けが確実なものとなったために否定されている。上記のようなキツネザルの近縁種の分布は、インド洋の架空大陸を想定しなくても、大陸の分離・移動によって説明できるからである。

 以上にように、学説で登場した架空のレムリア大陸は、現在では完全に否定されたものである。

 しかし、一方で、レムリア大陸は説の登場以降、オカルティスト達の手によって一人歩きを始める。

 例えば、神智学のブラヴァッキー夫人(1831-1891)は、かつて
太平洋にレムリア大陸が存在していたと唱え、その大陸に暮らしていたのは雌雄同体で卵生のサルのような巨人で、ある者は四本の腕があり、ある者は頭の後ろに一つ目があったと主張した。
 また、有名な予言者エドガー・ケイシーも、霊視によってレムリアの実在を確認し、そこに暮らしていた人種について言及している。


 このようなレムリア大陸が実際に存在し、そこに文明が栄えていたなどありえるワケがないであろう。

 
船井様、オカルト系やインチキ霊能者の本ばかり読んでるから、「前文明の存在が聖書の暗号に隠されていた」なんて話を聞いてもおかしいとは思えないんですよ。
※他の超古代文明については、以下の記事を参照
○『「超古代文明」にツッコミ!・・・大川隆法様

 ちなみに、船井様は以下の通り、自分の前生はムーの時代だという確信を持っているそうだ。
<P.51-52>
 私は前生はどうでもよい。今のこの人生が大切なのだという人間です。しかし、なぜか「ムー」という前文明のことはどうにも気になって仕方がなかったのです。ムーに関するあらゆる文献・情報を収集してきました。私にもし前生があるのなら、きっとムーの時代がポイントに違いないというヘン(?)な確信があったくらいです
 
Iさんの研究では、聖書の暗号によると、私の今生にもっとも関係のあるルーツはムーにあったと、言っています。「やはりムーだったのか」。私のムーに対する直感は正しかったような気がします。同時にムーに対する気分のもやもやも一応氷解したと思っています。
 しかも、そのことが「聖書の暗号」でも示されていて、
<P.60>
これらは全部、聖書の暗号の解析結果として現れてきたことなのです。それを知ると、ラ・ムーの一味であったと思われる私はびっくりします
 船井様は、「ラ・ムーの一味であった」らしい(笑)


 さらに、ムーに関しては、Iさんの研究から、「聖書の暗号」についての重大な情報が判明することになるのだが、続きは(その3)にて記載したい。



2012.2.7 新規

とうの昔に決着がついてるものを、今さら掘り返してきてどうするつもりダ?