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もっともらしいだけの根拠(その12)

 ※当記事は、記事(その9)(その10)(その11)からの続き



12.誤った二分法(4) 日常で使用されるケース

 これまで、「誤った二分法」の使用例を見て来たが、それらは、カルト内で使用されたり、トンデモ系の書籍等で使用されているものであった。

 当記事では、もっと身近で、日常で使用される「誤った二分法」の例を見て行きたい。



(4).日常で使用されるケース

 これまで見て来た「誤った二分法」の論理展開は次のようなものであった。
1.否定したい説の問題点をあげ、否定する。
2.その問題点を解決するものとして、
誘導したい説を登場させる。
 この論理展開は、ある説を否定し、別の説へと誘導する際に用いられるもので、かつ、その二つの説が連動しておらず、一方の説が否定されたからと言って、誘導したい説が直ちに正しいことにはならない場合に用いられるものである。

 例えば、(その10)で説明した進化論とインテリジェント・デザイン説の場合では、進化論が科学的に否定されたからと言って、直ちに、インテリジェント・デザイン説が正しいことにはならない。

 また、(その11)で見た例で言うと、9.11同時多発テロの犯人がイスラム原理主義者でないことが立証されたからと言って、そのことが直接、アメリカの自作自演だったという結論にはつながらない。

 このように、二つの説が連動していない場合に、上記のような論理展開がなされる。


 そして、これらとは違い、二つの説が連動している場合には、次のような論理展開が使用される。
1.誘導したい説の利点・根拠をあげて肯定し、かつ、否定したい説の欠点・否定的根拠をあげ否定する。
2.よって、誘導したい説は正しい。
 例えば、A説に対して、肯定と否定の二つの立場がある場合、A説を肯定するように誘導したければ、次のような二つのパターンの根拠を提示することになる。
○A説を肯定する根拠を提示する。
    → A説を肯定することによって、否定の立場を否定できる

○A説を否定する立場の人が主張する根拠を、否定する根拠を提示する。
    → 否定の立場を否定することによって、A説を肯定できる
 A説に対する肯定と否定の二つの立場は、表裏の関係で連動しており、一方を肯定すれば、他方を否定することになり、また、一方を否定すれば、他方を肯定することになるからである。

 また、例えば、
「ケンカをしたBとCのどちらがより悪いか」という命題を考える場合、「Bがより悪い」と結論を誘導したいのなら、次のような根拠を提示することになる。
○「Bがより悪い」という根拠を提示する。
○「Cがより悪い」とする根拠を否定する根拠を提示する。
 こちらも、「Bがより悪い」か「Cがより悪い」は、表裏の関係で連動しているから、このような主張になる。

 なお、
上記の二つのパターンの論理展開は、それ自体は別に誤りではなく、当然のものである。

 しかし、「誤った二分法」の場合、例えば、A説を肯定する為に、否定的な情報が隠されたり、また、時に、ウソの根拠が示されたりする。

 そして、実際は、A説を肯定する立場が、客観的、かつ、総合的に勘案すれば、誤り、もしくは、せいぜい、「60%くらい正しい」ものであっても、
「完全に正しいもの」として認識するよう誘導されることになる。


 概念的な話ばかりで分かりにくいと思うので、次に、より具体的にどのような形で後者のパターンの「誤った二分法」が使用されるのか、世間でよくある嫁姑問題を例に使用して見ていきたい。

 例では、「あなたの友人から、姑のことで悩んでいるから相談に乗って欲しいと言われた」という設定で、後日、会って話を聞いたら、例のような内容だったというものである。

 この場合、「誤った二分法」を使用して誘導されるのは、
「嫁と姑のどちらが悪いか」という2択の内、「姑が悪い」という結論である。

 そして、以下が、あなたが、その友人である嫁から聞かされた内容である。なお、各文章の後は、何の根拠として示されている情報かを記載した。
○夫の母親と同居しているが、毎日ひどい仕打ちを受けている。<姑が悪なんだ>

○料理を作っても、「こんなのはウチの味じゃない」と言われて、食べてもらえない。<姑が悪なんだ>

○「こんな派手な洋服を着ていると、ご近所様に笑われる」とお気に入りの服をはさみで切り裂かれた。<姑が悪なんだ>

○全てにおいてこんな調子で、少しでも気に食わないとキレて時には手を出してくる。<姑が悪なんだ>

○今まで、実の母親だと思ってつくし、我慢するようにしていたが、さすがに、もう耐えられなくなってきた。<私は善なんだ>

○旦那に相談しても、「お前が悪い」の一点張りで、相手にしてもらえない。旦那はマザコンで、母親の肩ばかり持つ。

※最後の文章のみ、何の根拠かを記載しなかったが、これは、自分の被害者っぷりを補強する為の情報として提示されているものである。
 このような話を聞けば、当然、「姑は、何てヒドい人なんだろう!」と思うことであろう。

 これまで見て来た例文同様、「この文章だけで判断する」という前提では、「姑が悪い」という結論を出さざるを得ない内容になっているからである。

 もちろん、これらが全て本当のことで、かつ、全てを包み隠さず話した結果ならば、別に
「姑が悪い」という結論を出すよう誘導されているわけでもなく、「誤った二分法」が使用されていることにはならない。

 しかし、友人から与えられたこれらの情報は、ウソ、もしくは、「ウソとまでは言えないまでも本当とも言えないもの」かも知れない。

 もし、そうであるなら、これは「誤った二分法」であり、あなたは、その手法を使われ、「姑が悪い」という説を支持するよう誘導されているのである。

 そもそも、
人は、誰かと対立している時、自分が正しい、善であると他人に認めさせ、かつ、支持をとりつける為に、他人に提供する情報を歪めるものである。全てを包み隠さず正直に話し、相手が客観的に判断できる為の情報を提示する人など、めったにいない。

 それを前提に考えれば、上記の友人の話には、
情報の隠ぺい・歪曲・捏造、及び、勘違いがあることが想定される。具体的には、例えば、次のようなものである。
<情報の隠ぺい>
○友人も、姑が大切にしているものを壊したり、捨てたりして十二分に仕返しをしているが、そのことは言わない。

<情報の歪曲>
「料理を作っても、『こんなのはウチの味じゃない』と言われて、食べてもらえない」と言っているが、実際には、1回そういうことがあっただけで、毎回、自分の料理を食べてもらえないかのように大げさに主張している。

<情報の捏造>
「『こんな派手な洋服を着ていると、ご近所様に笑われる』とお気に入りの服をはさみで切り裂かれた」と言っているが、実際は、そんなことを言われたこともされたこともなく、雑誌で読んだ他人の話を自分のことのように話しているだけ。

<勘違いの情報>
「旦那に相談しても、『お前が悪い』の一点張りで、相手にしてもらえない。旦那はマザコンで、母親の肩ばかり持つ」と言っているが、実際は、旦那は客観的に物事を考えられる人。一方、友人である嫁は、自己中心的な考えの持ち主で、少しでも気にくわないことがあると過剰に反応して旦那は困っている。

 また、旦那が姑の肩を持つのは、客観的に考えて嫁の方が悪いと判断しているからなのだが、友人は、旦那が自分の味方をしてくれないことを、「マザコンだからだ!」と考えて自己を正当化している。
 もちろん、これは「例えば」の話で、上記の友人の話がこのように情報が操作されたものだとは限らない。

 しかし、先にも述べた通り、人は、誰かと対立している時、自分が正しい、善であると他人に認めさせ、かつ、支持をとりつける為に、他人に提供する情報を歪めるものである。

 よって、対立する一方からだけの情報には、このような情報の隠ぺい・歪曲・捏造、及び、勘違いがあることを想定しておくべきである。

 そうでないと、まんまと「誤った二分法」で誘導され、誤った判断をしかねないからである。

 なお、「嫁と姑のどちらが悪いか」という2択で、「姑が悪い」という結論へと誘導するものであるが、実際には、「どっちもどっち」とか、「どちらかと言えば、嫁(もしくは、姑)が悪い」などという選択肢も存在する。
<参考>
このように、「嫁と姑のどちらが悪いか」という両極端の2択で、「どっちもどっち」とか、「どちらかと言えば、嫁(もしくは、姑)が悪い」などという選択肢を考慮しない場合を、白黒思考(black-and-white thinking)と呼ぶ。当然ながら、これは「誤った二分法」の形態の一つである。

※参考:Wikipedia「誤った二分法

 また、上記の友人の主張には、旦那をマザコンだと主張する文章を入れておいた。

 これは、(その10)、(その11)と見て来た「自分の意見を受け入れない相手の人物像を脳内で勝手に創り上げた上で批判」する例と同様のものであり、次のような論理展開で、自己を正当化する為に都合の良い人物像を創り上げているのである。(※あくまで、客観的に見て、旦那がマザコンという事実が間違っている場合)

     @.「姑が悪い」という結論は正しく、それを認めない夫は間違っている。
     A.夫はなぜ、認めないのか?
     B.夫がマザコンだからだ。マザコンだから、常に姑の肩を持つんだ。

 このように考えて、「姑が悪い」という自分の主張が受け入れられない理由を正当化し、本当は、「嫁である自分の方が悪い」、もしくは、「どちらかと言えば、嫁である自分の方が悪い」等という事実から目を逸らすのである。


 以上、嫁姑問題を例に見て来たが、「誤った二分法」という言葉を知らなくても、実際には、その手法を使用しているものである。

 
「自分は正しい」「自分は悪くない」、「自分は間違ってない」

 他人にそう思って欲しい、そう思わせたいというがある場合、通常、人はそのに従って行動する。そして、相手にそう思わせるために、
都合の良い情報のみを相手に提示したり情報の隠ぺい)、また、大げさ言ってみたり情報の歪曲)、そして、時には、ウソを言ってみたりして情報の捏造)、相手にその主張を認めさせようとする。

 結果として、上記の友人の話のように、「誤った二分法」を使用して相手を特定の説を支持するよう誘導することになるのである。

 よって、普段から、情報にはそのような種類のものがあることを認識し、疑う癖をつけておいた方が良いと言えるだろう。この世の中、によって操作され、歪曲された情報だらけなのだから。

 もちろん、疑い過ぎて、ろくな根拠もないのにその疑いを真実だと勘違いし出してしまったりしたら、元も子もないのであるが。


 ちなみに、インチキ宗教やインチキ霊能者でも、上記の嫁姑問題の例と同様に、次の論理展開で、かつ、情報操作した上で、
「この宗教(霊能者)は本物だ」という結論を出すよう誘導する。
1.誘導したい説の利点・根拠をあげて肯定し、かつ、否定したい説の欠点・否定的根拠をあげ否定する。
2.よって、誘導したい説は正しい。
 何故、同様の論理展開・情報操作になるかと言うと、やはり、に支配されて行動しているからで、そのとは、例えば、「『この宗教(霊能者)は本物だ』と思って欲しい」というものである。

 なお、インチキ宗教において行われる具体的な情報操作の例は以下の記事に記載したので、興味ある方は参照して欲しい。
○記事「洗脳の手法(その1)


 
というものは、「〜欲しい」という思いであり、それは主観で、客観とは正反対のものである。

 よって、が強いほど、かつ、そのを制御する気がないほど、その人からもたらされる情報は操作されて、客観とは程遠いものとなり、結果、「誤った二分法」を使用して他人を特定の結論へと誘導することになるのである。





 以上、4つの記事に渡って、「誤った二分法」の例を見て来た。続いて、(その13)では、まとめとして、「誤った二分法」によって安易に騙されない為に気を付けるべき点等について記載したい。




2013.6.25新規

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