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もっともらしいだけの根拠(その3)

 ※当記事は、記事(その1)(その2)からの続き



3.部分抽出による根拠

 「部分抽出による根拠」とは、物事における特定の傾向を持った部分のみを抽出して根拠にすることである。その際、自分の主張に都合の良い部分のみを抽出した上で、その部分が普遍性を持っているかの如く主張される。結果、その物事に関する偏った主張がなされることになる。

 あらゆる物事はたいてい、利点と欠点の両方を備えているものであり、利点のみに着目すれば、その物事を「絶対的な善である」と主張することもできるし、逆に欠点のみに着目すれば、「絶対的な悪である」と主張することもできる。

 例えば、「部分抽出による根拠」を使用して、「麻薬を合法化すべき」という極端な主張をしてみよう。

 まず、麻薬について良い点のみを抽出したのが以下のものである。
○疲れている時に麻薬を使用すれば、疲れが吹き飛び精力的に活動できる。
○落ち込んでいる時に麻薬を使用すれば、ハイでポジティブになれる。
○麻薬は、麻酔に使用されるものであり、外科手術の際に必要不可欠のものである。
 次に、これらを使用して、「麻薬を合法化すべき」という主張を作成したものが以下のものである。
<主張 「麻薬を合法化すべき」>
 暗い人と明るい人、どちらがより幸せな人生を送れるだろうか。答えは言うまでもないだろう。

 しかし、人によっては、その性質、及び、過去の経験等から、なかなか人見知りを解消できずに自分をうまく出せない人や、ネガティブな態度で他人に接してしまう人もいる。

 そんな時に麻薬ほど有用なものはない。麻薬を使用すれば、暗い気持ちなどすぐに吹き飛び、ポジティブな態度で人に接することができるようになる。

 麻薬を使用すれば、自分の暗さで悩んでいる人、そして、その為に幸せを逃している人が、幸せへの切符を簡単に手に入れることができるのである。

 また、明るい人であっても、時に滅入ったりすることもあるだろうし、疲れて何もやる気が出ない時もあるだろう。そんな時に麻薬を使用すれば、暗い気分や疲れもすぐに吹き飛び、精力的に活躍できるようになるのである。

 さらに付け加えれば、外科手術の際の麻薬を使用した麻酔の有用性は言うまでもない。もし、麻薬がなければ、我々は麻酔無しで外科手術を受けなければならないのである。想像することさえ、恐ろしい話である。

 これほど、有用な麻薬が、法律で売買を制限されていると言うのは誠に許し難い事実である。麻薬売買の制限を無くし、合法化すべきである。
 そうすれば、我々の社会に明るい人が増えて、結果、現在のような先行きの見えない暗い社会ではなく、希望のあふれた明るい社会へと変わって行くことだろう。
※あくまで例として作成したものであり、真に受けて真剣に批判や反論をしてきたりしないように(笑)
 それなりに、もっともらしい主張になっていることと思う。

 このように、特定の部分のみを恣意的に抽出してしまえば、どのような極論でも、もっともらしい主張が可能となるのである。

 ただし、上記は、麻薬の危険性について無視したものであるが、多くの人はその危険性を十分承知しているので、この文章だけで「その通りだ!」と騙される人はまずいないことであろう。

 しかし、これに以下のような工夫・テクニックを追加することによって、少なくない人の支持を集める主張へと仕立て上げることも可能である。
@.さらに長文にし(できれば、1冊の本になるくらい)、せつせつと麻薬の良い部分のみを書き連ねる

A.予期される反論に対して、予め、詭弁等を使用して、もっともらしく反論しておく

B.体験談(例えば、麻薬を使用した人が高揚して、物事がうまく行った時の話等)を掲載する

C.都合の良い数値データを取り上げて、根拠にする

 これらの工夫・テクニックを説明すると以下の通りである。

@.さらに長文にし、せつせつと麻薬の良い部分のみを書き連ねる

 長時間、繰り返し同様の主張がなされることによって、読み手に暗示効果が生じ、漠然と「正しいことを言っている」と思わせることが可能になる。ただし、全ての人がこの暗示効果に引っかかるワケではない。


A.予期される反論に対して、予め、詭弁等を使用して、もっともらしく反論しておく

 上記の麻薬の例で言えば、多くの人はその危険性を知っているので、読みながら頭の中で反論をすることだろう。よって、予め、予想される反論に対して、詭弁等を使用して反論を記載しておくことが有効である。

 例えば、以下のようなものである。
 麻薬の危険性はTV等のメディアでさんざん吹聴されるところではあるが、マスコミが虚偽の情報を平気で垂れ流すのは周知の事実である。
 そもそも、脳内麻薬という言葉がある通り、麻薬は我々の体の中で自然と分泌されているものである。それは、我々の体に必要であるから分泌されるのであって、もし、麻薬が本当に危険なものであるならば、そのような仕組みが人間の体に組み込まれているワケがないであろう。
 これは、詭弁や印象操作を使って、麻薬の危険性を否定したものである。
 このような文章は、詭弁と正論の区別が付く人には役に立たないが、そうでない人や印象操作に簡単にひっかかってしまう人にはある程度、有効なものとなる。


B.体験談を掲載する

 体験談と言うものは、理屈を飛び越えて読み手の感性に訴えかけるものである。よって、都合の良い体験談を列挙すれば、それだけ多くの支持者を集めることができるようになる。

 例えば、以下のようなものである。
○私は人見知りで、しかもネガティブ。そんな性格が災いして就職活動の面接では失敗続きでした(T-T)。しかし、麻薬を使用して面接を受けたら、人が変わったように堂々と明るく応対することができ、一発で内定をGET!自分の大学では考えられないような一流企業に就職することができました!

○大事なプロジェクトで、徹夜続きで体力も精神力も限界。そんな時に麻薬を使用したら、疲れも簡単に吹き飛び、精力的に仕事に打ち込むことが出来ました。お陰さまで、プロジェクトは大成功!今度のボーナスが楽しみです!

○引っ込み思案で、他人からよく暗いと言われていた私。こんな私にはもちろん彼氏などおらず、寂しい日々を送っていました。しかし、麻薬を使用し始めてからは、人から明るくなったと言われ、なんと、素敵な彼氏もできちゃいました!

○麻薬を使用した時の高揚感は、マヂ、半端ないっス。まさに、天国にも昇る気分とはこのことだと思います。百聞は一見に如かず。まだ、経験したことの無い人は、是非、一度、味わってみて欲しいっス。
(※上記は管理人が作成したもの)
 もちろん、体験談には、麻薬に否定的なものは使用しないし、上記の体験談を語った人達がその後、麻薬中毒に苦しんだとしても、そのような情報は提供しない。

 なお、この、体験談を使用した手法は、宗教やスピ系だけでなく、商品の広告等でも良く使用されているものである。本件については、別途、詳しい説明をしたい。


C.都合の良い数値データを取り上げて、根拠にする

 数値データを使用しての説明は、読み手に主張が合理的・客観的なものだとの印象を与え、説得力を増すことができるものである。
 しかし、実際には、数値データを使用してのゴマカシの手法はいくらでもあるものである。例えば、次のようなものが考えられる。
 確かに、麻薬を使用すれば中毒死という危険性もある。しかし、これは、使用量や使用法を誤ったケースであり、それを守りさえすれば問題はまず生じない。

 また、日本における薬物中毒での死亡者数は、10万人当たり0.003人。一方、交通事故での死亡者数は、10万人当たり7.74人である(※2004年度)。薬物中毒での死亡者数は、交通事故でのそれと比べ、比較にならないほど少ないことが分かるであろう。

 薬物よりもはるかに多くの死者を出している車が、大した規制もなく人々が普通に運転できるのに、何故、麻薬に厳しい規制が必要なのか。

 麻薬などよりも、むしろ、車にこそ、厳しい規制を行うべきであろう。

<参考> 
○「国際日本データランキング 明治大学国際日本学部 鈴木研究室」 →  「薬物中毒症における死亡者数(人口10万人当たり)ランキング
○「国際日本データランキング 明治大学国際日本学部 鈴木研究室」 →  「交通事故における死亡者数(人口10万人当たり)ランキング
 上記は、比較対象として相応しいか否かを無視して、無理やり比較したもの。そして、比較する対象さえ上手く選定すれば、ある数値が大きいものにも、小さいものにも、好きなように読み手の印象操作をすることが可能である。



 さて、次に宗教やスピ系で 「部分抽出による根拠」を使用したケースを紹介したいと思うが、具体例は上述の麻薬のケースで十分だと思われるので簡単にだけ説明したい。


<具体例その1> 「引き寄せの法則」のケース

 「引き寄せの法則」に関する書籍では、決まってと言っていいほど、「類は友を呼ぶ」と言うことわざが出てくる。

 そして、そのことわざを使用して、似ているものは似ているものを引き寄せると説明し、「プラスの思考の人間は、プラスの結果を引き寄せ、マイナスの思考はマイナスの結果を引き寄せる」と主張して、さらには、「地震などの災害は、それを心配すればするほど引き寄せてしまう」と主張する。

 一方、「引き寄せの法則」の説明で、まず出て来ないことわざが「災害は忘れた頃にやって来る」である。

 何故、このことわざが出て来ないかと言うと、それが、「地震などの災害は、それを心配すればするほど引き寄せてしまう」と言う主張に都合が悪いからである。

 そして、もし、「引き寄せの法則」が真実であるのなら、「災害は忘れたら、やって来ない」にならなければならない。しかし、実際は、忘れてもやってくるから、「災害は忘れた頃にやって来る」と言うことわざが出来たのである。

 この、ことわざの例のように、都合の良い事実のみを抽出し、都合の悪い事実を無視して、もっともらしく作り上げられたのが「引き寄せの法則」なのである。(ちなみに、「近親憎悪」という言葉も、説明で使用されることはない)

※「引き寄せの法則」に対しての詳細なツッコミは、以下の記事を参照
 ○「『引き寄せの法則 エイブラハムとの対話』にツッコミ!




<具体例その2> ゲリー・ボーネル氏のケース

 以下の記事でツッコミを入れた、ゲリー・ボーネル氏のケースも「部分抽出による根拠」を使用した例だと言える。
 ○「『第三次世界大戦、始まる!』にツッコミ!(その1)
 ○「『第三次世界大戦、始まる!』にツッコミ!(その2)
 ○「『第三次世界大戦、始まる!』にツッコミ!(その3)
 デタラメな予言を数多くして、外れた予言は基本的に無視し、たまたま当たった、数少ない予言だけをアピールする。当たった予言だけを抽出することによって、さも自分が優れた予言者であるかの如く装っているのである。





 以上、「部分抽出による根拠」について説明してきた。

 この手法を使用すれば、どのような極端でおかしな主張でも、それなりの説得力を持った主張にすることが可能であることがお分かりいただけたと思う。

 なお、この、「部分抽出による根拠」は、目に欲というゴミが入って、物事を歪めてしか捉えられない人が良く使うものである。

 「自分の考えが正しいと思いたい、思っていたい」と言う「欲」で行動している人が、自分の考えに都合の良い部分のみを見て自己満足し、さらには、「自分の考えを支持してくれる人を増やしたい」と言う「欲」でもって、上述の麻薬に関する主張のような、もっともらしだけの主張を作り上げるのである。


 また、このような手法に騙されない為には、主に次の点に気をつけるべきだと言えよう。
反証となるような、提供されていない情報を探す癖をつける
 大抵の人は、基本的に、自分の主張に都合の良い情報しか提供してくれないものである。よって、与えられた情報以外の情報を常に探す癖をつけるようにして、批判的・懐疑的に他人の主張を見るようにすべきである。

 例えば、上述の麻薬に関する主張については、以下のような情報が考えられよう。
○麻薬には強い常習性があり、安易に手を出してしまえば、ずるずると使用し続け、自分の体を損なうばかりか命の危険性もある。
○一度、中毒になってしまえば辞めることは非常に困難で、専門の施設に入る等して大きな苦しみを伴いながら断ち切る必要がある。さらに、そのような状況は自分だけでなく、家族をも苦しめることになる。
 なお、麻薬に関しては、多くの人がその危険性を知っているので、自分の頭の中だけで、このような情報を探すのは容易であろう。しかし、良く知らない物事についてはそうは行かないものである。

 よって、そのような物事については、特定の人物のみの主張や、同意見の複数の主張のみを見て自分の意見を決めないように気をつけるべきである。

 特に、世間で意見が対立している物事については、必ず双方の主張を見るように努めるべきである。対立する双方の主張を見ることによって、物事の客観的な全体像が見えてくるものだからである。


 ちなみに、説明する具体例として上記では「麻薬」を使用したが、それは、「麻薬」が「宗教」と似ていると思えるからである。

 両者とも、利点もあるが一方で大きな危険性もある。また、狂信・盲信のレベルに達した信者は、麻薬中毒となった人と似ていると言えよう。もはや、そこから抜け出すことは大きな困難を伴うものであるし、一度、抜け出せたとしても再び入信してしまうケースも多々ある。

 そして、「部分抽出による根拠」を使用すれば、上述のように、「麻薬」ついて、もっともらしく「良いモノ」であると主張することができたように、どんなインチキ宗教であっても、もっともらしく「真実の教え」、「真の救済をもたらす教え」等であると主張することも可能なのである。(あくまで、「もっともらしいだけ」止まりではあるが)



 ※(その4)へ続く


2012.1.10新規

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