※当記事は(その1)、(その2)、(その3)からの続き
当記事では、反省できない人がよく披露する「人のせいにする」というケースを見て行きたい。
4.反省せずに済む方法(具体例3・・・中丸薫氏のケース)
中丸薫氏は、神様や宇宙人はもちろんのこと地底人ともチャネリングできる自称霊能者。フォトンベルトなるガセネタにまんまと騙され、2012年12月末にアセンションが起きると主張していた。
また、中丸氏はそのフォトンベルトに関連して、2012年12月22日から3日間、地球がフォトンベルトの外側のヌルと呼ばれる箇所を通る際、「太陽も星も見えなくなり、電磁波の影響で電気も使えなくな」り、また、「宇宙から膨大な光のエネルギーが降り注ぐことにな」って、「それは身体を原子レベルから変成させ、DNAの進化を促す」と主張していた。
この3日間を中丸氏は「暗黒の3日間」とか「七回目の禊ぎ」等と称していたのだが、当然、そのような事は起きなかった。(※「七回目の禊ぎ」の方は、3日間だけを指すのではなく、それ以降も含めていると思われる)
この「暗黒の3日間」が発生しなかったことに対する中丸氏の言い訳は以下の通りである。
『2015年に来る真の危機から脱出せよ!』 (中丸薫・青志社・2013.3) <P.12>
次元の上昇に抗う闇の権力
2013年の年頭に、なぜ今まで元日にはお参りしなかった神社へ足を運んだのか。
それは、本来起こるべきであった「全地球的な禊」が、何らかの圧力によって抑えつけられた、ということなのです。
(注)文字に色を付けたのは管理人(以下同様) |
「暗黒の三日間」は、ここでは「全地球的な禊」という表現が使われているが、中丸様によると「何らかの圧力によって抑えつけられた」為に発生しなかったらしい。
地球がフォトンベルトに突入することによって発生するという、宇宙を舞台にした全地球規模での事象が、「何らかの圧力によって抑えつけられ」るわけがないのだが、これも、かなり程度の低い言い訳である。
ただ、この言い訳で、「圧力によって発生しなかっただけで、本当は起きるはずだった」とすることで、予言自体は正解だったことになり、かつ、自分の霊能力への信頼性も失わずに済むことになる(何故、圧力がかかったことを事前に察知できなかったのかという疑問は残るが)。
そして、明記はされていないのだが、文章の前後関係によると、その圧力をかけたのは、どうやら「闇の権力」らしい。
陰謀論関連でよく出て来るキーワードだが、この「闇の権力」等という言葉は、以下の通り、自分の過ちや間違いを認めたくない人には、かなり便利なツールである。
○予言が外れたら、「闇の権力」の邪魔が入ったせい
○予定した通りに物事が進まないのは、「闇の権力」に邪魔されたせい
○証拠が出て来ないのは、「闇の権力」が隠ぺいしたせい
○都合の悪い情報は、「闇の権力」が流したウソ
○誤った情報を伝えてしまったのは、「闇の権力」の情報戦略のせい
○自分の主張と反する主張・行為をする人たちは、「闇の権力」の手先
○自分を批判するのは、「闇の権力」の手先や、「闇の権力」にまんまと騙された人たち
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このように、過ちや間違いを含め、都合の悪いことは全て、悪モノである「闇の権力」のせいにしてしまえることになる。そして、さらには、次のような利点もある。
○「闇の権力」という悪に対峙する善としての自分が際立つ
○存在しない悪と闘っている気になって、安全にスリルや正義感を楽しめる
○「闇の権力」の存在を知らない人たち、信じない人たちを見下して、優越感を得られる |
自分の過ちや間違いを認めたくなく、かつ、幻想に浸っていたい人にとって、「闇の権力」という悪モノはこの上なく魅力的なツールだと言えよう。
なお、このように、「人のせいにする」というのは世間でもよく見られるものであるが、オカルト系、トンデモ系でも同じように散見されるものである。特に、こちらでは、「悪」、もしくはそれに類するものがその対象となり易い。上記の中丸氏の他にも次のような例がある。
○イオン・アルゲイン氏
旧約聖書の文字列に地球上で発生するあらゆる出来事が暗号として隠されているとする「聖書の暗号」を真に受けたイオン・アルゲイン氏だが、「聖書の暗号」を証明する為に、その暗号を解いてロト6を当てようとするが失敗する。
そこで、「聖書の暗号」など存在しないことに気付けば良いのだが、そうはならない。失敗した理由を「悪の側」のせいにし、「悪の側」が、イオン・アルゲイン氏がロト6を当てることで「聖書の暗号」を証明しようとするのを予知した上で、ロト6を当てられないように仕組んだと主張し出す。
さらに、イオン・アルゲイン氏は、「悪の側」が仕掛けた罠をかいくぐった上でロト6を当てようとするが、やっぱり失敗。今度は、「時の封印」が掛っているからだと言い出し、「時の封印」が掛っている理由として次のように主張し出す。
○徐々に信じる形にしないと拒否反応が強く出てしまうことになるのかも知れません。
○強い証拠に混乱するたくさんの人々を、逃げ場のない場所に追い込むようなことをしてはいけないのでしょう |
こうやって、「悪の側」や「時の封印」等といったものを持ち出すことで、自分の間違いをそれらのせいにして正当化。いつまでも、自分の中では「聖書の暗号」は真実で、かつ、「自分はその解読ができる者」という幻想を抱き続けられることになるのである。
※詳細は、以下の記事を参照
以上、自分の過ちや間違いを他のせいにして責任をなすり付け、誤魔化す姿は愚かで滑稽でしかない。
しかし、「反省できない人」、と言うより、より積極的に「反省したくない人・事実を見たくない人」ほど、このツールに飛びつくことになる。
それは、上述の通り、反省や責任を避ける為に非常に便利なツールであり、また、そのツールを使って、自分は「正義の側」、「神の側」に立っているという幻想を抱き続けることが出来るからである。
続いて(その5)では、反省できない人たちが提示する、自分の行為を律したり、反省する為のツールというものを見てみたい。
2014.07.08新規
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