※当記事は(その1)からの続き
当記事では、坂本様が高次意識から得たという古代史の真実を見て行きたい。
まずは、日本の古代に至る前の超古代である。
<P.112>
バシャールの説く人類史
バシャールは人類の創生とその歴史について、『バシャール×坂本政道』(VOICE)の16〜63頁に詳しく述べている。以下にその要約を載せる。
人類はアヌンナキという別宇宙の生命体が、50万年前に当時地球に生きていた前人類に遺伝子操作を施すことで誕生した。こうして生まれた最初の人類はアヌンナキに似て青い肌をしていた。彼らはムー(レムリア)と呼ばれる地に住んでいた。
ムーは太平洋に広がっていて、アジアにもつながっていた。ハワイ、日本の一部、東南アジア、それに中国、ロシアの一部も含まれていた。
何万年もの間に地質学的な変化によって、ムーはいくつもの土地に分かれ、最終的にはほとんどの地は海底に沈んだ。
ただ、ムーは地球上の各地に植民地をもっていたので、人々はそこへ移っていった。植民地はアジア、アフリカ、オーストラリア、南北アメリカにわたっていた。
アジア人とネイティブ・アメリカンが似ているのは、共にムー人の末裔だからである。
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(※管理人注)青字にしたのは管理人(以下同様)。
バシャールは高次意識。
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「人類はアヌンナキという別宇宙の生命体が、50万年前に」「遺伝子操作を施すことで誕生した」らしい。
「アヌンナキ」というのは、本来、シュメール、及び、アッカドの神話において、神々の集団のことを指す言葉である。
私が知る限りでは、この「アヌンナキ」を宇宙人にしてしまった最初の人物は、言語学者・考古学者のゼカリア・シッチン氏(1922-2010)である。
ゼカリア・シッチン氏はシュメール神話を解釈して、太陽系内に3,600年周期で公転する「ニビル」という惑星があるとし、そこに「アヌンナキ」の本拠があるとした。
そして、その「アヌンナキ」は、45万年前に地球に到来して植民し、30万年前に労働力確保の目的から、地球外生命体の遺伝子をホモ・エレクトスの遺伝子とかけあわせ人類を誕生させたとした。
坂本様がバシャール様から聞いた話とでは、人類誕生の年代が異なり、また、ゼカリア・シッチン氏は最初の人類を「青い肌」であるとしていない点、及び、ゼカリア・シッチン氏による人類誕生の舞台はムーではなくアフリカである点で異なっている。
<参考>
Wikipedia「アヌンナキ」
Wikipedia「ゼカリア・シッチン」
『人類を創生した宇宙人』(ゼカリア・シッチン(著)/竹内慧(訳)/徳間書店) |
ちなみに、この手のトンデモ話がいったん世に出ると、「それを真に受けた自称霊能者・自称チャネラーたちが、好き勝手に内容を変更・付加したりして、どんどん話が広がって行く」というパターンがある。
坂本様の話に登場する「ムー」や「レムリア」などもその典型例である。
坂本様によると、「最初の人類は」「ムー(レムリア)と呼ばれる地に住んでいた」らしいが、「ムー」や「レムリア」など存在しない。
記事「『分裂する未来』にツッコミ(その3)」でもツッコんだが、再度、ツッコんでおこう。ただし、当HPではさんざんツッコんで来た話なので簡単にだけ説明したい。
まず、「ムー」は、勘違いと曲解によって登場したものであり、当初、大西洋上のアトランティスのことだとされていた。それを太平洋に持って来たのが自称軍人のジェームズ・チャーチワードで、以降、自称霊能者・自称チャネラーたちが好き勝手、大風呂敷を広げている。
次に、「レムリア」は、学説において、キツネザルの近縁種の分布を説明する為にインド洋上に仮定された大陸のことであり、この大陸はキツネザル(レムール)にちなんで「レムリア大陸」と名付けられた。
この学説は、プレート・テクトニクス理論の完成により否定されることになるのだが、説の登場以降、「ムー」と同じく、自称霊能者・自称チャネラーたちによって、好き勝手なことが主張されることになった。
なお、「ムー」と「レムリア」についての詳細は、下記のページを参照していただきたい。
<参考>
バシャール様(坂本様)は、上述の通り、「ムー」が太古の太平洋上に実際にあって、しかも、「ムー=レムリア」だと考えているようだ。
「ムー」が実際に存在したという話もありえないのに、さらに、学説でインド洋に仮定された大陸である「レムリア」を太平洋に持って来て、「ムー」と同じだとするとはデタラメにも程がある。
ちなみに、神智学のブラヴァッキー夫人(1831-1891)も、「レムリア」はインド洋ではなく太平洋に存在していたと唱えていた。
結局のところ、坂本様が示しているのは真実でも何でもなく、トンデモ話を「真に受けた自称霊能者・自称チャネラーたちが、好き勝手に内容を変更・付加したりして、どんどん話が広がって行く」という流れの一つに過ぎないのである。
また、バシャール様(坂本様)は、「アジア人とネイティブ・アメリカンが似ているのは、共にムー人の末裔だからである」と言っているが、最初の人類がムーで生まれ、その子孫がムー人ならば、現在の全て人類が「ムー人の末裔」であろう。
そもそも、このバシャール様の主張は、「アジアや南北アメリカはムー系、ヨーロッパはアトランティス系」等といった図式を前提として成立する話。
それを改変して、「人類の発祥の地はムー」という情報を追加してしまうと、「アジア人とネイティブ・アメリカンが似ているのは、共にムー人の末裔だからである」なんて話は成立しなくなる。
これは、前提となったトンデモ話を改変した結果、矛盾が生じてしまった例である。
さらに、上記の続きを見てみよう。
<P.113> (※上記からの続き)
ムーの人々が北アメリカに植民したのは5万年前のことで、そこから南アメリカへと移動していった。その途中、アトランティス大陸に達したのが3万年ほど前のことだ。
アトランティスはキューバ、プエルトリコ、フロリダの一部、バハマなどの地域である。当時は氷河期だったので、海面が今よりも90メートルほど低かったため、これらの地域はつながっていた。
アトランティスは1万2千年前まで続いた。1万2万年前に巨大隕石が2個大西洋に落ち、それによる300メートルの高さの津波によってアトランティスは海底に沈んだ。 |
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そして、「アトランティス」登場(笑)。
この手のデタラメ超古代史を唱える人物は、必ずと言っていいほど、「ムー」と「アトランティス」をセットで唱えるよな。
「アトランティス」も当然、存在しない。
「アトランティス」の話をたどって行けば、最終的に行く着くのはプラトンの著作『ティマイオス』と『クリティアス』であるが、結局、そこに描かれた寓話は真実ではなく、プラトンの創作であると考えるのが妥当なものである(※詳細は以下の本城達也氏のページを参照)。
そして、坂本様の「アトランティス」話も、「ムー」や「レムリア」と同様、他の自称霊能者等のトンデモ話を真に受けて、そこに上乗せもしくは、変更を加えているに過ぎないのものである。
<参考>
続いて、少し飛ばして、坂本様がバシャール様に聞いたという超古代史の続きを見てみよう。
<P.113-114>
アヌンナキは地球に来て人類を創生する前に、太陽近傍のいくつもの星系で人類型生命体を発達させている。
アヌンナキはこの宇宙に入ってきて、まず、こと座星系とオリオン座星系として知られる星々に落ち着いた。オリオン座星系とはリゲルと三ツ星の一つであるミンタカである。
次に、こと座星系とオリオン座星系の両方からプレアデス星団に移るものもいた。彼らはその後進化してプレアデス人となった。
その後、オリオン座星系から(直接リゲルからと、ミンタカ経由で)地球へ来て、人類を創った。
人類が創られてから少なくとも30万年間は他の地球外生命体との交流はなかったが、その後、シリウスやプレアデスなどとの交流が始まる。その後、オリオン座の文明のいくつかも交流を開始。さらにアークトゥルスやグレイとの交流が始まった。
ここでシリウスの文明とはアヌンナキとは直接関係ない生命体たちで、人類型ではない。
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ゼカリア・シッチン氏のバージョンの「アヌンナキ」は、「ニビル」という惑星から来たとされていたが、坂本様バージョンでは、オリオン座星系から来たらしい。そして、地球に来る前は、オリオン座星系の「リゲルと三ツ星の一つであるミンタカ」にいたらしい。
少し考えれば、おかしいと気づくと思うが、リゲルもミンタカもオリオン座を構成する星であり、星座として我々に見えているということは、太陽と同じ恒星である。
どうやって、また、どうして、そんなところに落ち着いたのだろうか?
仮に、超高温下でも生存できる特別な技術を持っていたとしても、もっと、住みやすそうな星は他にいくらでもあるだろうに。
単に、言葉足らずなだけで、リゲルやミンタカを中心として公転している惑星に住みついたということなのだろうか?
ちなみに、坂本様は別の著書でも以下の通り、「リゲルに定着」とあり、やはり、本拠地は恒星のように読める。
『分裂する未来』 P.31 (坂本政道/ハート出版)
アヌンナキという別宇宙の生命体が、この宇宙へ入ってきて、こと座(リラ)の星や、オリオン座リゲルに定着し、そこからさらにあちこちの星で文明を発展させた。その流れで、リゲルやオリオン座のミンタカ(三つ星のひとつ)から地球へやってきたものたちが最初に人類を創造したとのことである。
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また、坂本様の話では、他のコンタクティやチャネラーなど、宇宙人好きな人達の口から良く聞かれる星座や星が登場している。オリオン(リゲル)、プレアデス、シリウス等である。
このような星座や星が何故、宇宙人の本拠地として上げられるのかについて、『トンデモ超常現象99の真相』で考察がなされているので紹介したい。
『トンデモ超常現象99の真相』 P.98 (と学会/洋泉社)
宇宙には太陽によく似た星、生命の生存に適した星はたくさんある。太陽から100光年以内だけでも数百個あるだろう。それなのになぜ、コンタクティやチャネラーたちは、シリウス、ヴェガ、プレアデスなど、わざわざ生命の存在する可能性のない星の名前ばかり言い続けるのか?
理由は簡単。チャネラーやUFOビリーバーたちは天文学にうといので、シリウス、ヴェガ、プレアデスといった有名な星の名前しか知らないのだ。
銀河系内には生命を宿している可能性のある星が何億もある。だから将来、異星人が地球を訪れる可能性もゼロとはいえない。
しかし、これだけは断言できる。彼らは決してシリウスからはやって来ない。ヴェガからも、リゲルからも、プレアデスからも、絶対に来ない。 |
なお、宇宙人と言えば、一昔前は金星人や火星人であった。例えば、有名なアダムスキーは、1952年に金星人とコンタクトし、その後も、火星人や土星人のUFOに搭乗したと主張していた。
それが、科学の進歩と共に、金星や火星等の調査がなされ、それらの星に知的生命体が存在していないことが分かると、今度は、「宇宙人は、遥か遠くのシリウスやプレアデス、オリオン等といった星座の星々から来ている」という主張がなされることになる。
さらに、それらに対して、例えば、次のような指摘がなされると、
『トンデモ超常現象99の真相』 P.96 (と学会/洋泉社)
シリウスAは誕生してからまだ3億年経っていない若い星ということだ。わずか3億年では、生命が進化する時間はもちろん、惑星が形成される時間さえない。 |
今度は、坂本様のように、
<P.70-71>
シリウスはこの宇宙への出入り口になっていて、別の宇宙やこの宇宙の別の領域から、さまざまな生命体がやってきている
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というような主張がなされ、「シリウスは単に出入り口に過ぎない」という話に変わって行くのである。
コンタクティやチャネラーが宇宙人や高次の生命体から聞いたという話は、所詮、そんな程度のものであることを重々承知しておくべきであろう。
以上、巷に流布されているトンデモ話を真に受けて、それに多少の上乗せしたり、変更を加えたに過ぎない内容を提示するバシャール様(坂本様)。
(その3)では、引き続き、超古代のデタラメ話を見て行きたい。
2012.7.3新規 |