『大世見者 松原照子(ムー 2017年1月号)』にツッコミ!(その7)
※当記事は(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)からの続き。


  『ムー 2017年1月号』によると、松原様は、1986年に発売された著書、『宇宙からの大予言』で現総理の安倍首相のことを予言していたそうである(※疑問形で断定はしていないが)。

 なお、本件については既に以下の記事でツッコミ済であるが、このようなガセネタが広がるのを少しでも阻止する為、再度、ツッコミを入れておきたい。
○記事「『宇宙からの大予言』にツッコミ!(その8)

 『ムー 2017年1月号』の該当箇所である。
『ムー 2017年1月号(No.434)』 (学研/2016.12)  P.30-31
 「恐怖の男・安倍氏」によって
 日本は戦争へと駆り立てられる?

 もうひとつ気がかりなのは安倍政権の動向だろう。
 というのは、
1986年の著書『宇宙からの大予言』という著書で
(*)、松原氏はこう描いているのだ(以下、原文ママ)。
 恐怖の男、安倍氏は、男に生まれながら男人形として、日本の名で世界を歩くでしょう。
 「はい、わかりました」。この言葉をためらわずに言える政治家は生き、少しでも躊躇した政治家に、いい役が回ることがありません。
 わが国の政治は、一部のアメリカ人われわれの目に映らない一部の人)と影の指導者とともにソ連・中国の流れの中をのらりくらりしている人物に政治を委ねることになるでしょう。
 
その人こそ、わが国が「戦争」の言葉を身近に感じる流れを作る人物であり、操り人形です。
 政治家たちのランクを、国民一人ひとりが見きわめ、日本の国のために命を捧げられるほどの人間選びをしなければ、草も口にできなくなります。

 
この記事は、2012年に安倍普三政権がふたたび誕生してから、あちこちで取りあげられるようになった
 それはやはり、
安倍政権が向かおうとしている先に、「戦争」の2文字がチラつくからかもしれない。改憲への動きと集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法、防衛装備移転三原則、オスプレイの購入・・・・・・。
 だとすると
「恐怖の男・安倍氏」というのは、安倍総理のことなのだろうか?


※管理人注:文字に色を付けたのは管理人(以下同様)
(*)「著書」が2回続くのは原文のママ

 この、「『宇宙からの大予言』に現在の安倍普三総理のことが予言されていた!」という話の出元は、「占い・開運・スピ総合 ハピズム」というサイトの次の記事である。
「恐怖の男・安倍氏によって日本は●●になる」 25年前に松原照子が予言した怖い内容とは?(2013.07.31 )」 (占い・開運・スピ総合 ハピズム
 そして、元ネタである『宇宙からの大予言』を読めば、すぐにガセネタ、「恐怖の男・安倍氏」が安倍普三総理のことで無いことが明白に分かるものである。

 まず第一に、該当の箇所で予言されている人物は「安倍氏」だけでなく、他にも、中曽根氏、竹下氏、宮沢氏、田中氏、福田氏が登場する。(※ちなみに、該当予言は全2ページ)。

 このラインナップを見ただけで、『宇宙からの大予言』が発売された
1987年(注)当時の著名な政治家について予言されたものであることが分かるであろう。
(注)
 『ムー 2017年1月号』では「1986年」となっているが、『宇宙からの大予言』の奥付では「1987年1月10日 初版第1刷」となっている。
 奥付のこの日付は余裕を持って先日付とするのが慣例なので(※)、おそらく、発売自体は「1986年」の12月頃であったのだろう。
 ただし、本書からは発売日は不明なので、当記事では奥付の発行日を基準とする。
 「恐怖の男・安倍氏」とは、安倍普三総理の父の安倍普太郎氏について予言したものなのであり、それ以外はありえないのである。

 次に、この「安倍氏」が最初に登場する文を見てみよう。
『宇宙からの大予言』 (松原照子/現代書林/1987.1) P.85-86
 政治はこう変わる

 
〜(中略)〜

 
ニューリーダーと騒がれた竹下氏の動きは消え、頭脳明晰な宮沢氏も経理部長どまり、なんの思いもはっきりしない安倍氏だけが、喜びの声をあげます
 このように、「安倍氏」は、当時、「ニューリーダー」と呼ばれていた「竹下氏」「宮沢氏」とセットで記載されている。(※この三人は、それぞれの頭文字を取って「安竹宮」とも言われていた。)

 そして、上述の通り、松原様がこの三人について予言をしているのだが、、、
「竹下氏の動きは消え」

 → 動きは消えることなく、第74代内閣総理大臣になりました。 ハズレ

「頭脳明晰な宮沢氏も経理部長どまり」

 → 経理部長どころか、
第78代内閣総理大臣になりました。 ハズレ

「安倍氏だけが、喜びの声をあげます」

 → この3人の内、安倍氏だけが総理大臣になれませんでした。 ハズレ

 1987年の竹下内閣の時に官房長官に。
 1988年 リクルート事件に巻き込まれ、その最中にすい臓癌で緊急入院。その後、総理大臣になることなく、1991年に死去。 (※参考:Wikipedia「安倍普太郎」) 


※上記で引用した箇所では明記されていないが、文脈から「安倍氏」が総理大臣になると予言していることが分かる。他にも、「恐怖の男・安倍氏は」「日本の名で世界を歩くでしょう」(P.86)とあるので、松原様が、安倍普太郎氏が総理大臣になると思っていたことは間違いない。
 「ニューリーダー」の三人の内、松原様が「総理大臣になれない」と予言した二人が総理大臣になり、「総理大臣になる」と予言した一人だけが総理大臣になれませんでした(笑)

 
さすが松原様、見事なハズしっぷりでございます。

 そして、松原様は「安倍氏」つまり、安倍普太郎氏のみが総理大臣になると思っていたので、続いて、
「『安倍氏』が総理大臣になって、どういうことをするか」等を予言したものが、最初に掲載した『ムー 2017年1月号』の引用箇所なのである。

 ちなみに、本書発売の翌年に「安倍氏」
リクルート事件に巻き込まれることや膵臓癌で入院すること、そして、20世紀の終わりを待たずして1991年死去することは、当然ながら予言できていない


 以上、元ネタにあたってみれば、そもそもが、『宇宙からの大予言』発売当時から、せいぜい、20世紀末頃までの予言。しっかも、予言は大ハズレ。

 この、松原様の予言から、都合の悪い部分は一切無視して読者には伝えず、かつ、現総理の安倍普三氏に結びつけられそうな部分のみを抽出して創り上げたのが、『ムー 2017年1月号』の記事なのである。


 ※(その8)へ続く

<参考>本件については、上でも紹介した記事にて、より詳細にツッコんでいるので興味ある方はどうぞ。
○記事「『宇宙からの大予言』にツッコミ!(その8)



2017.03.07 新規

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ムーに限らず、メディアってこういうことを平気でするから、気を付けた方がいいゾ。