もっともらしいだけの根拠(その7)

 ※当記事は、記事(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)からの続き


7.もっともらしいだけの予言(2)

 「もっともらしいだけの根拠(その6) 〜もっともらしいだけの予言(1)」に引き続き、「2.事後にこじつけて、予言が当たったことにするケース」を見て行きたい。


2.事後にこじつけて、予言が当たったことにするケース

 これは、ある出来事が起きた後に、それ以前の言動と結び付けて、さも、事前に予知していたかの如く主張するケースである。

 具体例を見てみよう。

(1).伊勢白山道氏のケース

 先にも登場した伊勢白山道氏だが、彼は、2011年3月11日に発生した東日本大震災を事前に予知していたと主張していた。
 以下は、2011年3月11日の地震発生後にアップされたブログ本文である。

《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年3月11日より》
 昨年の12月15日の記事(http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou/d/20101215)において、記事の最後に書きました
 「来年の春3月ごろには、また節目が来るかも知れませんが、なんとか泳いで行くでしょう。」


 
今週の3月7日の月曜日に書きました地震対策( http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou/d/20110307)
などの事前の告知は、日本人の不要な心配の思いの磁気が、2次災害を引き起こし、過大な災難を新たに創造することを、神示は懸念していました。だから、慌てないことが大切です。


(管理人注)文字に色を付けたのは管理人。以下同様。
 彼の言いたいことをまとめると次の通りである。
@.2010年12月15日に、来年の春3月ごろに節目が来ると言っていたのは、東日本大震災のことを言っていたんだ。
A.2011年3月7日に、地震対策について記載したのは、東日本大震災が起きることを知っていたからだ。
 まず、@から見て行こう。彼が、2010年12月15日に記載していたのは次の通りの内容である。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2010年12月15日より》
 特に最近は心配な国際情勢ですが、日本に密かに応援の神風が吹き始めています。弱く見えても、スルリと抜けるのは凄いことです。
 これには、
天皇陛下の四方拝(しほうはい:陛下は元旦だけではなく、日々四方に向かって感謝をされていると感じます)による平和への感謝と、皆さんの感謝磁気が働いていると感じます 来年の春3月ごろには、また節目が来るかも知れませんが、なんとか泳いで行くでしょう


 生かして頂いて ありがとう御座位ます


(管理人注)現時点(2012.4.9)で、該当のブログ本文は削除されていて、参照できない。
 確かに、来年の3月ごろに、「節目が来るかも」とあり、また、「なんとか泳いで行くでしょう」との文言から、マイナス・イメージの何かが起きることが示唆されている。

 ただし、おそろしく漠然とした内容である。

 そして、他の言葉を見てみると、「心配な国際情勢」「平和」が登場し、話の流れ的には、国際的な紛争や衝突がイメージされる内容である。

 続いて、この12月15日より前の、8月11日の伊勢白山道氏の発言も見てみよう。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2010年8月11日より》
 自然界の変調が起こっていますが、日本では大難が小難で収まっています。8月10日も1つの大きな霊的な節目です。
 現実的にも、「8月10日前後には、地球を含めた7個の惑星がほぼ一直線に並ぶ」(京都新聞より)という現象が起こっています。また一つ、人間の心へ向かう霊的なトビラが開いた感じです。

 2010年8月10日も「大きな霊的な節目」だったらしい。
 そして、こちらは、災害をイメージさせる内容だが、「日本では大難が小難で収まって」いるそうだ。

 また、日本の災害関連については、伊勢白山道氏は次のようなことも言っている。
『内在神への道』 (伊勢白山道・ナチュラルスピリット・2008年) P.190
 私のタワゴト的には、他の預言者達は非常に破壊的な予測が多いですが、私は、日本については天変地異を少なくする代わりに精神的な軋轢、ストレスが代償として日本に降り懸かると考えます。
 日本は、「天変地異を少なく」されているらしい。

 さらに、ブログの他の記述も見てみよう。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年3月2日より》
 今朝の啓示は、久しぶりの黙示録(もくじろく:警告と励ましと希望)でした。
 
「7月に起こして、8月に知る。9月からの3ヶ月の迷い。その次の年が、再生の年となり、またその次の年が新しい新年。」

 
このような意味深な書き方をしますと、色んなことを想像して心配されるでしょう?
 先に答えを書きますと、「ぜんぜん、大したことでは無い」「いままでと同じ」ということです

(管理人注)現時点(2012.4.9)で、該当のブログ本文は削除されていて、参照できない。
 これは、上記の、来年の3月ごろに、「節目が来るかも」言っていた2010年12月15日よりも後、東日本大震災の9日前に出された予言である。

 「7月に起こして、8月に知る。9月からの3ヶ月の迷い」と、7月から何かが起こり始めることを示唆。3月のことなど微塵も登場しない。

 そして、東日本大震災の5日後には、
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年3月16日より》
  福島方面から南下した大きな地磁気の「流れ」は、なぜか東京湾を素通りして、東海地域に降りて来ました。
 これと九州方面から北上してきた地磁気の「流れ」が、日本列島を分断するフォッサマグナ地帯で合流しようとする状態が、今の状況の感じです
 
この三つどもえの衝突の後、再び東京湾に向かうのが今の時点で感じる様相です。
 これらの節目が、3月・6月・9月に有り、369(ミロク)の世界へと社会の志向が「良心を意識する方向」に、嫌でも向かされる感じがします。
 一人でも多く早く、自分の良心に基づいた生活を実践することで、大難は小難へと自然界からの刺激が緩和されるでしょう。
 要は自分が出来ることを良心に基づいて懸命にすれば、最後のオチはどんな形でも大丈夫なのです。


(管理人注)現時点(2012.4.9)で、該当のブログ本文は削除されていて、参照できない。
 先の「7月に起こして、8月に知る。9月からの3ヶ月の迷い」という予言は無視して、今度は、「節目が、3月・6月・9月に有」ると言い出す始末である。


 以上、伊勢白山道氏が、2010年12月15日の記述を、
後付けで東日本大震災に結びつけたのは明白であろう。
 Aについても、たまたま、タイミング良く、地震対策について記載していたから利用したに過ぎない。

 その場、その場で、適当な言説をしておいて、後から、たまたま都合の良い発言があれば、それをピックアップしてこじつけ、アピールしているのである。


 そして、この伊勢白山道氏の例のように、
「節目」などという言葉を使用して、漠然と「何かが起きる」という旨の予言を頻繁にしておけば、実際に何かが起きた時に、後付けで結び付けて、予言者ヅラをすることが出来るのである。



 さて、最後に、「3.事後に、外れた予言を無かったことにするケース」である。


3.事後に、外れた予言を無かったことにするケース

 これは、その名の通り、予言したものの、外れてしまった場合は、無かったことにするものである。

 具体例を見て行こう。

(1).大川隆法氏のケース

 「幸福の科学」主宰の大川隆法氏は、1987年に発売された著書『黄金の法』にて近未来の予言を掲載していた。

 以降では、事後に、その予言が、どのように変更されたのかを見て行こう。

 なお、以下では、当初の予言を1990年に発売された角川文庫版から、変更後の予言を1997年に発売された「幸福の科学出版」版から引用する。(※以下の内容は、記事「『未来予言』にツッコミ!(その2)」にて記載したものとほとんど同じもの)


 まず、角川文庫版において、1986年から十数年の間に起こるとしている以下の天変地異や戦争を暗示する記述は、
角川文庫(P.203-204)
 私は、現在(1986年10月)から今世紀末までのことを書くことは、意図的に避けることにしました。というのは、ここ十数年の間に人類を待ち受けている未来は、相当に衝撃的な内容になることがわかるからです。おそらくは大地は揺れ、空は曇り、津波がいくつかの諸都市を襲い、陥没する大陸もあるでしょう。空から降る火の雨に逃げまどう人々の姿を、テレビで見たり、ラジオで聞くことになるでしょう。この世の終わりがくるという終末思想が人びとの口にのぼり、時代は次第に不安を帯びてゆくはずです。
次のように変更される。なお、青字が削除された箇所赤字が追加された箇所緑色は、管理人が付けた強調である。
幸福の科学出版(P.321)
 私は、現在(1986年10月。原著の書き下ろし時点)から今世紀末までのことを書くことは、意図的に避けることにしました。というのは、ここ十数年の間に人類を待ち受けている未来は、相当に衝撃的な内容になることがわかるからです。この世の終わりがくるという終末思想が人々の口にのぼり、時代は次第に不安を帯びてゆくはずです。
 ごっそり削除。

 なお、注目して欲しいのは、「私は、現在(1986年10月)・・・」という記述を残していることである。

 この記述があることにより、都合の悪い予言が削除された後の「幸福の科学出版」版を初めて読んだ人は、
「1986年時点で、教祖様は現在のことが正確に視えていたんだ」と思ってしまうことになる。


 続いて、
角川文庫(P.204) (※上記からの続き)
 そして、間違った宗教も、日本の各地、世界の各地で流行し始めて、人びとがその魂を悪魔に売ったかに見えることもあるでしょう。また、国際政治は多極分解し、国連は、一時期、その機能をストップすることとなるでしょう国際的な大戦が、中近東を端緒として勃発、やがて、列強国に火薬のにおいが立ち込めるでしょう。
                    
幸福の科学出版(P.321-322)
 そして、間違った宗教も、日本の各地、世界の各地で流行し始めて、人々がその魂を悪魔に売ったかに見えることもあるでしょう。また、国際政治は多極分解し、国連は、一時期、その機能をストップすることとなるでしょう。国際的な大戦が、中近東を端緒として勃発し、やがて、列強国に火薬のにおいが立ち込めるでしょう(1991年、湾岸戦争勃発。この叙述は的中)
 何故か、「国連は、一時期、その機能をストップ」という予言は残っている。
 拒否権の発動によって国連が機能しないのは良くあることなので、どうとでも、こじつけられるという腹づもりであろうか。

 そして、「1991年、湾岸戦争勃発。この叙述は的中」という文言を追加することによって、「国際的な大戦が、中近東を端緒として勃発」を湾岸戦争と結びつけ、「予言が当たりましたよ」アピール。

 本来、この記述は、先述の「空から降る火の雨に逃げまどう人々の姿」という記述や、大川隆法氏の他の予言書『ノストラダムス 戦慄の啓示』(幸福の科学出版・1991年)の内容等を勘案すれば、
第三次世界大戦の勃発を意図していたはずなのであるが、うまく、こじつけた形である。
※『ノストラダムス 戦慄の啓示』の内容については、以下の記事を参照
○記事「『ノストラダムス 戦慄の啓示』にツッコミ!
 なお、これは上述した「2.事後にこじつけて、予言が当たったことにするケース」に該当するテクニックである。


 そして、次の、西暦2000年のニューヨーク壊滅などの記述は、当然、、、
角川文庫(P.204-205)
 西暦2000年。世界の人びとは、前年の夏に起きた衝撃的な悪夢からまだ立ち直れないでおります。この頃まで世界の中心だったニューヨークは、その機能をほぼ壊滅的なまでに失っているでしょう。ロンドンの人びとは、夜明けの薄明かりのなかを、手探りをしながら歩いている状態です。フランスは眠っております。中近東は仮死状態です。中国は政変が起きて、共産主義体制が急速に崩壊していきます。ソビエト? その名は、死を意味しています。大きな死体が横たわっているのと同じです。
                    
幸福の科学出版
 
 ※該当記述なし

 全て削除。

 また、この記述に続く、日本の壊滅状態の記述も、
角川文庫(P.205) (※上記からの続き)
 日本は―――日本は、全国各地で復旧作業が続いております。自衛隊員が、ミミズのように分断された新幹線の線路工事に、玉のような汗を流しているでしょう。かつて都市だった太平洋岸のある地域には、黒潮が打ち寄せて、藻が繁り始めています。日本各地で、政府主催の合同慰霊祭が行われて、その読経の声が低く流れております。しかし、日本は無事でした。この災難を期に、日本では、神理を求める声が全国津々浦々から聞こえてき始めて、人びとは悪しき万能主義、唯物主義の迷信から目覚め、光へと向かいつつあります。
                    
幸福の科学出版
 
 ※該当記述なし

 やっぱり、削除。


 以上のように、外れた予言は無かったことにし、また、こじつけられるものをこじつければ、大川隆法氏がちゃんと未来が視えていたことになるというカラクリである。

 そして、このような姑息な「予言のテクニック」を使えば、それこそ、
「何の能力も持たない普通の人だって、簡単に予言者になれてしまう」のである。




 以上、「予言のテクニック」を見て来た。

 世間に数多くいる自称予言者・自称霊能者たちの大部分は、これまで説明してきた「予言のテクニック」を使用しているに過ぎない。

 よって、自称霊能者たちが提示する予言や、「予言が当たった」という主張を安易に信じることなく、単なるテクニックで誤魔化しているに過ぎないのか否か、よく検証すべきであろう。

 また、今まで説明してきたような小手先のテクニックを使用した自称予言者を、オカルト系の雑誌等が持ち上げたりしているので、注意が必要である。


 ※(その8)に続く


2012.4.10新規

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<角川文庫>



<幸福の科学出版>














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