※当記事は(その1)、(その2)からの続き。
3.コールド・リーディング(1)
「コールド・リーディング」は「ホット・リーディング」と違い、事前に相手の情報を入手したりせずに、相手のことを言い当てる手法である。Wikipediaでは次のように定義されている。
Wikipedia「コールド・リーディング」
外観を観察したり何気ない会話を交わしたりするだけで相手のことを言い当て、相手に「わたしはあなたよりもあなたのことをよく知っている」と信じさせる話術である。「コールド」とは「事前の準備なしで」、「リーディング」とは「相手の心を読みとる」という意味である。 |
最近、TVによく出ているメンタリストのDAIGOさんが使用しているのがまさにこれで、読心術や心理学を利用してパフォーマンスを行っている。(彼の場合は、普通の手品も併用しているようであるが)
先日、私が見た番組で、彼は、5人にメガネ、ブローチ等の5つの物をそれぞれ一つずつ選ばさせ、誰がどれを選んだかを当てていた。
例えば、メガネを選んだ人は、「メガネ」というキーワードが出て来た場合、無意識に表情などが反応してしまうので、その反応を見て、何を選んだかを当てるというものである。そして、5人の内の1人は、キーワードが出てくると、右上を見てしまって当てられていた。
このDAIGOさんの場合は、読心術等を使用して当てているとし、時に、部分的にタネあかしをしたりしているので問題ないのだが、同様のことを「超能力」や「霊能力」と称して行っている場合があるので注意が必要である。
これも私がTVで見た事例だが、それは、「人物の顔が映った写真が封筒に入っており、その人物像を当てる」というものであった。
自称超能力者が読心術等を使用して当てる場合、答えを知っている者の反応を見る為に、「複数のキーワードを出しながら、徐々に条件を絞って行く」ということを行う。
例えば、まず、その写真の人物の性別を知る為に次のような発言をする。
「この写真は・・・女性・・・いや、男性だ!」
ここでのポイントは、「ぼんやりとしか視えておらず、徐々に焦点を合わせているようなフリをすること」で、この発言の「女性・・・」の部分は、「まだ、はっきり答えてませんよ〜、まだ探ってる途中ですよ〜」という感じで余韻を残しながら言う。
その「女性・・・」と言っている間に、答えを知っている者の反応を見てNOだと判断したら、「はっきり見えた!」という雰囲気をかもし出しながら「いや、男性だ!」と断言するのである。
そして、もし、相手の反応を見て、女性が正解だと判断したら、「この写真は・・・女性・・・そう、女性だ!」という発言になる。
次に、年齢層を知りたければ、こちらも透視しているフリをしながら、「10代・・・20代・・・30代・・・40代・・・」とつぶやき、相手の反応が出たところが正解の年齢層となる。
同じような要領で、「太っている、痩せている」、「髪の色」などの条件を絞って行けば、めでたく、写真の人物像が透視出来たことになるカラクリである。
ちなみに、このようなトリックを行う自称超能力者は、反応を知りたい相手の方ばかりを見ているかと言うとそうではない。
封筒の中を透視するのに、答えを知っている者の方ばかりを見ていたら怪しまれるので、彼らは「周辺視野」というものを鍛えている。よって、視線が相手に向いていなくても、しっかりと反応を把握出来ているのである。
<参考>Wikipedia「視覚」
中心窩を基準に、左右や上下の領域を、左視野、上視野のように呼ぶ。各眼の耳側15度程度の位置に盲点が存在する。中心窩から20度程度の領域を中心視野とよぶ。それ以外の領域を周辺視野とよぶ。 |
以上、TVに登場する自称超能力者は、このような読心術か手品を使用しているだけなので、見破ってみるのも面白いだろう。ちなみに、手品の場合は、タネ自体は分からなくても、本当に透視できるのなら不必要な一手間、二手間を入れて来るので分かり易い。
さて、「コールド・リーディング」について、もう一例見てみたいが、ここでいったん切って、(その4)にて記載したい。
2012.03.12新規
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