主観と客観(その6) |
※当記事は(その1)、(その2)、(その3)、(その4)、(その5)からの続き。
6.客観を装った主観での考え方(偽客観)
(2).根拠と結論の結び付きが弱い、無い
引き続き、「偽客観」の特徴の二つ目である。
「偽客観」で考える人は、自分の都合の良い結論を出すことが目的なので、根拠と結論の結び付きが弱かったり、無かったりしても構わない。それっぽいだけで十分なのである。
例えば、(その4)、(その5)で記載したAさんの例では、まず、Aさんが頭の中で考えた
いったい、あのオッサンは何の権限があって注意して来たんだ?
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が該当し、同僚への話では、これに相当するのが
である。
これは、注意したおじさんが悪いことを示す根拠の一つとして提示されているのだが、その前提としては、「違法駐輪等を注意するには、警察等の権限が必要」というものが想定されている。
実際、悪いことをしている人を注意するのに権限など必要はないので、これは根拠と結論の結び付き無い、つまり、根拠として成立していない。
自分を正当化し、おじさんを悪モノする為に必死に考えるので、このような根拠にならないものでも持ち出すようになるのである。
(3).根拠と結論のバランスの悪さ
Aさんが、頭の中で考えた結果、最終的に出した結論は次のものである(※(その4))。
ああ、ホント、最悪だ。今日はなんて、ついてないんだろう!
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この結論の根拠は、
○寝坊してしまった。
○駐輪禁止の場所に自転車を停めようとしたら注意された。
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である。
寝坊した上に、たまたま通りかかったおじさんに違法駐輪で注意された。よって、「今日はついてない」という結論は根拠とのバランスが取れていると言える(※あくまで、その部分だけを見ればの話)。
一方、「最悪だ」は過剰な結論でバランスが悪いであろう。(※本人は本気で「最悪の事態が起きた」とは考えているわけではないだろうが)
また、そもそも論で言えば、寝坊したのは自分の責任であるし、違法駐輪しようとしたのも自分が悪い。
そのような事実から目をそむけ(隠蔽)、「他のせいにする」ための結論が上記の「ああ、ホント、最悪だ。今日はなんて、ついてないんだろう!」である。
実際、起きた事実を包み隠さず並べて客観的に考えれば、そのような結論は出て来ないはずである。
続いて、Aさんが同僚に話した時の結論は次のものである(※その5)。
そして、この結論の根拠として示されたのは次のものである。
○全然邪魔にならない場所に自転車を停めようとしたら、鬼のような形相で怒鳴って注意して来た。
○何様のつもりだ。 |
2つ目の方は先述の通り、根拠として成立していない。よって、実質的に根拠となっているのは1つ目の方のみであるが、「絶対、頭おかしいヤツだ」という結論に対しては脆弱なものであろう。
Aさんが同僚たちに朝の話をしたのは、(その5)で記載した通り、自分のムシャクシャを解消するためであり、その為には、おじさんを限りなく悪モノにしなければならなかった。
おじさんを悪モノにすればするほど自分が被害者となって、同僚に共感・同情してもらえる度合いが高まるからだ。
よって、そのような自分の欲を可能な限り実現しようとして、上記のような根拠に見あわない飛躍した結論が主張されることになる。
<参考>
※(その7)へ続く
2016.12.20新規
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