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インチキ占い師・霊能者の手口(その7)

 ※当記事は(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)からの続き。



7.曖昧な条件付きの成就(2)

 (その6)で見た例では、子供の交通事故を避ける為に、霊能者から依頼者に対応策が示された。

 そして、依頼人が霊能者の指示通りに実施したとして、後日発生する事象は大きく分けて、次の4パターンが考えられる。(その6)での説明の中で一部触れているものもあるが、再度、まとめて見て行きたい。)
(1).子供の交通事故が起きなかった場合
(2).子供が交通事故にあって、怪我をした場合
(※(3)のケースを除く)
(3).子供が交通事故にあって、後遺症が残るような大きな怪我をした場合
(4).子供が交通事故にあって、死亡した場合

(1).子供の交通事故が起きなかった場合

 これが霊能者とって最も望ましいパターンであり、依頼人は、「霊能者の指示通りに対応策を実施して、子供の交通事故は回避された!」と思い、霊能者への信頼度を益々高めることになる。

 霊能者は、依頼人から感謝や称賛を受けても、余裕を見せて、「いいえ、子供を危機から救ったのは、あなた自身の思いと行動なのよ」とでも言って謙遜しておけばいい。

 なお、そうそう交通事故にあうことはないから、多くの場合、このパターンに当てはまることになる。


(2).子供が交通事故にあって、怪我をした場合

 子供が交通事故にあってしまっても、後遺症の残らない程度の怪我なら通常、依頼人にも余裕があるので、霊能者は、

  「私の言う通り実施したから、この程度の怪我で済んだのよ」

とでも言って、大難が小難になったことをアピールし、かつ、「曖昧な条件」を利用して、

  「でも、これは本来避けられた事故なの。まだまだ、あなたの誠心誠意さが足りないわ」

とか

  「あなたの子供への愛は、まだ不十分だわ」

とでも言えばいい。

 そして、こちらも、依頼人は、霊能者の言う通り大難が小難になったのだと思い込み、信頼度を高めることになる。


(3).子供が交通事故にあって、後遺症が残るような大きな怪我をした場合
(4).子供が交通事故にあって、死亡した場合


 (3)と(4)は霊能者にとって最悪のケースである。

 通常、自分の子供が「後遺症が残るような大きな怪我をした」り、「死亡した」りしても、余裕でいられる人などいないであろう。その時点で、よほどの盲信・狂信状態になっていなければ、当然ながら、霊能者に疑いの目を向けることになる。

 仮に、依頼人が、「霊能者の指示通りの対応策を実施したのに、何故!?」と思い、霊能者のもとへ怒鳴り込んで来たとしよう。

 その場合、インチキ霊能者が如何に上手く相手を丸め込むか、腕の見せどころとなるが、そのような修羅場に慣れている霊能者だと、通常、次のような態度をとることになる。
@.まず、相手の言いたいことを言わせるが、相手の怒りに動ぜずに静かに話を聞く。
A.相手が言いたいことをほぼ言い尽くし、しゃべり疲れて来たところで、徐々に反論をして行く。
B.最後は、怒りを示しながら、相手の考え、行動を全否定してけなし、やり込める。

 @Aはクレーム対応の基本であり、まず、相手が蓄積した怒りを発散させるところから始めることになる。

 もし、怒りを発散するのを妨げたりしたら、「怒りの発散を妨げたこと」に対する怒りが追加され、火に油を注ぐ結果となり、相手を説得するのはさらに困難なものとなる。(ただし、相手が怒っている以上の迫力でもって、相手の怒りを圧倒することが出来るのなら、そうする場合もある。)

 そして、相手がそれまでに蓄積した怒りを発散し、下火になって落ち着いて来たら、徐々に反論をして、「B.最後は、怒りを示しながら、相手の考え、行動を全否定してけなし、やり込める」ことになる。

 そうやって、相手の愚かさ、及び、霊能者の正しさを思い知らしめ、自分がはるか上位にいることを認識させるのである。(ちなみに、このようなことを繰り返すことによって、徐々に相手に、「自分が考えても無駄だ」、「先生に判断を委ねた方がいい」等という考えを刷り込んで行き、判断能力を奪っていくことになる。)


 また、交通事故の責任を依頼人になすり付ける為には、(その6)で説明した「曖昧な条件」を利用すれば、例えば、次のような主張が考えられるだろう。
(1)
 あなたの子供への愛が足りなかったから、守れなかったのです。自分のことを良く振り返ってみて下さい。子供よりも自分の都合や欲を優先したことはありませんか。
 言ったはずですよね。子供を守るのは母親であるあなたの愛であると。あなた自身の子供への愛情不足が子供を死に追いやったのです。
 また、「曖昧な条件」を利用せずに、相手の責任にする方法もいくらでもある。
(2)
 あなたは、疑いの心を持って信じ切っていなかった。今、こうやって怒鳴り込んで来たのがその良い証拠です。私を信頼せず、疑いの心を持ってやっていても、上手く行くはずがないではないですか。
(3)
 あなたは、都合の悪いことが起きると人のせいにする癖があります。この事案が済めば指摘しようと思っていましたが、最悪の結果で現れてしまいました。あなたのその性格が、自分をそして家族を不幸にしているのです。そのような者を神が助けようと思うと思いますか?
 解説すると、まず、これら3つとも、(その2)や(その4)で見て来た、「誰にでも当てはまること」である。

 最初に(1)であるが、「子供よりも自分の都合や欲を優先したことはありませんか」と言われて、NOと言える親などいないであろう。そして、それを根拠に愛の不足を指摘されれば反論できないことになる。

 次に(2)では、「疑いの心を持って信じ切っていなかった」とあるが、どんなに確信を持って信じていても、一瞬たりとも、「ほんとにこれで、交通事故が回避されるのだろうか」などという思いが浮かばないことなどありえない。

 最後に(3)であるが、「都合の悪いことが起きると人のせいにする癖があ」ると言われているが、自分に都合の悪いことが起きて、それを一瞬たりとも、他人のせいにする考えが浮かばない人などいないであろう。

 結局は、「誰にでも当てはまること」なのであるが、上記のように言われると、(その1)で見た「バーナム効果」で、「自分だけに当てはまる正確なものだ」と捉えてしまうことになるのである。

 さらに、(2)と(3)は、霊能者のもとへ怒鳴り込んで来た依頼人が、今まさにやっていることである。

 「霊能者の示した対応策がウソだ」と思ったから怒鳴り込んで来たのであって、まさに、疑いの心を持っていると言えるし、また、今まさに、子供の交通事故を霊能者のせいにしているところである。

 このように、今まさにしていることを指摘されると、反論や否定は非常に困難になる。


 さて、このような対応で、子供が死亡して感情的になっている親を上手く丸め込めるかは、インチキ霊能者の力量にもよるが、おそらく五分五分ではないかと思う。

 しかし、上手く丸め込めなくても、霊能者にとっては大して問題ではない。

 子供を殺したのはもちろん霊能者ではないし、また、霊能者の示した対応策がまずかったのか、それとも、依頼人の愛が足りなかったのかなど、証明しようがないし、当然、司法の場で争いようもない。

 結局、依頼人は泣き寝入りするしかないのである。

 一方、霊能者側にしてみれば、子供が交通事故で亡くなったり、後遺症が残ったりするようなケースはレアなものであり、仮に、そのようなことが起きるのが10人中1人という割合だとしても、残り9人は信者として確保できることになる。それなら、商売としては上々であろう。

 また、仮に、上手く丸め込むのに失敗した依頼人がブログ等で霊能者を批判し出したりしても、残り9人の「霊能者の指示通りに対応策を実施して、子供の交通事故は回避された!」とか、「大難が小難になった!」と思い込んでいる人達がフォローをしてくれることになる。

 批判する人よりも、擁護してくれる人の方がはるかに多く、かつ、その中には、自分の「先生は本モノだ」という確信を侵されたくないという欲求から、批判者を

  「あなたの子供への愛が足りなかったのが原因なのに、先生のせいにするなんて。あなたは最低の人間です!」

などと攻撃し出すような人もいるだろう。

 このように、レアなケースで信者の一人二人取り逃がしても、全く問題ないのである。

<参考>
「この先生は本モノだ!」などと確信に至った人の心理・行動については、以下の記事にて詳述した。

 ○記事「人はどのようにして盲信・狂信に至るか(その1)」 〜 (その5)





 以上、(その1)から(その7)までに渡って見て来たが、特別な能力を持っていない者が、それを持っているように他人に思い込ませるのは簡単なことである。

 よって、「すごい霊能者がいる!」とか、「あの先生はズバズバと言い当てる!」などといった世間の評判など全く当てにならないと言っていい。

 そして、それは、TVや雑誌等のメディアに登場する霊能者等でも同じことである。単なる手品であったり、口先のテクニックでしかない者が、超能力者や霊能者として登場していることも多々あるので留意願いたい。


 さて、これまで見て来た手口は、対個人で一対一のケースであったが、宗教団体等になると一対一ではなく、不特定多数を一度に相手にすることが多くなる。

 そのようなケースでも、もちろん、騙す手法はいくらでもあるから、インチキ宗教がはびこって無くならないわけであるが、その手法については、別途、稿を改めて解説したい。

<参考文献>
 当記事を作成するにあたって、文章を引用した文献は、その都度、記載してきたが、その他、以下の文献も参考にした。

 『ダメな議論 ―論理思考で見抜く』 (飯田泰之/ちくま新書/2006)

      


2012.04.09新規






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