悟りと魔境(その7)
(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)からの続き


3.自称霊能者たちの神秘体験

(3).オーム真理教のケース

B.シャンティー大師こと大内早苗氏

 大内早苗氏が独房修行を行ったのは、1987年6月5日〜7月31日までである。

 まずは、この大内早苗氏の解脱体験から見てみよう。
『マハーヤーナ・スートラ 大乗ヨーガ経典』 (麻原彰晃/オウム/1998.2) <P.237-240>
●解脱――救済の道
◎7月31日(金)
 午前中、
白銀の光の中に飛んだ。ツァンダリーのプラーナーヤーマのとき、クンバカ中、腰にエネルギーが広がってゆき、保息時間が長くなればなるほど辛さが腰にくる。
 瞑想中、体がフワフワして、だるくてたまらなくなる。急に寒くなったり、熱くなったりする。エネルギーは自由に上昇させることができるようになった。
 午後11時、セクシャルなヴィジョンを見る。自分だけれど、もうひとりの自分が見ているという感じ。実際に性欲はありますかと聞かれれば、もう肉体次元の行為はしたくないような気がする。精力は、なぜか最近回復してきたのだけれど。
 光がまぶしくなってきた。ブラフマ・ランドラにエネルギーが入ってくる。しかも、かなり強く体の中に入ってくる。体が浮くのでは、という上昇感もある。シャクティーパットをしていただいたような感じだ。
 エネルギーが上がっていって、ピョンとはねてしまう。
 ケイマ大師来訪。
(※管理人注:石井久子氏のこと)
「解脱したのではないですか。」

 
解脱したということは、その後先生に確認していただいてわかりました。その前から兆候はあったんです。心臓や背景の一本、一本を霊視したり、金色のつぶつぶとして、『意識鞘』も見ていました。
 
三昧にはずっと入っていたんですが、赤、黄色、白銀、金色とかの波、うねりを何度も見ていて、それに飛び込まないようにしようと思っていました。これは光の世界で、想念だっていうのがはっきりしました
 この後、一週間ほどさらに修行を続けて、独房を出ました。


◎8月9日(日)

 〜(中略)〜

 透明な時間。360度の瞑想ができるようになった。

 
すべては与えられる 何と深い意味だろう
 グルの本当の姿を私は知った
 そして、自分がいかに多くのカルマを積み、心を汚してきたかを知った
 すべてはマーヤ(幻影)なのだということも知った
 信の大切さ 帰依の喜び

 極限だったからこそ、与えられた喜びは大きい
 マハーグルデーヴァ麻原尊師様
 今生で巡り会えて本当によかった
 ありがとうございます
 
今生のすべてを捧げ、大乗の道を歩み、ご恩返しをしたい
 そして、私と同じように苦しんでいる多くの人が一日も麻原尊師に巡り会え、
 マハーヤーナへ入れるように願いたい・・・・・・


(注)文字に色を付けたのは管理人(以下同様)
 「白銀の光の中に飛んだ」り、想念の光のうねりを見たりと(その5)の石井久子氏と似た解脱体験である。

 ただ、石井久子氏と比べ、光と一体となった境地は記述されておらず(むしろ、飛び込まないようにしようと思っていたようであるが)、臨場感にも欠けるようである。

 なお、大内早苗氏が成就したのは、石井久子氏と同じく6「クンダリニー・ヨーガ」のステージである。

 また、次のような感動、信仰告白。
グルの本当の姿を私は知った。
自分がいかに多くのカルマを積み、心を汚してきたかを知った
すべてはマーヤ(幻影)なのだということも知った
信の大切さ 帰依の喜び
今生のすべてを捧げ、大乗の道を歩み、ご恩返しをしたい
 グル(=麻原彰晃氏)の本当の姿など知ってなどおらず、むしろ、知ったと思っていること自体が「マーヤ(幻影)」なのだが(笑)。

 そして、大内早苗氏が解脱によって、どのような能力を得たかと言うと次の通り。
『マハーヤーナ・スートラ 大乗ヨーガ経典』 (麻原彰晃/オウム/1998.2) <P.240-242>
(※管理人注:以下は麻原彰晃氏の言葉)

 彼女の体験談にも、宿命通によって前世を思い出したり、すべてが幻影であることを悟るといった、クンダリニー・ヨーガの特徴がよく現れている。そして、今では「すべての人が同じに見える」と言う。正確なインスピレーション、ジュニアーナ・ヨーガの土台となる平等心を身に付けつつあるのだ。また、彼女は会う人の病気をたちどころに治してしまう神通力の持ち主としても有名になっている。
 どうやら、「すべての人が同じに見える」という平等心を身に付けつつあり、また、病気をたちどころに治してしまう神通力を手に入れたらしい。


 それで、大内早苗氏がこの後、どうなったかと言うと次の通り。
Wikipedia「大内早苗」より
1995年3月21日(上九一色村の教団本部への強制捜査の前日)、名古屋市熱田区の信者の母親を拉致し、上九一色村の第10サティアンに監禁無断で保険を解約し、郵便貯金口座を引き落とした容疑で指名手配を受ける。

同年5月12日に愛知県警の出頭し、その後、脱会届を教団に送付した。

1996年5月15日に名古屋地方裁判所で、
懲役2年4ヶ月の判決
 やったことは悪質な犯罪行為。
 オウム真理教に入信して解脱し、最終的にたどりついた先はマハーヤーナではなく刑務所であった。

 所詮は、分かったつもりになっただけの、実のない空虚な悟りなのである。




 続いて、(その8)では、マイトレーヤ大師こと上祐史浩氏の解脱体験を見て行きたい。



2014.09.09新規

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