知的好奇心のススメ(その5)
 ※当記事は(その1)(その2)(その3)(その4)からの続き


4.読書の仕方

(2).本選び

B.イラストや図が多い本を選ぶ

 この理由の一つはAで述べたもので、
イラストや図が多い分、文字数が少なくてすぐに読めるからである。もちろん、写真でもいい。

 また、
イラストで図解された方が分かり易いし、文字だけでなく、図という映像で頭に入って来ることで内容を覚えやすいという理由もある。

 さらに、これが重要なのだが、
「内容を文章だけでなくイラスト化して説明している本は、著者だけでなく、編集者という第三者が入って分かり易くなるよう構成・文章等が練られている」という理由がある。

 内容をイラスト化して説明する為には当然、その内容を理解しなくてはならない。その過程で、文章で分からない部分は質問し、結果、文章自体も変更されて、より分かり易いものとなって行く。

 一方、イラストが少ない、もしくは全く無いものを読んでいると、
「編集は誤字脱字のチェックをしただけなんだろうな」というものが多いように思う。

 専門家で
「その物事を知っている」ということと、「その内容を一般人に分かり易く説明できる」ということは全くの別物である。

 もちろん、文章のみの入門書等でも分かり易いものもあるのだが、第三者のチェックが入らずに一人の専門家が自力で分かり易いものを作るには限界があることが少なくない。

 よって、
最初に選ぶ書籍としては、基本的にイラストや図が多いものを選ぶのが無難である。

 中には、
「新書で一般向けに書かれたものであるはずなのに、文章が無茶苦茶で入門書の体をなしていない」というものもあり、逆に混乱するだけだったり、自信を無くして、本を読む意欲をそがれてしまう結果にもなりかねないので注意が必要である。
<参考> ヒドい入門書
 かつて、私が読んだ『○○入門』という題の新書に、ひどい内容のものがあった。

 大学教授が書いたものだが、例えば、次のような内容だ。
○Aという言葉の意味の説明の際、途中からBという言葉の説明にすり替わる。
○読者は、Aという言葉の意味をBだと勘違いする。
○その後、Aという言葉に関する文章が続く。
○読者は、AのことをBだと認識しているので、後に続く文章が噛み合わずに混乱し、理解できない。
 題名からすれば入門書なのだが、読めば混乱して全く理解できずに終わるという悪書であった。 



C.信頼できる本を選ぶ

 当然、その分野のことを何も知らないのに、最初に手にした本が信頼できないものなら、その内容のおかしさに気付けずに誤った知識を植え付けられる可能性がある。

 そのような意味で、まず、

  
○オカルト系・スピ系・陰謀論系などの本

は避けるべきである。

 このような系統の本は、著者がいい加減な知識のもと、稚拙な推論を繰り広げて出した結論を断定的に記述していたり、妄想と事実の区別が付かない人間が書いていたりするものが多い。
 しかも、同類が互いに影響を与え合って、世間とは懸け離れた常識を築き上げている。例えば、次のようなものである。
・ムー、アトランティス、レムリア
・アセンション
・宇宙人・地底人
・911同時多発テロ陰謀論
・フリーメーソン、イルミナティ
     ・
     ・
     ・
 人は、三度以上、別の人によって同じことを告げられると、その内容に根拠がなくても信じてしまうものである(*)。
(*)詳細は以下の記事を参照

 ○記事「インチキ教祖・教団の手口(その5) 4.断定・単純明快・繰り返し (3).繰り返し」

 よって、オカルト系・スピ系の本ばかり読んで、アッチでもコッチでも上記のようなことが真実として語られているのに接すると、ロクな根拠もないのに信じてしまう危険があるのである。

 このような本は読まない方が良いのであるが、別に
「読むな」とまでは言わない。ただし、「眉つば」の姿勢を失わないことが大切である。


 また、オカルト系・スピ系と同類であるが、

  
○新興宗教系の本

の本も読まない方がいい。理由は基本的に、先にあげた「オカルト系・スピ系・陰謀論系などの本」と同じである。

 自分自身にロクな知識が備わってもいないのに、このような系統の本に接してしまうのは、武器も防具も持たずに魔王の城に乗り込むようなものである。
 言われるがまま、正しいとされるものを正しいと受け入れ、間違っているとされるものを間違っていると受け入れる、ただのロボットと化して、自分では何も考えられない人間になってしまう危険がある。

 なお、ここで言う「新興宗教」とは、明治以降に発生した宗教全てを指す。

 また、まさか、いないとは思うが、TV゙等で影響を受けて
「杉原千畝のことをもっと知りたい!」と思い、最初に読む本に、「幸福の科学」の大川隆法が出している『杉原千畝に聞く 日本外交の正義論 公開霊言シリーズ』のようなものを選ぶのは厳禁である。

       

 ちなみに、基本的に、本屋のオカルト系・スピ系・新興宗教系のコーナーに足を運ばない方がベターだが、創価学会系の第三文明社「レグルス文庫」などは、本屋の新書コーナーにしれっと置いてあったりするので注意が必要である。
<参考>
 かく言う私も、一度間違えて「レグルス文庫」の日蓮関連の新書を買ってしまったことがある。普通に新書コーナーにあったし、いちいち、出版社名まで確認していなかった。

 なお、あまりに
「ビバ、法華経!」臭が強くて、途中で読むのをやめた。

 以上、まともな知識もないまま、上述のような本を選ぶことは非常に危険なことである。
 それは、
「まっ白なところに、好きなように色を塗られてしまうようなもの」だと考えていい。


 さて、では、どういう本が
「信頼できる本」かと言えば、一概には言えないのであるが、基本的に書籍のプロフィール欄を見て、学者等の専門家のものを選ぶのが無難であろう。

 残念ながら、専門家で知識はしっかりしているものの、まともに考える力がなかったり、主観と客観の区別が付いていなかったりする人物がままいたりするのであるが、多少勉強しただけの素人が書いた本を選ぶより、よっぽどマシである。

 もちろん、
「素人が書いた本にまともな本はない」とは言わないが、諸説ある内の一つのみを取り上げて『これはこういうことだ!』と断定的に書いてあったり、そもそも前提がウソであったり、また、論理展開が無茶苦茶であったりしてハズレが多い。誤った知識を植え付けられる危険を避ける為には、やはり、専門家が書いたものを選ぶのがベターであろう。

 なお、イラストや図が多い本は、基本的に出版社が企画して専門家に依頼しているので、その点では安心である。


 また、素人関連では次のような本は、やめておいた方が良い。

   
○「○○研究会」等と言った聞いたこともない集団が書いた本

 
著者が「○○研究会」等と言った聞いたこともない集団で、かつ、そこに誰が所属しているのかも書かれていないような本は基本的に避けた方がいい。単なる素人の集団で、デタラメが書かれていることが多いからだ。

   
○テレビ業界出身者が書いた本

 テレビの企画等で特定分野に関わることが多かった為か、分かった気になって中途半端な知識で書いている本が多いように思う。




 ※(その6)の「5.オススメ入門書」に続く



2016.02.02新規

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