インチキ教祖・教団の手口(その4)
※当記事は、(その1)(その2)(その3)からの続き

4.断定・単純明快・繰り返し

 当記事では、「断定」「単純明快」「繰り返し」の内、「単純明快」について見て行きたい。



(2).単純明快

 (その3)で述べたように、結論は「推量」ではなく「断定」が好まれ、かつ、その「断定」に十分な根拠があるかなどはどうでも良い。それっぽければ十分である。

 加えて、「断定」される内容も「単純明快」なものほど望まれることなる。「単純明快」であれば、深く思考して理解する必要もないので楽だからである。

 以下では、この「単純明快」について、より細かい要素ごとに説明して行きたい。


@.分かりやすいキーワード

 信者たちに与えられる結論は、「分かりやすいキーワード」を伴い、かつ、その文章の構造が単純なものほど良い。
 文章が長かったり構造が複雑であったりすれば、覚えにくい上に、感情へと直接訴えかけるものにはならないからだ。

 宗教関連で言えば、「分かりやすいキーワード」として、例えば「救世主」があり、「教祖様は救世主だ」という結論が信者たちに与える理想的なものとなる。

 なにしろ、教祖様は「救世主」なのだ。信者は何も迷う必要はないと言える。その教祖様を選んで完全に正解であるし、教祖様の言うことをいちいち吟味して取捨選択する必要もない。

 絶対的な正義である「救世主」にただ従い、
「救世主様〜!救世主様〜!」と黄色い声を出しとけば良いだけ。これほど、「単純明快」で考える必要がなく、楽な「分かりやすいキーワード」など存在しないと言っていいだろう。

 もちろん、本来は大前提として、
「本当に教祖は救世主なのか?」という命題を検証する必要がある。

 しかし、「断定」「単純明快」等に騙されてその気になってしまうレベルの人には、先述したように、
「十分な根拠があるかなどはどうでも良い。それっぽければ十分」なのである。

 なお、宗教関連で他にも「分かりやすいキーワード」をあげれば、例えば次ようなものがある。
「正神界」 → 「私は正神界から転生して来た」

    ・・・ (信者) 「正しい神の世界から来たんなら間違いない!」

「創造主」 → 「私は創造主から遣わされて来た」

    ・・・ (信者) 「創造主様に遣わされた方なら間違いない!」

「高級霊」 → 「私が高級霊から聞いた言葉を伝えます」

    ・・・ (信者) 「高級霊とコンタクトできる人なら間違いない!」


 ちなみに、このような「分かりやすいキーワード」について、信者たちに
内容を深く理解させる必要はない

 例えば、「救世主」の定義など、真剣に考えれば議論は尽きないものだが、「世を救ってくれる無茶苦茶偉い人」程度の漠然とした理解で十分であり、
そのキーワードから導かれる判断に疑問や迷いが生じる余地さえなければ良いのである。


A.二元論

 教祖や教団を際立たせて良いモノと見せかける為には、それと比較する悪いモノが必要であり、結果、単純で分かりやすい「二元論」が唱えられることになる。

 例えば、以下の通りである。
教団の
教団の
<希望>
・天国行き
・善人の集まり
・悟りへの階梯
<絶望>
・地獄行き
・悪人だらけ
・迷妄の闇
<安心>
・神に庇護されている。

・救世主、もしくはそれに類する者に導かれている。
<不安>
・神に庇護されず、いつ不幸が舞い込むか分からない。
・誰も正しい方向へ導いてくれない。むしろ、誤った方向へ導こうとする悪人たちが虎視眈々と狙っている。
<優越感>
・神に選ばれた人々
・悪魔の誘惑に負けず、神の教えを守り続けている人々
・自分たちは真実・真理を知っている
<劣等感>
・神に選ばれなかった人々
・脱退した人は悪魔の誘惑に負けた人
・真実・真理を知らない
 もし、これが本当ならば、信者には脱退するなどという選択肢は存在しないことになり、また、信者でないなら、信者になるしか選択肢がなくなる。

 「単純明快」に答えを出すことができ、かつ、この「二元論」に疑問さえ抱かなければ、自分が出した答えに何時までも安心していられることになるのである。

 なお、上記「二元論」の例の延長で、「脱退させようとする人=悪魔」とすることにより、信者を辞めさせようとする家族等の説得に耳を貸さないように仕向けることも良く使われる手口である。

 実際は本人の為を思っての説得なのであり、脱退こそが正解なのであるが、本人にとっては
「悪魔のささやき」としか映らない。その誘惑に負ければ、絶望と不安と劣等感の世界が待っており、それは、天使が堕天するようなものなのだからだ。



B.恐怖と希望

 上述の「二元論」とも重なるのだが、「恐怖と希望」と言うのも良く使われる手であるので、あえて外出しで説明したい。

 まず、大前提として「恐怖」が前面に押し出される。例えば、次のようにである。
○この世の終末が迫っています。天変地異が起き、血で血を洗う大戦争が起きるでしょう。
 ありがちな終末論であるが、このような話を聞けば、「何とかして助かりたい!」と思うのが人情である。

 当然、「恐怖」を煽るだけでなく「希望」もセット販売されていて、信者になることにより次のような特典が与えられることになる。
○教祖に予知能力がある、もしくは、教祖に神が天変地異等の情報を教えてくれるので、事前にいつどこで起きるのかを知ることが出来る。

○この世の終末には、天使によって善人だけが天国へと引き上げられる。善人として選ばれるのは信者だけ。

○この世の終末にはアセンション(次元上昇)も起きて、天国のような別次元へと移行でき、アセンションする条件・方法等は教祖が教えてくれる。

○教祖が宇宙人とコンタクト出来て、その宇宙人がUFOで信者たちを助けに来てくれる。
 これまでと同様、もし、これが本当なら答えは自明で、信者になるしか選択肢がないことになる。


 なお、家庭環境や身体、精神等に問題があって
「生きてることが辛い。生き地獄だ」と考えている人にとって、このような「恐怖と希望」はより強烈に魅力あるものとして映ることになる。

 この世の終末まで耐え忍べば、そのような生き地獄の人生を御破算にして天国へ行け、かつ、自分に苦しみを与えている人たちは地獄と化したこの世へと置き去りに出来るからである。




 以上、「単純明快」について説明して来た。

 このような「単純明快」に騙された信者を、信者以外の人が見れば
「インチキ宗教に騙された愚かな人」でしかない。しかし、信者にしてみれば真逆である。

 上述の「二元論」によって<優越感>を持っており、
「こんなに明快に、かつ、分かり易く、『入信』という答えを導きださせるのに、何で分からないの??」と思って、むしろ、信者以外を「愚かな人」だと思っているのだ。

 さらに、
「何で、こんな自明なことが分からない??」と言う不可解さから、「心が欲で曇ってるから分からないんだ」とか、「悪魔に支配されてるから分からないんだ」などと考えているのである。


 また、このような手法は宗教関連でのみ使用されているわけではなく、誰もが当たり前のように日常で接しているものである。例えば、TVのCMがそうである。
<恐怖> 実は雑菌がいっぱい!(雑菌の映像)
  ↓
<安心> この洗剤を使えば・・・


<劣等感> だらしない身体の男性の映像
  ↓
<優越感> エステに通えば・・・(ひきしまった身体の男性が、美女に囲まれている映像)

<希望> 化粧した美女の格好いい映像
        車でどこかへ遊びに行く幸せそうな家族の映像

※このような映像を見せることにより、
「この化粧品を使えば、この美女のようになれるのでは・・・」「この車を買えば、こんな幸せそうな家族になれるのでは・・・」という希望を与える。
 このような「単純明快」で分かり易いCMを作ることによって印象操作をし、商品やサービスの販売促進につなげるわけである。


 続いて(その5)では、「断定」「単純明快」「繰り返し」の内、「繰り返し」について見て行きたい。



2015.09.01新規

    精神世界
   (※「AIRランキンク」゙さんの精神世界ランキング。クリックすると、当HPに一票入れたことになります)







教祖様にツッコミを入れるページ