もっともらしいだけの根拠(その6)

 ※当記事は、記事(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)からの続き


6.もっともらしいだけの予言(1)

 自称霊能者が未来予言をするのは、よくあることだが、彼らがするインチキ予言には、おきまりのテクニックがあるものである。

 当記事では、そのテクニックを紹介し、偽予言者達が如何にして、予言者っぽく振舞っているのか、また、如何にして、
もっともらしいだけの予言をしているのかを見て行きたい。


 大きく分けて、世間で見られるインチキ予言には、次の3つのケースがある。
1.事前に、予言が外れる可能性を示唆しておくケース
2.事後にこじつけて、予言が当たったことにするケース
3.事後に、外れた予言を無かったことにするケース


 順に説明して行こう。


1.事前に、予言が外れる可能性を示唆しておくケース

 これは、予言をすると共に、例えば、「予言は人々に知られることによって、新たな因果が発生し、未来が変わっていく」等と説明して、その予言が外れる可能性があることを示唆しておくケースである。

 このように伝えることで、予言が外れても大丈夫なように保険を掛けているのである。


 具体例を見て行こう。

(1).ゲリー・ボーネル氏のケース

 ゲリー・ボーネル氏は、アカシック・レコード(*)を参照できると主張する霊能者で、学研の『戦慄!! 世界の大予言』(2008.6)にも「現代の予言者」の一人として紹介されるほどメジャーな人物であり、日本でも数々の書籍を発売している。
*アカシック・レコード・・・異次元に存在し、過去から未来までの人類の歴史等が記録されているとされるデータベースのこと

 このゲリー・ボーネル氏が予言をする際、事前の保険として、どのようなことを言っているのか、その著書『第三次世界大戦、始まる』から見て行こう。 
『第三次世界大戦、始まる』 (ゲリー・ボーネル+古川益蔵/VOICE/2001.11) P.79-80
ゲリー 〜(中略)〜 預言に関して、これは常に私が葛藤するところであるのですが、預言は口にしたとたんに、自動的にそれが変わっていってしまうのです。初めにも申し上げましたが、もし、それが避けられないことであれば、起きるタイミングがずれてしまい、変えることのできる出来事であれば、それを言ったとたん変わり始めます。そして、タイミングもそれからその周りの環境も変わってきてしまうのです。

(管理人注)文字に色を付けたのは管理人。以下同様。
 「預言は口にしたとたんに、自動的にそれが変わっていってしまう」らしい。

 また、他にも次ようなことも言っている。
『第三次世界大戦、始まる』 (ゲリー・ボーネル+古川益蔵/VOICE/2001.11) P.28-29
ゲリー 〜(中略)〜 しかし、東京でのテロに関する出来事、つまり皇居と東京タワーですが、これは多くの人々がほんとうに心を合わせて祈れば避けることができます
 予言したことは、祈りによって避けることもできるようだ。

 まとめると、ゲリー・ボーネル氏の予言が外れた時の保険は次の2点である。
○予言は、口にすると自動的に変わって行く
○祈りによって、予言を避けることができる
 このような保険をしておくことによって、予言が外れたとしても、
○口にしちゃったから、変わってしまったんですよ
○皆さんの祈りによって、回避されたんですよ
と抗弁することが出来るわけである。

 結局、予言が当たれば、自分の予言者としての評価を上げることが出来るし、一方、予言が外れても、「皆さんの祈りのおかげで回避されました」と言えば信者は大喜びと、どちらに転んでもおいしいのである。


 次に、同書から、ゲリー・ボーネル氏が2001年の時点でした予言をピックアップしてみよう。
○イスラエルのシャロン首相がキーポイントとなって第三次世界大戦が勃発(P.15-16)
○2002年春頃、ハリウッド映画産業を狙ったテロ
(P.20)
○2001年の10月か11月、あるいは2002年の10月か11月ぐらいに、シアトルでテロ
(P.22-23)
○2002年2月頃、日本で皇居や東京タワーを狙ったテロ
(P.25-P.33)
○2011年に第三次世界大戦のさなか、時というものが境界線としての機能を果たさなくなる
(P.42)
○ジョージ・W・ブッシュ大統領は暗殺される
(P.57)
○小泉首相がテロのターゲットとなって襲われる
(P.62-63)
○フセイン、アラファト、シャロン、カダフィは、第三次世界大戦中に亡くなる
(P.67)
 どうしようもないほど、大外れの予言ばかりであるが、上記のように保険を掛けているので、外れても問題ないワケである(ここまで、外すと、さすがに信用は落ちると思うが)。

 一方、ゲリー・ボーネル氏が当てたと主張する予言があって、その一つが1995年1月17日に起きた阪神大震災である。同書には、阪神大震災について、どのような予言をしていたのかが語られているので、そちらも見てみよう。
『第三次世界大戦、始まる』 (ゲリー・ボーネル+古川益蔵/VOICE/2001.11) P.32
 神戸に大地震が起きる前ですが、あれは1995年1月に起きましたけれど、その前の年の6月のワークショップで「日本の真ん中のあたりで、近い将来地震があるだろう」ということは言ったのです。そして実際に起きました。時期も1月の真ん中ぐらいに起きるということを言いました。
 時期の「1月の真ん中ぐらい」は評価しても良いが、地震の規模は一切不明。

 また、場所の「日本の真ん中のあたり」というのは、当たったと言えないだろう。むしろ、首都圏大地震や東海大地震を想定していたのではないかと思われる。

 ゲリー・ボーネル氏が当たったと主張する予言の一つが、この程度なのである。


 ここまで説明すれば、ゲリー・ボーネル氏が使っている予言のテクニックが、おおよそ分かってきたのではないかと思われるが、まとめると以下の通りである。
<予言のテクニック>
@.起きそうだと思うことは、全て予言しておく

 要は、「ヘタな鉄砲、数撃ちゃ当たる」である。

A.予言のうち、たまたま当たったものだけを、大げさに取り上げて宣伝する

 起こりそうなことは手当たり次第に予言しているので、当然、その中で当たるものも出て来る。
 そして、その、たまたま当たった予言を大げさに取り上げてアピールする。
 一方で、外れたものは無視する。もし、外れたことをツッコまれても、事前に言い訳は用意されているので問題ない。

B.事前に、予言が外れた時に備えて言い訳を用意しておく

 ゲリー・ボーネル氏の場合は上述の通りで、予言する前に伝えて置くのベター。
 結局のところ、こんな程度でいいのならば、何の能力も持たない普通の人だって、簡単に予言者になれてしまうのである
※ゲリー・ボーネル氏のデタラメ予言の詳細は、以下のページを参照
○「ゲリー・ボーネル様にツッコミ!


 続いて、このゲリー・ボーネル氏とほとんど同様の予言のテクニックを使用した事例を見てみよう。

(2).伊勢白山道氏のケース

 伊勢白山道氏は、主に自身のブログで活動し、感謝や先祖供養等を推奨している自称霊能者。あの世の構造や有名人の前世、超古代の霊視などを発表している。

 まずは、伊勢白山道氏が予言をする際、どのような保険を掛けているのかを見てみたい。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年1月28日より》
 新燃岳の噴火が九州だけで収まらずに、太平洋側に沿って北上し、伊勢の深奥下を通過して富士山に通じれば大変です。
 火山の動きが北上を始めるサインは、紀伊水道の海底での温度変化が起こり、鳴門海峡の渦潮に変化が起こると神示は示します。
 逆に良い意味では、新燃岳の噴火が大きなガス抜きと成り、日本列島を静かに鎮めることも可能です。

 
未来は白紙です。未来はリアルに、生きる人間の心と連動をしています。
 やはり家庭での現状への感謝の気持ちが最重要です。すべての世界を鎮めます。
 今日も謙虚に、身の回りで感謝の磁気を置いて行きましょう。
《ブログ「伊勢−白山道」  2011年3月26日コメント欄 2011-03-26 13:43:48 より
 2大地震の警告6月9月という限定がはずれたのはなぜでしょうか?

。。。
絶えず、生きる人間の思いが干渉するからです
。未来は白紙です。

(管理人注)現時点(2012.4.1)で、該当のコメントはブログ本文ごと削除されていて、参照できない。
 未来は、「生きる人間の心と連動して」いたり、「思いが干渉するから」「白紙」だと言う話。

 そして、
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年11月5日より
 アメリカのNASA関係の情報では、11月9日前後に地球に接近する小惑星について懸念されています。
 小惑星の観測も間違いが多いようなので、その影響は不明です。
 しかし、
人類が認識したことは、必ず無難にすることが出来る時節に入ったと感じます。予言・予見されたことは、ことごとく外れるでしょう。
 「人類が認識したことは、必ず無難にすることが出来る」らしい。

 よって、伊勢白山道氏の予言が外れても何の問題もない。
 特に悪い予言に関しては、人類が認識すれば「必ず無難に」なるので、当然、問題ない。


 また、ゲリー・ボーネル氏の場合は、「これは多くの人々がほんとうに心を合わせて祈れば避けることができます」と主張していたが、伊勢白山道氏の場合だと以下の通り。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年05月02日より》
 この古代ミトラの呪縛が、5・6・7という数字の暗示に込められています。黒い牛頭魔神の黙示録です。
 まさに仏教が衰退しようとしている現代は、5・6・7の数字には、遊び感覚で注意をしましょう。
数字の言葉遊びです。
 例えば、5月6日7時56分7秒。5日6日7日。などの数字のゴロ合わせです。

 どうですか?怖かったですか?
 以上は、私が想像した現代の怪談話です。
 要は、このような陰謀の都市伝説が不安な世の中には、たくさん有ります。これに負けて、
不安感を持ってはダメなのです
 これらをすべて、生かされている感謝の心、先祖への感謝、太陽への感謝、の気持ちで消し飛ばすことが出来るのです。
 たんたんと自分の今の生活を守り、その中で明るく楽しんで生きて行きましょう。
 そうすれば、大丈夫に成るのです。
 5月6日7時56分7秒。5日6日7日。などの数字の黙示録を破壊します。

(管理人注)現時点(2012.4.1)で、該当のブログ本文は削除されていて、参照できない。
 「感謝」「の気持ちで、消し飛ばすことが出来る」らしい。

 なお、ここでは、予言ではなく、「不安感」としか書かれていないが、以下の通り、伊勢白山道氏によると、「不安磁気」が災害を引き起こしたり、増幅したりするようである。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年3月11日より》
 今週の3月7日の月曜日に書きました地震対策 http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou/d/20110307)
などの事前の告知は、日本人の不要な心配の思いの磁気が、2次災害を引き起こし、過大な災難を新たに創造することを、神示は懸念していました。だから、慌てないことが大切です。


《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年4月1日より》
 ただし、ストレートに書きますと、多くの人間が出すその不安感は、震災被害を数倍に増幅させるエナジーを幽界(ゆうかい:この現実界に並行して存在する次元。この世に現れる状況が先に出現することがあります。)に形成させるとのことでした。
 つまり逆なのです。予言などしても、物事を悪化させることは有っても、改善させることは無いのです。逆に予言を非難する気持ちを増幅させるだけです。

(管理人注)これは、伊勢白山道氏がコンタクトしている神様の言葉を伝える文章

 話は少しずれるが、上記の内容を前提とした、伊勢白山道氏が行った「感謝磁気」の試みを見てみよう。
《ブログ「伊勢−白山道」  2011年5月2日コメント欄 2011-05-02 15:40:17 より
防災意識、限定で70% (伊勢白山道リーマン “実名はボカしてね”)
2011-05-02 15:40:17
関東ですが今夜の9時前後1時間

三角を意識して、防災を再確認しましょう。
何も起こらない無難と成ります。

たまには時間を絞って、多数が意識するのも良いです。

この
感謝磁気の蓄積が、後日へと生きます。

(管理人注)現時点(2012.4.1)で、該当のコメントはブログ本文ごと削除されていて、参照できない。
 指示内容が分かりづらいが、「多数が意識するのも良い」と、信者たちに、「今夜の9時前後1時間」に感謝想起をして「感謝磁気」「蓄積」するよう指示する伊勢白山道氏。

 次のものは、その指示に応えた信者たちのコメントの一つである。
《ブログ「伊勢−白山道」  2011年5月2日コメント欄 2011-05-02 15:51:34 より
いよいよ・・? (●●●●)
2011-05-02 15:51:34
リーマンさん、了解しました!頑張って感謝想起します!皆さんのお力を信じて・・。

(管理人注)現時点(2012.4.1)で、該当のコメントはブログ本文ごと削除されていて、参照できない。
「リーマン」は、伊勢白山道氏のハンドル・ネーム。
 そして、結果、地震等は発生しなかったワケだが、翌日のブログ本文にて、次の通り結果発表がなされる。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年5月3日より》
 昨日は、多くのネットで流布心配されている5月5日〜8日の大地震への懸念を打ち消すために、昨日の夜9時前後1時間に感謝意識が持つ威力の試みをしました。多くの人々の感謝の磁気が、関東に滞積する不安磁気を一時的に昇華するのを感じ取りました。(どのサイトもただ心配をさせるだけで、何の対策も指針も出していません。)

(管理人注)現時点(2012.4.1)で、該当のブログ本文は削除されていて、参照できない。
 試みは成功で、「多くの人々の感謝の磁気が、関東に滞積する不安磁気を一時的に昇華」したらしい(笑)。

 このように、何も起きなければ、
「感謝磁気が効果を発揮した」と言い、一方、何か起きたとしても、、「感謝磁気の力で、大難を小難にした」と言っておけば良いカラクリである(※ちなみに、どんな大災害が起きても、それ以上の大災害は想定しうるので、「大難を小難にした」と主張することが可能)。

 また、
一時的に昇華」と言ってるのがミソで、一時的に昇華しただけだから、その後、地震が起きても何の問題もないのである。


 さらには、災害関連については、伊勢白山道氏には次のような発言もある。
《ブログ「伊勢−白山道」 本文 2011年3月16日より》
 。。。。油断できない状態です。
 地下溶岩のライン、太平洋ー伊豆半島ー御殿場が注意点。
 御殿場の近辺で火口が開けば、真鶴まで溶岩は行きます。これは黙示録です。
 これのタイミングは、九州霧島からの地下ラインが紀伊水道(現在到達)をくぐり、伊勢地下を 通過して富士の麓の御殿場で合流した時です。
 これを止める神事を連日しています。
 何とか霧散するようにします。 大丈夫と成ります。


(管理人注)現時点(2012.4.1)で、該当のブログ本文は削除されていて、参照できない。
 これは、富士山の噴火の予言であるが、伊勢白山道氏が「これを止める神事を連日してい」るので、「大丈夫と成」るという話。

 こう言っておけば、もし、富士山が噴火しなければ、
「伊勢白山道氏の力で止めた」ということになり、一方、富士山が噴火すれば、事前に告知した自分の株は上がることになる。さらに、「本当は、もっと大きな被害が出る予定でしたが、私の神事により小さくしました」などと言っておけば、自分が行った神事を否定することにもならないのである。



 話をもとに戻そう。

 予言については、「未来は白紙」で、「人類が認識したことは、必ず無難にすることが出来る」とする伊勢白山道氏であるが、自分の予言が当たった場合はゲリー・ボーネル氏と同様、当然、その旨、アピールするのだが、本件については、次の「2.事後にこじつけて、予言が当たったことにするケース」で見て行きたい。

 また、伊勢白山道氏も予言が外れた時の保険は掛けているので、安心して予言を多発する。特に、東日本大震災が起きた後の災害関連の予言はヒドイものだったが、詳細は下記の記事を参照して欲しい。
○「「『6月9月日本壊滅!』にツッコミ!(その1)
○「「『6月9月日本壊滅!』にツッコミ!(その2)
○「「『6月9月日本壊滅!』にツッコミ!(その3)
○「「『防災意識○○%』にツッコミ!




 以上、ゲリー・ボーネル氏、伊勢白山道氏共に、同様の「予言のテクニック」を使用しており、このテクニックを使えば、「何の能力も持たない普通の人だって、簡単に予言者になれてしまう」ということが、お分かりいただけるのではないかと思う。

 ちなみに、この「予言のテクニック」は、多くの自称霊能者・自称予言者が使用しているものなので、よく留意しておくべきだろう。


 次に、「2.事後にこじつけて、予言が当たったことにするケース」であるが、文章が長くなったので(その7)にて説明したい。



2012.4.3新規

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