インチキ教祖・教団の手口(その6)
※当記事は、(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)からの続き


 当記事では、(その3)〜(その5)で見た断定・単純明快・繰り返しをより効果的に実施する為になされる手段を見て行きたい。



5.断定・単純明快・繰り返しの関連手法

(1).サクラ効果

 サクラとは、
「公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み、特定の場面や公演全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を作り出したりする者を指す隠語」のことである。

 もともとは江戸時代に、芝居小屋で料金を払う代わりに、芝居の見せ場で役者に掛声を掛けたりしてその場を盛り上げる行為、もしくは、それを行為を行う者のことをサクラと言った。(※参考:Wikipedia「サクラ(おとり)」)


 宗教関連でも、教祖の講演会等でこのようなサクラを使用しているところもあるだろう。

 教祖の講演で、率先して拍手喝さいを送ったり、笑ったり、また、教祖が観衆へ質問を投げ掛けた際に率先して答えたりして、場を盛り上げるのに貢献する。

 これらは初歩の初歩で、サクラは、信者を特定の答えへと誘導する際にも効果を発揮する。

 例えば、教祖が会場にいる信者たちに、次のような叱責を伴う問い掛けをしたとしよう。
この世の終末はもう目前に迫っているのです。神の使徒たる、あなた方のすべきことは一体何ですか!?
 この質問に対する回答は、人それぞれ。
○これまで通り、神の側にいられるよう、よりいっそう努力し、注意を怠らない。
○まずは自分の家族全員を信者にする。
○出来るだけ被害を小さくしてもらえるよう、神様に祈る。
○出来るだけ多くの人を救う為に、これまで以上に布教活動に勤しむ

       ・
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 通常、このような、いろいろな答えが出て来るはずである。(※あくまで、教祖の言葉には疑問を持たない前提)

 しかし、仮に、このような
問い掛けの裏で、教祖が望んでいるものはお金であり、信者たちに財産を差し出させることが目的だったとしよう。

 サクラを使えば、下記のような発言を順に畳みかけるようにさせることによって、目的とする答えへと信者たちを誘導することが可能になる。

 特に、
場の雰囲気を形成し、周囲の観客を飲み込む為には感情的であればあるほど望ましい。より具体的には、この場合だと、「悔悟の涙を流しながら」というのがベストなものとなる。
<サクラ1>
私の中に甘えがありました・・・しかし、教祖様の今のお言葉で完全に目が覚めました!
もう時間が無いと言うのに、いつまでも俗世に執着している場合ではありません。
私は現在の生活を捨て、教団の活動に専念します!

     ↓

<サクラ2>
教祖様の愛あふれる喝、ありがとうございます!目からウロコが落ちた思いです!
私にはまだまだ「我良し」の考えが、甘えがありました。
私も全てを捨てて出家し、身も心も神に捧げます!どうぞ、神の為に使って下さい!

     ↓

<サクラ3>
私の今までの怠惰を、そして、貪欲をどうかお許し下さい!
現在の生活を捨てられないのは、エゴであり、神に対する裏切りだと気付きました!
今までの罪は、今後、身命を賭して教祖様の命じられることを実行することで償います!
私も俗世を捨て出家しますので、私の財産は教団で神の為に使って下さい!

     ↓

<サクラ多数>
私も出家します!
私のお金も使って下さい!
私も全財産を神の為に!

 サクラ1〜3までで、(その5)で説明した「繰り返し」「三度以上、別の人によって同じことを告げられる」に該当し、理屈抜きでそれが正しいことのように思う人が出て来ることになる。

 そのような人たちがサクラに混じって、サクラと同様の言動を行うことになり、さらに場の雰囲気が盛り上がって、そこに飲み込まれて行く人が増えて行くことになる。

 さらに、サクラが醸成した
感情的な雰囲気「熱狂」となり、「理屈抜き」を益々助長することになる。(※「熱狂」については後述)

 そして、ここまで来ると完全に、全体の結論は
「出家と財産の提供」になり、理性的で少々の「繰り返し」にも騙されない人であっても、この結論にはなかなか逆らえないようになる。

 現在の生活を捨てられないのは
「執着」「エゴ」、果ては、「神に対する裏切り」とまで言われていて、そのような結論に場が支配されているのである。(その5)でも触れた、心理学で言うところの集団圧力であり、この結論に逆らった言動をすることは非常に困難だからだ。

 結果、「熱狂」に巻き込まれずに多少冷静さを保っていても、
「無理をしてでもお布施の額を増やして・・・」などと、出家までは決心出来ない後ろめたさを感じながら考えてしまうことになるのである。


 ちなみに、最初から一歩引いていて、サクラたちの感情的な発言を見て
「うっわ〜、キモっ!!ヤバっ!!」などと思っている人は、否定的見解で満ちているので「繰り返し」「熱狂」に飲み込まれることはなく、逆に、益々、否定的見解を強めることになる。

 全ての言動の方向性を逆転して捉えているから、逆の効果を発揮することになるのである。ただし、やはり、
集団圧力に逆らってまで否定的見解を述べることは通常ない。


 また、サクラをわざわざ仕込まなくても、教祖に気に入られようと必死なのか、頼まれたわけでもないのに自らサクラ的行為を実施する者がいたりするものである。

 私は、そのような人たちを「太鼓持ち信者」と呼んでいるが、とにかく、教祖の言葉には称賛、感謝、驚き等、単なる肯定を上回る言葉で持って対応し、決して否定することはない。

 このような「太鼓持ち信者」の言動も「繰り返し」効果を発揮して、他の信者たちの勘違いを助長することになる。


(2).熱狂

 講演会の会場など、多数の人がいる場所で、
感情的な雰囲気、つまりは、「熱狂」が生じると、断定・単純明快・繰り返しが最大限の効果を発揮することになる。

 
「感情的」と言うのは「理性的」の反対。つまり、「熱狂」では、理性が吹き飛んだ状態になってしまうのである。

 その場では、長ったらしい説明など頭に入らないし、主張の正誤について考えることも出来ない。また、曖昧な言葉などは感情に訴えって来ない。

 結果、頭に入るのは、ただ、「単純明快」「断定」になり、さらに、そこに「繰り返し」が加わることで強力な
刷り込みがなされることになる。


 ちなみに、他の記事でも記載したが、アドルフ・ヒトラーは講演する際、ナチの正当性を大衆にアピールする為に次のような細工をして熱狂と興奮を作り出したそうである。

  ○集会の部屋を狭すぎるようにする
  ○聴衆の3分の1をナチの党員で埋める
  ○熱心な支持者を最前列に配置する

 (※参考:『マインド・コントロールとは何か』 西田公昭/伊國屋書店/P.56)

 宗教に限らず、「熱狂」の場には注意したいものである。




 ※(その7)に続く。



2015.09.15新規

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