『宇宙からの大予言』にツッコミ!(その7) ・・・ 松原照子さま
※当記事は(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)からの続き


 当記事では、松原様による世紀末(20世紀)の
世界に関する予言の内、残りの主要な国のものを見て行きたい。

 まずは中国。
『宇宙からの大予言』 (松原照子/現代書林/1987.1) P.116-117
中国 〜(中略)〜 そして、このままの地球の動きが正しければ、この地の人びとは、小シンアンリン山脈を越えるソ連兵と、朝鮮民主主義人民共和国からチャンペク山脈を経てチーリンに入るソ連兵を見るでしょう。
 中国人は、金儲けに関しては、飛び抜けた才能の持ち主がいますが、頭脳的な人間が少ないので、世界制覇はできないでしょう。中国自体が、世界を動かすことはありえません。華僑は中国人であっても中国人民ではないと考えている政治家の中で、ソ連よりの人物が殺されるのが見えます。
中国は2005年ごろ、ソ連色になるでしょう
 〜(後略)〜



(注)文字に色を付けたのは管理人(以下同様)
 なんか、中国に小シンアリン山脈方面と北朝鮮方面からソ連が攻め込み、「中国は2005年ごろ、ソ連色になる」らしい。

 実際には、1989年にゴルバチョフ大統領が訪中して中ソ国交が正常化。1991年には、中ソ国境協定が結ばれることになった。(※参考:Wikipedia「中ソ国境紛争」)

 
むしろ、逆(笑)

 つうか、2005年が来る前にソ連は消滅してしまいました。残念〜。

 当然ながら、松原様には1991年のソ連の崩壊と冷戦終結など予知できなかったようだ


 そして、ソ連の予言はと言うと、、、
『宇宙からの大予言』 (松原照子/現代書林/1987.1) P.124-125
■ソビエト
 〜(中略)〜 国民の頭脳低下は、国の首脳部の疲れに変わり、いずれ近いうちに遠吠えをします。そして、アメリカより一足遅れをとった思いのなかから、国を浮上させ、クローズアップするために
南下の動きをとりますこの国がカスピ海、黒海を征したときから、世界を自分の国にできる思いの日々へと変わります。アフガニスタンの地には、ソ連旗の戦車が走り、国民は大きな身体を引きずり、靴を食べる光景が見えますが、世界はなぜか助けの手を伸ばしません。アメリカは手を貸すふりをしますが、わずかな物資を送るだけです。
 そのような状態になったとき、アフガニスタンは、パキスタンを襲います。パキスタンは他の援助の手を借り、アフガニスタンをつつきにかかります。襲うのが早いか、突きかえすのが早いか、どちらにしろ大変な地帯となるでしょう。

 〜(中略)〜

 ソ連はすでに北朝鮮に入っており、米ソ間の裏の話し合いのもと、軍事演習を行っています。日本の代表者が、海の潜航の自由を1984年に与えたため、
朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国との戦争は、いつ始まってもおかしくない状況です。どうしようもないことを引き金に、南北朝鮮は戦争を始めなければなりません。 〜(後略)〜
 先ほどの中国の予言でも出て来たが、ソ連は「南下の動きをと」るらしく、他にも、カスピ海、黒海、そして、アフガニスタンに攻め入るようである。

 ちなみに、1979年に始まったアフガニスタン紛争ではソ連が軍事介入し、1989年の完全撤退まで居すわることになった。(※参考:Wikipedia「アフガニスタン紛争」)

 つまり、本書発売の約2年後には、
ソ連はむしろアフガニスタンから撤退することに(笑)

 てか、松原様がこの予言書を出した約8年前から、「アフガニスタンの地には、ソ連旗の戦車が走」っていたはずなのだが・・・


 また、どうやら、北朝鮮と韓国は、「どうしようもないことを引き金に、南北朝鮮は戦争を始めなければな」らないらしい。

 まあ、そもそもソ連の崩壊が視えていないのだから、当然、大ハズレである。


 最後にアメリカ。
『宇宙からの大予言』 (松原照子/現代書林/1987.1) P.126-128
■アメリカ

 〜(中略)〜
 アメリカ合衆国に対する地球全体の挑戦は、すでに数年前から始まっています。とくに1986年から活発になり、大変な地帯を、アメリカの各地で作るでしょう。
フロリダ半島は作物がほとんど収穫できなくなり、オレンジの産地では、木が凍ります。西海岸は、天災がいつ起きてもおかしくない恐怖地帯です。コロラド川の周辺で、白い水が流れ、断層が崩れるのが見えます。これは、三年以内に起き、大災害になります
 アメリカは、天災で国力を弱めます。そして1986年暮れから、大きく揺れ動きます。
 まず、「フロリダ半島は作物がほとんど収穫できなくな」るらしい。

 
ハズレ。

 フロリダ州では、2006年時点で全米の柑橘類の67%、オレンジの74%、タンジェリンの58%、グレープフルーツの54%が生産されている。(※参考:Wikipedia「フロリダ州」)


 次に、「西海岸は、天災がいつ起きてもおかしくない」とある。

 で、起きたと言えば、まず、ロマ・プリータ地震。1989年10月17日カリフォルニア州北部で起きた地震でM6.9。死者は63名、負傷者は3,208名だった。(※参考:Wikipedia「ロマ・プリータ地震」)

 次いで、ノースリッジ地震。1994年1月17日ロサンゼルス市ノースリッジ地方で発生した地震でM6.7。死者57名、負傷者約5,400名を出した(※参考:Wikipedia「ノースリッジ地震」)

 ざっと、地震について調べると、こんな感じである(※あくまで、ざっと調べただけ)。

 まあ、当たりなのだが、松原様の予言は「天災」という曖昧な表現で、地震、ハリケーン、噴火、隕石の落下など自然災害なら何でもアリな上に、いつ起きるのかも規模も不明なので、むしろ、
ハズれる方が不思議な予言である。


 最後に、「コロラド川の周辺で、白い水が流れ、断層が崩れるのが見えます。これは、三年以内に起き、大災害になります」とあるが、調べてみてもそのような大災害が発生した事実は見つけられなかった。(参考:Wikipedia「コロラド川」、Wikipedia「コロラド州」、Wikipedia「ユタ州」、Wikipedia「アリゾナ州」)


 そして、このような天災続きでアメリカがどうなるかというと、、、
『宇宙からの大予言』 (松原照子/現代書林/1987.1) P.128-129
 小さな災害から大きな災害を呼び、地球本体の怒りを真っ向から受けるアメリカは、これから先、徐々に滅びゆくアメリカの色を濃くしていくことでしょう。
 大アメリカ凍結により、
食糧危機となり、主食にトウモロコシを食べている姿が見えます。いずれ、ドルは紙切れ同様になり、地球上の動きは大きく低下します。そして、お金という巻物に心を奪われ、魂を売った人間にツケが返ってきます。
 そのときこそが、地球本体の勝利のときであり、
ノストラダムスの予言・1999年は当たったことにもなるでしょう。
 食糧危機で主食がトウモロコシになり、「ドルは紙切れ同様にな」るらしい(笑)




 以上、(その7)にまで渡り見て来たが、御覧の通り、どうしようもない程のデタラメ予言のオンパレード。

 むしろ、
「これでどうして、『自分に予知能力がある』なんて思える!?」というレベルである。


 なお、上記の引用文の最後でノストラダムスが登場しているが、この書籍が発売された1987年頃の時代背景を少し補足しておこう。

 20世紀末の日本におけるノストラダムス騒動。その火付役とも言うべき五島勉が著書『ノストラダムスの大予言』を刊行したのは1973年のことで、この書籍は発行後3ヵ月で100万部を超える大ベストセラーとなった。

 本書には
「1999年7の月に人類が滅亡する」という解釈が掲載され、その後、類似の見解に立ったノストラダムスの解釈本や自称予言者の予言本が雨後のタケノコのように出版されることになり、それは該当の1999年まで続くことになる。
<参考>
○Wikipedia「ノストラダムスの大予言

 松原様の著書『宇宙からの大予言』もそのような流れの一つであり、
実質的には、未来を予知したものではなく、他のノストラダムスの解釈本や予言本の影響を受けた上で未来を想像したものに過ぎない。(松原様自身は予知したと思い込んでいるのであろうが)

 当HPでツッコミを入れているものの中で松原様の予言本と同様のものを挙げれば、「幸福の科学」の大川隆法様の『黄金の法』がある。

 この書籍は松原様の予言本と同じく1987年に発売されたものであるが、
「20世紀末に世界各地に大災害と戦争が起きる」という世界観は松原様と類似のものである(*1)。
(*1)詳細は以下の記事を参照
「未来予言」にツッコミ!(その1)・・・大川隆法さま
「未来予言」にツッコミ!(その2)・・・大川隆法さま

 そして、何故、似たような世界観になったかと言えば、双方ともに、当時、流行っていたノストラダムスの解釈本や予言本の影響を同じように受け、そのような未来が実際に訪れると思い込んでいた為である。

 また、そもそも論として、
ノストラダムスに本当に予知能力があったわけではなく、単なるイカサマ予言者に過ぎない(*2)。そのことを見抜けない自称霊能者だからこそ、未来予知がデタラメなものになるのも当然だと言えよう。
(*2)ノストラダムスがイカサマ予言者であったことは、以下の書籍が分かり易い。

 所詮、松原様の本書における予言は、
20世紀末のノストラダムス騒動を真に受けた人で、かつ、特別な力など何も持っていない普通の人に、
「これから20世紀末までに日本、そして世界で起こると思うことを挙げて行って下さい。
深く考える必要はありません。思い付くままに挙げて下されば結構です。」
と言って予言してもらったものと同程度のものでしかないのである。


 さて、本書へのツッコミはこれで一応終了なのだが、
「松原様が本書において、現首相の安倍普三氏のことを予言していた!」という主張があるので、最後にそちらも見ておきたい。(※(その8)へ続く)



2015.01.13 新規

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な〜にが「宇宙からの大予言」ダ(笑)