知的好奇心のススメ(その9) |
※当記事は(その1)、(その2)、(その3)、(その4)、(その5)、(その6)、(その7)、(その8)からの続き
6.本の読み方
(8).「繰り返し」と「深堀り」
(その8)で見た、かなりの時間と労力をかける方法でも実行しない限り、通常、入門書を一冊読んだからと言って、その内容が頭に入るわけではない。
大抵の場合、仮に、誰かが誤った説明をしているのを聞いても、「それ、多分、違うんじゃ・・・」と思えるくらいで、何がどう違うのか、再度、書籍を見返してみなければ指摘できない。
1冊読んだぐらいでは、モヤのかかったような漠然とした知識が付くだけなのである。
そして、そのモヤを晴らし、徐々に、脳内に知識が形として見えて来るようにする作業が「繰り返し」と「深堀り」である。
これまで説明した通り、最初は初心者向けに書かれた入門書を読む。
本来は、その入門書を何度も読むのがベストなのだが、一度読み終わった本をもう一度読むとなると、テンションは維持できないものである。未知のワクワク感が無いし、その本は既に制覇済だからだ。
よって、私の場合は、別の出版社が出している同じジャンルの入門書を読むことにしている。
(その6)に記載した通り、初心者向けの入門書シリーズというのは結構あるものである。メジャーなジャンルならば、似たような入門書が複数出ているので、苦労なくして見つけることが出来るはずである。
ただ、「続けて同じジャンルの入門書」を読むというのも、やはりテンションは上がらないものである。基本的に同じ内容だからだ。
従って、「『続けて同じジャンルの入門書』を読む」というのは一旦、置いておいて、次にするのが「深堀り」である。
同じジャンル内のある分野に焦点を当てた、入門書を読むのである。
例えば、最初読んだ本が仏教の入門書ならば、次に釈迦の入門書を読む。もちろん、仏教の入門書には釈迦についても触れられているが、釈迦に絞って書かれた入門書の方が、釈迦については広く深く書かれてある。
また、ある程度、釈迦については勉強済である為、釈迦の入門書をいきなり読むより、すんなり頭に入って来るし、重複する部分は「繰り返し」となって記憶の定着に寄与することになる。
そして、釈迦の入門書を読んで「釈迦の教えについてもっと知りたい!」と思ったのなら、次は釈迦の言葉の解説書に手を出すと、釈迦についてより知識が深まってく事になる((注)このレベルではまだ、例えば、岩波文庫の『ブッダのことば』(中村元訳)のような、釈迦の言葉そのものが掲載され、解説が少ない本にはまだ手を出さない方がいい)。
一方、釈迦の入門書の後に、今度は「日本の仏教についてもっと知っておきたい!」と思ったのなら、空海関連や親鸞関連等の入門書を読むようにする。
仏教 |
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釈迦 |
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釈迦の言葉の解説書 |
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空海 |
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親鸞 |
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このようにして仏教について「深堀り」をしていると、「そういや、仏教の入門書を1冊読んだけど、仏教の基礎ってあんまり身に付いていないな」などと思うことがある。
そうすれば、仏教の入門書に戻り、最初に読んだものと違う入門書を読むのである。
こうして、「繰り返し」と「深堀り」を続けていると、最初はモヤのかかったような知識だったものが、徐々にモヤが晴れて、明快なものとして知識が定着して行くことになるのである。
なお、仏教関連の本ばかり読んでいても、やはり飽きてしまうものであるので、当然、間に別のジャンルの本を挟んで行くことになる。
要は、「自分が飽きないレベルでアチコチ手を出しながらも、タマに同一の分野に戻って来て、『繰り返し』と『深堀り』を使い、少しずつ知識を深めながら固めて行く」のである。
もちろん、上記は私の読書のスタイルなので、何度も繰り返すように、この読書法にこだわる必要はなく、自分に合ったスタイルを見つければ良い。
(9).「横掘り」
あるジャンルについてある程度分かってくると、その周辺ジャンルについても取っ付き易くなることになる。内容が重なる部分があるからだ。
例えば、最初に読んだジャンルが古事記だった場合、次に進むジャンルとしては、古代史や神社、及び、神話つながりでギリシャ神話などが考えられるだろう。
そして、古代史に進んだ場合、そのまま徐々に範囲を広げて行けば、中世史、近世史・・・と最終的には日本史を制覇できることになる。
古事記 |
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古代史 |
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中世史 |
→ |
近世史 |
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神社 |
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ギリシャ神話 |
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このような読書の進め方を先の「深堀り」に対して「横堀り」と私は呼んでいる。
同じジャンルで深く掘り進めて行くのではなく、横のジャンルへと掘り進めるので「横掘り」であり、知識の幅を広げる上で有効なやり方である。
(10).「独掘り」
(8)、(9)の読書の場合、多少幅は広いものの基本的には似通ったジャンルばかりになってしまう。
そこで登場するのが「独掘り」である。
今まで自分が読んで来た本のジャンルとは縁のない、独立したジャンルへとポ〜ンと飛んでしまうのだ。
例えば、「古事記→古代史→神社→ギリシャ神話」と本を読んで来たのなら、突然、宇宙関連の入門書を読み始める。
未知のジャンルで新鮮に感じ、良い気分転換にもなる。
そして、「宇宙すげぇ!」などと思い興味を持ったのなら、「繰り返し」「深堀り」「横掘り」を使い、宇宙関連の知識を深め広げて行くのである。
(注)「深掘り」、「横掘り」、「独掘り」
これらの用語は、「名前があった方が理解しやすいし、覚えやすいだろう」と思い私が命名したものである。「地面を掘り進めて、知の泉を掘りあてるような作業」のイメージで付けた。
もちろん、一般的な読書用語ではないし、特に「独掘り」などは完全に造語である。よって、他の人にこれらの用語を使っても通じないので留意して欲しい。 |
以上が、本の読み方であり、読書の進め方である。
さて、仮に、この「知的好奇心のススメ」の記事を読んで、「私も本を読もう!」と一時的にテンションが上がり、何冊か本を読んでみたものの、その後、なおざりになってしまっては、せっかく読書をしたにも係らず知識もつかずに終わってしまうだけである。
継続がなければ、実が結ぶことはない。
つづいて(その10)では、如何にして読書を習慣化して行くかについて見て行きたい。
2016.03.01新規
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