『いつも宇宙人があなたの間近にいます』にツッコミ!(その1) ・・・ 田村珠芳さま

書 名  いつも宇宙人があなたの間近にいます
著 者  田村珠芳
出版社  ハギジン出版
価 格  1,200円(税別)
 出版年月  2010年2月

●本書概要

 本書裏表紙より
地球、そして人類の五次元アセンションも間近です

いずれも現在地球に住んでいる、銀河連邦の宇宙人も、
宇宙連合の宇宙人も、惑星連盟の宇宙人も、
いよいよその時が近づいているため任務に余念がありません。

宇宙連合の宇宙人は、
地質調査師で地球のゴールドの調査にきたといっていました。
地球のゴールドは現時点で700兆円分あるそうです。
一番埋蔵量の多いのは日本だそうです。

他にパプアニューギニアやミンダナオ島にも、
貴重な鉱物があるといっていました。

銀河連邦の宇宙人は医師で、
「動物は子供を生むと、
へその緒や胎盤を食べて
免疫力と栄養をつけて子育てするんだよ。
自分のへその緒がとってあるなら、
命にかかわる病気になったら、
それを食べるといい、
エジプトの古代王国の時代は医療にとり入れていた」
といっていました。 

●詳細&ツッコミ

 2007年5月に発売された著書
『まもなく宇宙人が到着します』でデタラメ予言を披露していた珠芳さまだが(*)、その約2年半後の2010年2月に発売された本書でも、その勢いは留まるところを知らない。
*以下の記事を参照
『まもなく宇宙人が到着します』にツッコミ!(その1)
『まもなく宇宙人が到着します』にツッコミ!(その2)
 当記事では、珠芳さまが新たにどのようなデタラメなことを言い出したか、及び、『まもなく宇宙人が到着します』で言っていたことがどのように変更されたかを中心に見て行きたい。




 珠芳さまもフォトンベルトなるガセネタに騙され、2012年12月22日に地球がフォトンベルトに突入するとか、アセンション(次元上昇)が起こると主張していた自称霊能者の一人であるが、まずは、このフォトンベルトやアセンション関連から見て行きたい。
<P.54-55>
間近にいる宇宙人からこんな話を聞いた

 たまたま、あるルートから
地球に住む宇宙人の方とお会いして、フォトンベルトは本当にあるのか聞きましたら
「フォトンはないけれども、宇宙空間はプラズマで満ち溢れている。
みんな宇宙空間は真空だといっているが、そうではなくプラズマで満ち溢れている
 といっていました。そして
銀河の中心から出ているのはフォトンではなく、プラズマエネルギーだという

(注)文字に色を付けたのは管理人(以下同様)
 『まもなく宇宙人が到着します』では、宇宙にフォトンベルトなるものがあって、そのフォトンが人類をアセンション(次元上昇)させてくれるとしていたのだが、どうやら、フォトンではなくプラズマらしい。

 てか、「フォトンベルトは本当にあるのか聞きましたら」って、
『まもなく宇宙人が到着します』であれだけ断定的に記述してたのに、自分でも確信がなかったのか?(笑)

 
ご自慢のサイキックリーディングとやらを使えば、宇宙人に確認なんてしなくても、真偽などすぐに分かりそうなものであるが。


 なお、フォトンというのは光子のことで、広辞苑によると以下の通り説明されている。
『広辞苑』 光子
素粒子の一。静止質量ゼロ、スピン1の粒子。光すなわち電磁波は、場の量子論では光子の集合として扱われる。初期の名称である光量子とは区別して用いることが多い。フォトン。
 光は電磁波の一種であるが、下記表の通り、光より波長が長いものが電波、短いものが放射線となる。
電磁波
放射線 電波
ガンマ線
エックス線 紫外線 可視光線 赤外線 サブミリ波、極超長波、等
0,01nm未満
(※波長)
0.01nm-10nm 10nm-380nm 380nm-760 nm 760nm-106nm 1-0.1mm(サブミリ波)

100km-107km(極超長波)
波長短い・周波数多い ←    → 波長長い・周波数少ない
※n・・・ナノ:10-9、μ・・・マイクロ:10-6
 そして、電磁力を伝えるのが電磁波であるが、その電磁波が粒子として姿を表したものが光子であり、結局、光子が電磁力を伝えていることになる。

 「光子」と聞けば、その名称から「光のみの粒子」と勘違いしがちであるが、実際は、放射線の粒子も「光子」だし、電波の粒子も「光子」なのである。
<参考>
○『マンガでわかる「超ひも理論」』(白石拓/宝島社文庫/2008.7) P.86-87
○Wikipedia「電磁波
○『電磁波の正体と恐怖』 (小山寿/河出書房新社/1996.6) P.67

 一方、プラズマというのは、Wikipediaによると以下の通り。
Wikipedia「プラズマ
気体を構成する分子が部分的に、または完全に電離し、陽イオンと電子に別れて自由に運動している状態のことである。
 原子は原子核と電子からなり、原子核は陽子と中性子からなる。その原子に熱や電磁波等のエネルギーを与えると、一部、または、全部の電子が原子核から離れて自由に動き回るようになる。気体を構成する分子における、そのような状態のことをプラズマと呼ぶのである。

 プラズマは固体・液体・気体に続く物質の第4の状態であると言われるが、固体に熱を与える(=エネルギーを与える)と液体になり、さらに熱を与えると気体になる。そして、そこからさらにエネルギーを与えるとプラズマと呼ばれる状態になるのである。

 なお、自然現象では炎や雷、オーロラなどもプラズマの一種であり、人工物では蛍光灯がプラズマを利用している。
<参考>
Wikipedia「プラズマ

 さて、フォトンとプラズマを簡単に抑えたところで話を戻そう。

 珠芳さまがコンタクトした宇宙人によると、「みんな宇宙空間は真空だといっているが、そうではなくプラズマで満ち溢れている」らしい。

 この話は、別に宇宙人に言ってもらわなくても分かっていることである。例えば、プラズマ関連の書籍には次のように記載されている。
『宇宙プラズマ物理学』 (桜井邦朋/恒星社厚生閣/2012.9) P.2
この宇宙空間の至るところに、プラズマは存在しているのである。
『高温プラズマの物理学』 (田中基彦/丸善/1991.3) P.5
 以上いくつかの例を挙げただけでも、プラズマが宇宙から地上まであまねく存在し、われわれを取り巻く自然環境であるばかりでなく、日常生活にも深くかかわっていることが理解できるだろう。
 宇宙で言えば、太陽の外延部のガス層であるコロナがプラズマである。そして、そのガスは超音速の流れ(太陽風)となって太陽系を吹き抜け、膨張し、最終的には、天の川銀河空間に広がるプラズマと磁場に出会ってせき止められ、太陽圏と呼ばれる広大な領域を形成している。この太陽圏は、太陽と地球を結ぶ距離(1天文単位)の100倍ほどにまで広がっている。
<参考>
○『宇宙プラズマ物理学』 (桜井邦朋/恒星社厚生閣/2012.9) 〜P.6

 このように、上記宇宙人の話は、地球人にとって既知のものである。

 てか、宇宙空間を何もない真空だと思っているのは、宇宙にあまり興味がなく、宇宙に関する書籍等を読んだことのない人ぐらいではないだろうか。

 
そういう一般の人達の知識を前提として話をし、かつ、既に分かっている事実を自慢げに披露している時点で、正体が透けて見えるのだが・・・


 また、宇宙人は、「銀河の中心から出ているのはフォトンではなく、プラズマエネルギーだ」とも言っている。

 私の知っている範囲では、同様のことを主張しているのが飛鳥昭雄氏である。
2008年に発売された彼の書籍には次のように記載されている。
『太陽の謎とフォトンベルト』 (飛鳥昭雄・三神たける/学研/2008.9)
「世間で噂されるようなフォトンベルトは存在しない!!」「存在するのは高エネルギー流 プラズマ・フィラメントだ!!」(P.249)

「はたしてフォトンベルトは実在するのか。結論からいおう。
フォトンベルトは存在しない。フォトンベルト・ストーリーは虚構である。女学生が書いたジョークに近いSFである。」(P.290)
 そして、先の宇宙人の発言である「みんな宇宙空間は真空だといっているが、そうではなくプラズマで満ち溢れている」と同様のこともこの書籍には記載されている。
『太陽の謎とフォトンベルト』 (飛鳥昭雄・三神たける/学研/2008.9) (P.307-308)
 早稲田大学の大槻義彦名誉教授が主張するように、宇宙の全物質の99.9999999999パーセントはプラズマである。宇宙はプラズマで満ちている
 
かつて宇宙は真空が広がるだけであると考えられてきた。が、観測が進むにつれて、意外にプラズマが大量に分布していることがわかってきた。
 きっと、珠芳さまが会ったという宇宙人も飛鳥昭雄氏の本を読んだのでなかろうか(笑)


 さらに、この宇宙人によると、フォトンベルトならぬプラズマベルトに地球が突入すると次のようなことが起きるらしい。
<P.55>
 それで先ほどの宇宙人に、フォトンベルトの中に入るとどうなるかを聞いたら、要するにフォトンベルトではなくて、プラズマベルトですが、その中に入ると、もの凄いエネルギーを私たちは浴びるから、DNAが動き始めるそうです
 どうやら、「DNAが動き始める」らしい。

 現在の地球の科学を凌駕した科学力を持っているはずの宇宙人にしては、
恐ろしく漠然とした内容である。

 さらに続きを見て見ると、
<P.55-56> (※上記からの続き)
 DNAの螺旋階段状の分子、ヌクレオチドというそうですが、それは現在2本しか動いていないけれども、このDNAは全部で12本あるから、その全部が動き始める。そうすると、今まであなた方が超能力だと思っていたことも、超能力でも何でもない、ふつうの人間の能力になっていくから、もっともっと違う世界に入っていけるということをいっていました。
 どうやら、「DNAは全部で12本あ」り、「その全部が動き始める」らしい。

 なぜ、プラズマを浴びたら、DNAが動き始めるのか不明な上に、2本しかないはずのDNAの残り10本がどこから湧いてくるのかも不明。

 さらに、何故、12本のDNAが動き始めると超能力が使えるようになるのかも全く不明。

 頼むよ、宇宙人様。もっと、具体的、かつ、科学的に説明してくれよ。




 以上、フォトンベルトやアセンションに関する記述を見て来た。

 本書が発売されたのは2010年で、地球のフォトンベルト突入とやらは2年後であるから、まだ、「真実だ!」「アセンションに備えよ!」と余裕をかましていられる時期である。

 ただし、書籍やネットではフォトンベルトの虚構性や非科学性が指摘され、フォトンベルトなど存在しえないことも広まりつつあった頃でもあるから、珠芳さまも多少不安を感じていたというところだろうか。


 ※(その2)に続く



2014.05.20 新規

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珠芳さまが会ったのは宇宙人じゃなくて、妄想癖・虚言癖のある地球人ダロ。