なお、矢部に定着した鬼八法師は、殊に選良民族(ユダヤ)にふさわしく、日の宮に、彼等が最高と仰ぐ「水の玉」の神器と、彼等が畏敬の念で祀っていた、モーゼの神面とを神納したのである。この水の玉が今日も温存されている国津神、神漏美命であることは言うまでもない。そして、日の宮の鎮座まします古代の高天原に対して、彼等がみだりに口にしてはならない聖名のYahveh(ヤーベェ)=矢部=の名を奉呈したのである。それはあたかも明の世祖永楽帝が霊峯阿蘇山に対して寿安鎮国山”の名を奉呈したのと類を一にする。
しかし矢部の郷民は、この聖名をあまり有り難がらず、「鬼八ドンが八ツの屁をヒッたげな」とけなしてきたことも、ここに附言しておく必要があろう。なんと罰当たりなことに、「八つの屁」が矢部の名の起こりというわけである。 |