インチキ教祖・教団の手口(その12)
※当記事は、(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)(その7)(その8)(その9)(その10)(その11)からの続き


7.羊頭狗肉

(2).高級っぽさを演出する記号


 
「高級ブランドの品を身に付けることで、自分も高級な人間になったように思い込む」

 そういう人もいるものだが、インチキ教祖・教団と言うのもそのような人と全く同じである。

 「高級ブランド」と言うのは、中身のない自分であっても、高級そうな人間の見栄えを創り上げてくれ、かつ、そうであるかのような幻想を与えてくれる「記号」なのである。

 インチキ教祖・教団にとっての「高級ブランド」、それっぽい見栄えと幻想を創り上げてくれる「記号」には、例えば、次のようなものがある。



@.偽物を批判

 偽物の霊能者・宗教であっても、他の偽物を批判することで、本物っぽさを演出するものである。
○「霊能者を自称する者のほとんどが偽物です。騙されてはいけません」
○「インチキ霊能者をこの世から撲滅することを目的としています」
○「高額のお布施を取る宗教団体に本物はありません」
○「蔓延する霊感商法を許してはおけません」
 自称霊能者のこういう発言を聞くと多くの人は、「他のインチキ霊能者等を批判して、我々に注意を促してくれているこの人は本物だ!」と安心してしまうものである。

 しかし、その発言は大抵の場合、詐欺師の
「最近、オレオレ詐欺とか、ますます巧妙化しているみたいですし、注意して下さいね」という発言と同じである。

 
相手の信頼を勝ち取り安心を与える為の手段に過ぎず、結局は、批判している相手と同じ穴のムジナなのである。


 なお、この「偽物を批判」は(1)の巧言令色・美辞麗句の範囲内の話である。書き忘れていたのであえてこちらに記載した。スミマセン。

 また、(1)で説明したように、上述のような発言が本当か否かは、その言動の全体を見て判断するしかない。



A.豪華絢爛なトンデモ・ビックリ宗教施設

 宗教団体というものは、巨大で豪華絢爛なトンデモ・ビックリな建築物を造りたがる傾向があるようである。(※「宗教施設」で画像検索すれば、そのような建築物の数々を参照可能)

 しかし、所詮は羊頭狗肉。そのような建築物は、自分たち力を誇示する為のもので、虚栄心や物質欲が顕現したに過ぎない

 一方で、
信者たちを巨大さで圧倒し、豪華絢爛さで目をくらまして、「自分たちが神の側・正義の側にいる」という幻想を維持・助長するのに役立つことにもなる。

 さらに、信者たちは、自分たちのお布施で建った建築物を目にすることで、そこに
自己を投影し、何かを成し遂げたような達成感を味わうことも出来る。

 実際には、豪華絢爛な建物が出来あがっても、自分自身が幸せになったわけでも人格的に向上したわけでもなく、単に、教祖や教団の虚栄心の為に利用されただけで、何も成し遂げてなどいないのであるが。



B.有名人の信者・有名人からの称賛

 駆け出しの宗教団体というのは、有名人の信者、例えば、芸能人や政治家等の信者がいることがステータスになる。

 それは、「芸能人の○○さんが御愛用!」という宣伝文句と同様である。

 ただし、
○ファッションリーダーの芸能人が身につけるファッションアイテム。
○いつまでも若々しい芸能人が食べている健康食品。
などなら、まだ説得力があるのだが(実際には、お金をもらって「愛用してる」ということにしているだけかも知れないが)、芸能人等の有名人がある宗教の信者だとしても、実際には何の保証にもならず、その有名人が「判断力に優れ、真偽を見分ける能力に長けている」と言う前提があるわけでもない。

 しかし、有名人が信者になっていることで、「芸能人の○○さんが御愛用!」と同様に、他の信者たちは、その宗教の正しさがある程度、保証されたような気になってしまい、また、一定の社会的認知を得ているように感じてしまうものである。

 よって、宗教団体が芸能人等の有名人を信者として獲得すると、広告塔として信者の維持と新たな信者獲得に利用することになる。

 なお、このような事例としては、X JAPANのToshiさんの騒動が記憶に新しいところである。
<参考>
○NAVERまとめ「【X JAPAN】ボーカルToshl、故・HIDEに自責の念明かす。そして洗脳騒動の真相告白
○Wikipedia「Toshi
 また、信者として獲得に至らないまでも、機関紙などで有名人や政治家等との対談を載せることも同様の効果を有することになる。


 さらに、有名人でも宗教的な有名人なら、もっと大きな効果を望めることになる。
 
「ファッションリーダーの芸能人が身につけるファッションアイテム」と同等、もしくはそれ以上の説得力を持つことになるからだ。

 例えば、次のものは、オウム真理教の麻原彰晃のプロフィールである。
『マハーヤーナ・スートラ 大乗ヨーガ経典』 (麻原彰晃/オウム出版/1988)
真理の御魂 最聖 麻原彰晃尊師プロフィール

 仏教・ヨーガの修行に取り組むこと約8年。1986年ヒラマヤにて最終解脱を果たす。その後も厳しい大乗の修行を続けるとともに、多くの弟子を指導し350人以上を解脱へと導く。その瞑想ステージは、
チベット仏教の成就者から「イェシェ」(最高の智慧を得た段階、完全なる神の叡智)のステージであると称えられたのをはじめとして、インド・スリランカ・ブータン等伝統的な仏教国の聖者方に絶賛される。瞑想によって得た神秘力と解脱者の叡智によって、宗教のみならず化学・医学・音楽・文筆・翻訳・教育等においても専門家以上の力を発揮、危機の時代の新たな宗教家として内外から注目を集める。
 また、各国の聖者方との交流を通じて、仏教と平和を守る活動を積極的に展開。92年、タントラヴァジラヤーナを国教とする
ブータン政府から招待された際には、”最聖”という最高の称号を贈られるなど、その仏教的実践は国際的に高く評価されている。

 〜(後略)〜



※文字に色を付けたのは管理人(以下同様)
 ここに、

  
チベット仏教の成就者から「イェシェ」のステージであると称えられた」
  「インド・スリランカ・ブータン等伝統的な
仏教国の聖者方に絶賛」
  
ブータン政府から」「”最聖”という最高の称号を贈られる」

と書かれているように、名前は不明なものの各国の「成就者」「聖者」、さらには「ブータン政府」から大絶賛され、認められていたらしい。

 さらに、麻原彰晃は
ダライ・ラマ14世と会い、「君が日本に本当の宗教を広めなさい。君はボーディチッタ(仏陀の心)を持っている」と称賛され(*1)、オウム真理教が宗教法人格を取得する際にはダライ・ラマ14世が東京都に推薦状を提出して支援したそうである(*2)。
*1)「上祐史浩個人の総括 ●ダライ・ラマ法王らチベット高僧の話」 (HPオウムの教訓
*2)Wikipedia「ダライ・ラマ14世」 日本の宗教との関係
 このような話を聞けば、多くの人が「麻原彰晃は本物に違いない!」と思うことであろう。

 名も知らぬ成就者や聖者たちから絶賛された上に、あの有名な
ダライ・ラマ14世からも認められた上に支援まで受けているのである。

 しかし、麻原彰晃の正体はご存知の通り。

 
宗教的な有名人からの称賛であっても、「何の裏付けにもならない」と認識しておくべきであろう。

 やはり、中身ではなく上っ面が良くなったに過ぎないのである。


 なお、有名人でなくとも、学者、医者、弁護士等、社会的に知的水準が高いと認知されている職業の人を利用することもよくある話で、書籍の紹介文や体験談などとして使用されることになる。

 こちらも同様に、
あまり当てにしない方が良いと言えるだろう。このような職業だからと言って霊能者の真偽を見抜く訓練を受けたわけではなく、また、高い判断力を持っているとは限らないからである。




 ※(その13)に続く



2015.10.27新規

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