インチキ教祖・教団の手口(その2)
※当記事は、(その1)からの続き


 (その1)では、インチキ教祖・教団が信者たちを好きなように操ることが出来るようになるツールである、霊能力というブラックボックスについて解説した。

 このブラックボックスは他から信じてもらえなければ、ただの無用の長物で何の役にも立たない。変人扱いされるだけである。

 当然、インチキ霊能力を
「真」だと信じ込ませるテクニックもあるわけで、以下ではそのテクニックについて見て行きたい。



2.もっともらしいだけの根拠

 インチキ霊能者がただ単に、
「自分はすごい霊能力がある!」とか「自分は高次元の存在とコンタクトしている!」と主張しても、それだけでは信者は集まらない。

 そこには、それを信じさせるだけの
説得力が必要となって来る。

 ただし、上記のようのな主張、及び、霊能力者が提示する真実・真理等を
「真」だと証明する必要はない。人々を騙すには「もっともらしいだけ」で十分だからである。

 そして、もっともらしく説明する様々な手法については、以下の記事で記載しているのでそちらを参照して欲しい。
<もっともらしいだけの根拠>

 (その1) 言葉遊びによる根拠 
 (その2) 連想ゲームによる根拠
 (その3) 部分抽出による根拠
 (その4) 体験談による根拠
 (その5) 未実証の根拠
 (その6) もっともらしいだけの予言(1)
 (その7) もっともらしいだけの予言(2)
 (その8) 曖昧な条件付きの成就
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 要は、単なる言葉遊びでも十分。それだけでも、それなりに信者を集めて、書籍を出版できるレベルにはなれるのである。



3.情報操作

 そもそもの霊能力がインチキであるが故に、情報操作が基本となって来る。

 そして、情報操作に使用されるツールは、「捏造」「隠ぺい」「歪曲」の三セットである。

 この三セットは具体的には、例えば次のように使用される。
(1).捏造
○手品を使って奇跡を演出 (例:小さな仏像を空中から取り出す。空の容器を液体で満たす)
○大きな災害、事件が起きた後で、そのことを予知していたと主張する
○医者の治療で治った病気を、教祖の心霊治療で治ったと主張する

(2).隠ぺい
○ハズレばかりの予言書を出版し、改版時に外れた予言を削除する。
○心霊治療を施して治らないばかりか悪化したという事実を、一切公表しないどころか無かったことにする。
○ハズしたことが明らかになった霊視結果を、ブログから削除する。

(3).歪曲
○ごくごく初期のガンが心霊治療後に治っただけなのに、末期ガンを心霊治療で治したと主張する。
○時期も規模も不明な漠然とした地震予言が当たっただけなのに、さも、その地震のことを明確に予知していたかの如く吹聴する。
○教団の勢いがドンドン増していると信者たちに思わせたい為、信者数を水増しして公表する。

 この中で使用頻度が高いのは、「隠ぺい」「歪曲」である。

 「捏造」というのは
明確なウソであるので、心理的に抵抗が大きい(それでも平気でするインチキ霊能者はいるのだが)。

 一方、「隠ぺい」
「隠しているだけ」「歪曲」「ちょっと大げさに言ってるだけ」という言い訳ができて、ウソとまでは言えず、心理的抵抗が比較的小さくて済むからである。

 
実際は、信者たちに誤った判断をするよう誘導しているので、騙していることには変わりない。


 また、広い意味では「隠ぺい」に含めて良いと思うが、以下の記事で説明した「部分抽出の根拠」も良く見られる手法である。

   ○(その3) 部分抽出による根拠

 
都合の悪い情報は無視して、都合の良い情報のみを強調したり、繰り返したりして主張するものである。具体例としては、次の通りである。
○100の予言をして、その内の1つが当たっただけなのに、「○○大地震を予言しました!」とだけ主張して回る。
○1000人の信者の内、何か良いことが起きた人10人程度を体験談として書籍等に掲載する(※良いこととは、恋人が出来た、宝くじに当たった、昇進した等)。そして、その裏に990人の良いことが起きなかった人、悪いことが起きた人がいることは伝えない。
○信者数を○万人と公表するが、その中に多数の単なるメルマガ会員が含まれていることは一切記載しない。
 提示された情報のみを見れば、「○○大地震を予言したなんて凄い!」「ここの信者になれば、そんな良いことが起きるんだ!」等と思ってしまうものである。

 しかし、全体を見れば、
「ただのまぐれ当たりだよね」「1000人もいれば、そりゃ、10人くらいはそういうことが起きる人もいるよね」等という感想に変わってしまうことになる。

 こちらの「部分抽出の根拠」「隠ぺい」との違いは、
都合の悪い情報を積極的に隠すか否かである。積極的に隠す方が「隠ぺい」となる。

 そして、「部分抽出の根拠」は、「隠ぺい」「歪曲」よりも
さらに心理的抵抗は少ない

 
「自分の都合の良いことのみを人に話す」というのは、大なり小なり、通常、誰でもやっているものであり、逆に言えば、自分に関する情報を全て余すことなく他に発信している人など存在しないからである。

 「部分抽出の根拠」が問題なのは、そのように情報を操作することによって、他人の判断を誤らせることにあると言えるだろう。


 以上、情報操作について見て来たが、
インチキ霊能者や教団は、このような情報操作を必ずしている

 よって、
情報に接する場合は常に、「捏造」、「隠ぺい」、「歪曲」、そして、「部分抽出の根拠」の可能性を警戒するよう心がけておくべきである。

 それは、宗教やオカルト関連からの情報だけでなく、それ以外からの情報でも同様である。ご存知の通り、信頼度が高いはずのTVや新聞等のメディアでも平気でこのような情報操作をすることがあるからである。


 また、
崇高で立派な目的を掲げる個人、団体がこのような情報操作をしているのなら、その目的は建前に過ぎず、実際は、自らの欲で行動していると断言していい

   「自分たちの主張を正しいと思って欲しい」
   「自分たちを支持する人を増やしたい」
   「自分たちのしていることが立派だ、素晴らしいと思って欲しい」
   「自分たちの主張が誤りだとは認めたくない」

 このようなはあっても構わないが、
その欲を実現する為に情報操作をし、誤った判断をするよう他人を仕向けるのなら言語道断であり、そのような不誠実な行動をするのは、自らの欲を制御することができないばかりか、欲の従者となっているからである。

 
欲の従者たちが掲げる崇高で立派な目的は、やはり、欲で歪んだものに過ぎない


 
「崇高で立派な目的と情報操作は相容れないもの」であると良く認識しておくべきであろう。

 そして、そのことを認識しておけば、大抵のインチキ霊能者・宗教、インチキ団体は簡単に見抜けることになる。





 続いて(その3)では、催眠術のように特定の思考を刷り込む、「断定・単純明快・繰り返し」について見て行きたい。




2015.08.18新規

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