<ナレーション>
父は助けを求めたのではなく、ただ、娘の声を聞きたかった、それだけだったと木村。
もしあの時、自分が電話に出ていても父の死を止めることは出来なかった。
相談終了後
控室に戻った多岐川は6年間の苦しみから解放された。しかし・・・
個々の中に新たな気持ちが芽生えていた。それは・・・
亡くなった父のことをもっと知りたい。
数日後、木村藤子は多岐川華子と鹿児島県を訪れた。
それは、父のことを知りたいという多岐川に芽生えた新たな気持ちを叶えるため。
あの日、父は鹿児島にいた。
父の足取りを追う。自殺した当日、最初に立ち寄ったのはこの公園。
(公園に訪れた二人)
<多岐川さん> あー、すごい広いんですね。
<木村様> いいとこですね。
<多岐川さん> はい。
<木村様> 素晴らしい。
<ナレーション>
この公園まで父をのせたというタクシー運転手にも話を聞くことにした。
(運転手さん登場)
<多岐川さん> 多岐川華子です。
<木村様> (お父さんは)なんともなかったでしょ?普通の状態だったでしょ?
<運転手> ええ、そうでしたね。この公園の下にホテルがあるんです。そこへ迎えに行ったら、そのお部屋から上のこの公園が見えるという事で、「行ってみようか」ということでした。
「私が案内しましょうか?」という感じで話したんだけど、「いや、僕は一人が好きだよ」って言って。
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