『聖書の暗号は読まれるのを待っている』にツッコミ!(その1) ・・・ イオン・アルゲイン様 |
書 名 |
聖書の暗号は読まれるのを待っている |
著 者 |
イオン・アルゲイン |
出版社 |
徳間書店 |
価 格 |
1,800円(税別) |
出版年月 |
2010年7月 |
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●本書概要 |
本書は、「聖書の暗号」を解析することによって得られたとされる真実(?)が掲載された書籍。その真実の一部は下記の通り。
<本書帯より(一部抜粋)>
前文明ムーからの愛のコードと闇の勢力の悪のコード
聖書の暗号は、「闇の勢力の本体」とは資本の中に隠れているイルミナティ・フリーメーソン・ロスチャイルトなどであることを告げているようです。そしてバチカンの中にも隠れていることが示されました。ヘブライ語で書かれた聖書は闇の勢力が、人類を支配するために作った陰謀遂行のためのツールだったようなのです。さらにそれを覆そうと未来の人類のために付加されたものが、本書で明らかにする「聖書の暗号」の愛のコードと言えそうです。
聖書の暗号の解読は、日本が最先端となっています!
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なお、本書は、船井幸雄様が序文、推薦、解説を行っており、表紙には、著者のイオン・アルゲイン様の名前と並んで、船井幸雄様の名前が大きく掲載されている。
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●ツッコミ |
まず、本書の題名にも入っている「聖書の暗号」について解説しておこう。
「聖書の暗号」とは、旧約聖書の中に過去、現在、そして未来の出来事等が暗号化されて記載されていると言うものである。
元記者であるマイケル・ドロズニン氏が世に広め、その著書『聖書の暗号』は、1997年に日本でも発売されて話題になった。
『聖書の暗号』 (マイケル・ドロズニン(著)/木原武一(訳)/新潮社/1997年8月)
より詳細には、暗号が隠されているとされるのは、ヘブライ語で書かれた旧約聖書で、いわゆるモーセ五書(創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記)と言われるものである。
その全体の30万4805字を連続する文字列に変えると、人物の名前や出来事等を示す言葉が、等間隔で記載されているとされる。
当記事では説明は省くが、結論から言えば、聖書にこのような暗号など隠されているはずもなく、結局は、「探そうと思えば、大抵のものは何でも見つかってしまう」ものに過ぎない。
そして、それは、ヘブライ語の、全22文字で子音は表記されず、しかも、数字もこの22文字で表すという特性によるものである。
なお、「聖書の暗号」の詳細については、以下の記事で説明しているので、参照願いたい。
このような「聖書の暗号」を真に受け、聖書から暗号を探し出して真実を明らかにしているつもりになっているのが本書なのであるが、続いて、その内容を見て行こう。
まず、イオン・アルゲイン様は、「聖書の暗号」の解読ルールを発見したらしいので、その箇所を見てみたい。
<P.29>
10年以上前になるのですが、『聖書の暗号』(マイケル・ドロズニン著 木原武一訳 新潮社)という本が出版されて、当時のベストセラーになりました。著者はマイケル・ドロズニンさんというジャーナリストの方です。
彼は2006年に世界大戦、原爆によるホロコーストを予想していました。そのため、今では外れた予言として、多くの人の記憶からは消えていったものと思います。
旧約聖書の中に何かが暗号化されて書かれていることは、現在の研究結果により、聖書の中から多くの人名が確認されていることからも疑いの余地はないのです。
では、なぜ、ドロズニンさんの解析結果は外れたのでしょうか。
当時は意味のありそうな言葉を探して、その言葉をメッセージとして扱っていました。暗号化のルールがわからなかったため、長い文になるもの、それらしく意味がつながるものを暗号化されたメッセージと意味づけていました。この方法での解読メッセージが外れたわけですから、この方法が暗号化ルールではないことは確かです。
(※管理人注)文字に色を付けたのは管理人(以下、同様)。 |
マイケル・ドロズニン氏は、 1997年に発売された著書『聖書の暗号』(新潮社)の中で、2006年に世界大戦、及び、原爆によるホロコーストが起こることを予想していたが、見事外れた。
イオン・アルゲイン様によると、その理由は、「暗号化のルールがわからなかったため」らしい。
そして、その「暗号化のルール」がどのようなものかと言うと、
<P.30> (※上記からの続き)
この本では「確率的に」自然に存在する言葉と、暗号化された言葉を区別することを基本ルールとして解いてみました。その結果、聖書の暗号は基本的に5文字を一語として暗号化されていることが判明しました。5文字を一語として暗号としたとのルールを書いた部分が存在しているのです。このルールの存在をもって「誰か」が書いたものが、聖書の暗号であると考えたいと思います。
このルールに添って聖書の暗号を読み解いたのが本書です。
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「聖書の暗号は基本的に5文字を一語として暗号化されていることが判明し」たらしく、かつ、その「ルールを書いた部分が存在してい」たらしい。
先にも述べた通り、「『聖書の暗号』は、探そうと思えば、大抵のものは何でも見つかってしまうもの」に過ぎないのであるが、イオン・アルゲイン様は、自分が解明した「暗号化のルール」が、「聖書の暗号」によって裏付けられたと思い込んでしまっているようだ。
ちなみに、その「暗号化のルール」に従って、イオン・アルゲイン様が解明した真実(?)の一部を列挙すると以下の通りである。
○9.11テロは政府の犯罪で、G.W.Bush大統領が関係しており、彼はフリーメーソンやイルミナティの操り人形だった。(P.74)
○エイズは国家の研究所の研究者によって作り出された。フリーメーソンやイルミナティも関係している。(P.80)
○ムーの最後の時代に、愛と闇の宇宙人が存在していた。宇宙人は、おおいぬ座、彦星、トリマン、こと座、りゅう座方面から来ていた。(P.126)
○ムー最後の時代に、闇の側が、闇の基礎とする為にヘブライ語の旧約聖書を準備したが、愛の側がその聖書の内容を改ざんした。(P.131)
○ペテロとパウロはイエスを神格化し、キリスト教を捏造した。彼らは詐欺師であり、裏切り者であり、ローマの権力者のスパイであった。(P.186)
○ローマ法王は、闇の勢力でフリーメーソン、イルミナティとも関係している。(P.193)
○1947年6月14日ロズウェルに墜落したUFOに乗っていたエイリアンは、ムーの子孫で、ムーの遺伝子を持っていた。(P.293) |
ムーに、フリーメソンやイルミナティ、エイズの陰謀論、そして、宇宙人と、どうしようもない内容である。
さて、上述のように、「聖書の暗号」の「暗号化のルール」を解明したと主張し、トンデモな真実を暴き出しているイオン・アルゲイン様であるが、本書の最後の方で、自分が解明した暗号が真実であることを立証する作業をしているので、次にそれを見て行こう。
<P.320>
正直な所、普通の読者にとってこの情報をそのまま信じることは、ほとんど無理ではないかと思いました。あまりにも話が現実離れしているように思えるからです。ムーという先史時代の文明の存在を信じることも証拠がなくて難しいのに、さらにそこで作られたものが現在の旧約聖書であるというのです。誰でも証拠がほしくなって当然だと思います。筆者の思いも当然同じでした。
暗号の持つ重要なメッセージを伝えたいのが一番の目標ですが、メッセージの正しさを伝えられないのでは、そのメッセージは何の意味もないものになってしまいます。正しさを証明したいのですが、どうしたものかと困っていました。
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「聖書の暗号」のメッセージの正しさを証明したいと思うイオン・アルゲイン様。
そりゃ、そうだよね。
「聖書の暗号」が正しいことが立証されていないのに、そこから導き出された話が真実だなんて主張することなんか出来ないからね。立証責任はきちんと果たさなきゃね。
特に、イオン・アルゲイン様の場合、上述の通り、ドロズニン氏が未来を当てられなかったことを、「暗号化のルールがわからなかったため」としているのだから、暗号化のルールが分かったはずのイオン・アルゲイン様が未来を当てられなければウソになってしまうよね。
そして、
<P.321>
そこで、暗号に未来を見る力があるのなら、もしかしたら、宝くじの当たりが出せるかもしれないと思いました。株の価格変動を占いで当てた話などを聞いていましたので、可能性はゼロではないかもしれないと思いました。証拠としては未来を確実に見通せるものになるので、こちらの望むものになり、当たればこの仕事に必要な資金にもなります。
右脳イメージ力を使って宝くじを当てるという話を、右脳教育で有名な七田眞先生の本で読んでいたので、これに挑戦することを自分に許可することにしました。筆者の講演では暗号を使って株などでのお金儲けはできないようになっていると説明していますが、自らのタブーに挑戦です。私欲にかられていなければ何とかなるかもしれません。
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宝くじを当てることを思いついたイオン・アルゲイン様。
当てるんなら、「聖書の暗号」のみで当てなければ意味がないと思うのだが、何故か、「右脳イメージ力」というワケの分からないものまで持ち出して来た。
「聖書の暗号」の立証作業に、さらに、「右脳イメージ力」という未実証の要素を加えてどうするつもりだろうか?
自分のしようとしていることを理解できているのか、イオン・アルゲイン様は??
また、「講演では暗号を使って株などでのお金儲けはできないようになっていると説明」しているそうだが、「私欲にかられていなければ何とかなるかもしれ」ないらしい。
「聖書の暗号」を「暗号化のルール」に従って解読するのに、私欲もクソもないと思うのだが。
続いて、
<P.322>
宝くじを買って待つのでもよいのですが、宝くじの当たりを右脳イメージ力で選んでも買えないこともあるかと思い、自分で好きな数字の選べるロト6に挑戦することにしました。数字の選択には暗号が使えるかもしれないと思ったので、この点も考慮しました。
ロト6はご存じの方も多いと思いますが、1〜43までの数字を6個選んでその全てを当てると1億円以上が当たるという宝くじの一種です。毎週木曜日に抽選が行われており、何度でも手軽に挑戦できる簡単なくじになっています。 |
結局、ロト6を使って証明することにしたイオン・アルゲイン様。
そして、いよいよ立証作業開始!
<P.322-323>
ロト6を当てる作業に着手したのが2月10日です。この時点では2月11日が次の抽選日でしたので、大急ぎで6個の数字を選んで申し込みました。
この数字の決め方ですが、ロト6と2月11日の出ている場所を選んで、その中で2つの数字のペアを探します。メインのキーワードはロト6としましたので、このロト6と重なるペアを当たりに近いものと考えました。どれだけたくさん重なるかを統計評価することで判断します。2つの数字を低い方から並べると4文字になるので、あと1文字をwith、toで補完して5文字とし、確率評価を行いました。 |
文章を読んだだけでは、どういう作業をしているのか良く分からないが、おそらく次のようなことだと思われる。
○2つ数字のペアとは、例えば、「31」と「12」で、これを低い方から並べると「1231」となり、先述の5文字ルールには1文字足らない。よって、withやtoで補完して5文字にする(※withやtoは、ヘブライ語では1文字)。
○そのような数字を複数、探し出して、その中から統計評価とやらで、最も当たる確率の高いものを選ぶ。 |
また、この作業だけで、ロト6の数字を決定して良いように思われるのだが、どうやら、そうはならないらしい。
<P.323> (※上記からの続き)
6つの数字は、右脳イメージ力を使って選び出します。これは単純に右脳をアルファ波状態にして心にスクリーンを描き、浮かんでくる数字を書き出すだけです。心に浮かぶ数字を書き出すだけなのですが、具体的に想像できない方の為に、2、3手法を書いておきたいと思います。(※管理人注:手法の説明は省略) |
ここで、「右脳イメージ力」登場。
結局、上記で「聖書の暗号」から抽出したのは、6つ以上の数字で(※ロト6には6つの数字が必要)、その中から「右脳イメージ力」で選び出すということだと思われる。
<P.324>
加えて、選んだ数字とそうでない数字もペアにして暗号で評価します。このことにより右脳イメージ力で見つけられなかった数字も、この確率評価の中から選び出せることになりました。 |
最終的に、「右脳イメージ力」で「選んだ数字とそうでない数字もペアにして暗号で評価」するらしい。
「選んだ数字もそうでない数字」も評価するのなら、結局、「右脳イメージ力」を使用した意味が無いような気がするのだが、単なる説明不足なのか、それとも、私が理解できていないだけなのか。。。
よく分からないが、こうやって、6つの数字を決めた結果は、、、
<P.324> (※上記からの続き)
2月11日は見事に外れました。当たりの番号を評価して探す前に、自分が解析した部分には、3月4日の答えがあるらしいとわかっていました。そのためにこの部分での評価は見送りました。出した答えはロト6第486回抽選である3月4日まで待つことにしたのです。この時は時間がなくて場所の選定を誤りました。 |
見事、外れ。
どうやら、「場所の選定を誤」っていたらしく、該当の箇所は2月11日ではなく、3月4日の答えがあった場所らしい。
なんじゃそりゃ。
続いて、イオン・アルゲイン様の次の挑戦が始まるが、続きは(その2)にて。
2012.02.28 新規
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