自分が経営する会社の事務所で仕事をしていたある昼下がり、語尾が強く迫力のある声が部屋中に響き渡ったのです。
「いまから話すことを書きなさい!」
一瞬のうちに、声の主に身体を支配された気分になりました。すると目の前に、ちょっと太めで目のきれいな外国人のおばちゃまが座っておられたのです。
そのおばちゃまは私に、「書きなさい」「毎日書きなさい」と言ってきました。
「書けと言われても、文才もないし・・・・・」とためらう私でしたが、その日からなぜか原稿用紙を用意して机に向かうと、鉛筆が走るのです。自分で書いているのか、だれかに書かされているのかもわからないような状態で書き上げたのが、小冊子『恐怖の大予言』でした。この小冊子を自費で作り上げると、おばちゃまが現れてひと言おっしゃいました。
「明日から忙しくなりますよ」
そのおばちゃまは、その後しばらくお越しにならなくなるのですが、ブルーグレーの目が印象的でしたので、それからはブルーグレーのおばちゃまとお呼びすることにしました。
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